第54回
●浅川の野鳥・今と昔 日野の自然を守る会 金子凱彦
昔(1980年、1881年)の浅川の調査記録と現在(2025年)の記録を比べながら、
浅川の野鳥たちの変遷をみています。
●45年前と同じ調査地とコース
浅川は陣馬山麓に源を発し八王子市、日野市を流れ多摩川に合流する延長30kmの
一級河川です。調査方法は浅川左岸の日野市民プール(川辺堀之内190番地先)から
上流の一番橋を通り運動場・豊田児童グランド(多摩川から4.4kmの位置)までの
1.5kmを歩き野鳥の種類と数を記録する。当時の堤防は現在のように舗装されてい
なく、自転車で通るのも危険という時代もあったが、浅川をとりまく自然環境は今日
と比べはるかに多様性に富んでいた。
45年前の1980年の記録が見つかりません。つきましては1981年のセンサス記録と
参考に1980年のField Noteの記録を掲載します。
●昔の<調査>結果
1981年8月30日<7:10~8:50>晴れ
①ササゴイ2(成鳥) ②コサギ7 ③カルガモ29 ④コジュケイ1 ⑤ムナグロ6
⑥キアシシギ3 ⑦イソシギ1 ⑧タシギ2 ⑨キジバト5 ⑩カワセミ1 ⑪ヒバリ5
⑫ツバメ8 ⑬イワツバメ2 ⑭セグロセキレイ7 ⑮ヒヨドリ4 ⑯セッカ1 ⑰ホオジロ1
⑱カワラヒワ1 ⑲スズメ172± ⑳ムクドリ10 ㉑ハシボソガラス6 ㉒ベニスズメ1
㉓アヒル2
●今の<調査>結果
2025年8月12日<8:10~9:40>くもり
①カルガモ5 ②キジバト3 ③カワウ2 ④アオサギ7 ⑤ダイサギ13 ⑥チュウサギ1
⑦コサギ5 ⑧カワセ2 ⑨ハシボソガラス5 ⑩シジュウカラ1 ⑪ツバメ20 ⑫イワツバメ9
⑬ヒヨドリ3 ⑭ウグイス1 ⑮セッカ2 ⑯ムクドリ18 ⑰スズメ16 ⑱ハクセキレイ4
⑲セグロセキレイ2 ⑳ホオジロ3 ㉑ドバト25 ㉒ガビチョウ1
<コメント>
〇サギ類4種揃う、今の季節だけである。チュウサギの出現は早いのでは?昨年(24年)
は9月一番橋で観察されている。
〇イワツバメ激減するが、ツバメが多かった、移動の途中か。
〇一番橋上流側でウグイスの不完全な声を聞く、かろうじて1羽の感があった。
〇曇との天気予報で気温も低かったので8月最初のCensusに出る、鳥たちも7月とはガラ
ッと変わっていた。ただ暑さは続きそうだ。
2025年8月22日<8:00~9:40>くもり
①カルガモ2 ②キジバト4 ③カワウ1 ④アオサギ3 ⑤ダイサギ13 ⑥コサギ4
⑦イカルチドリ1 ⑧クサシギ1 ⑨カワセミ1 ⑩オナガ1 ⑪ハシボソガラス4
⑫ハシブトガラス1 ⑬シジュウカラ4 ⑭ツバメ7 ⑮ヒヨドリ1 ⑯セッカ2 ⑰ムクドリ60
⑱スズメ12 ⑲ハクセキレイ2 ⑳セグロセキレイ1 ㉑カワラヒワ2 ㉒ホオジロ3 ㉓ドバト6
㉔ガビチョウ1
<コメント>
〇アオサギ3羽はいずれも若鳥であった、行動が何となく緩慢である。
〇キアシシギに会えなかったが久しぶりにクサシギを観察する。飛んだ時の腰の白が
鮮明だった。
〇オナガは単独で左岸から右岸へゆるゆる渡って行った、どういう行動なのであろう。
〇この連日暑い、午前中曇空なので浅川に出る、ただ9時には30℃になっていた。
2025年8月28日<7:30~9:15>くもり
①カルガモ4 ②キジバト5 ③カワウ3 ④アオサギ5 ⑤ダイサギ13 ⑥コサギ3
⑦ヒメアマツバメ2 ⑧オオタカ1 ⑨ハシボソガラス7 ⑩ハシブトガラス1 ⑪シジュウカラ1
⑫ヒバリ1 ⑬ツバメ8 ⑭イワツバメ3 ⑮ヒヨドリ2 ⑯セッカ3 ⑰ムクドリ45 ⑱スズメ15
⑲ハクセキレイ5 ⑳セグロセキレイ1 ㉑ホオジロ3 ㉓ドバト27 ㉔ガビチョウ2
<コメント>
〇一番橋でカラスに追われたオオタカが下流の日枝神社の森に逃げ込んだ。本種とは
久しぶりの出会いであった。
〇前回確認できなかったイワツバメが日枝神社の上空を旋回していた。これが終認の
記録になるであろう。
〇セッカの若鳥を見る、今春巣立ったのであろうまだ幼い感じであった。
〇調査修了後であるが、平山橋下流側の水面にカワウ60羽±、ダイサギ18羽、アオサギ
5羽、コガモ5羽が集まっていた。
〇8月27日、都心10日連続猛暑日(35℃以上)、年間23日と最長、最多の記録をつくる。
本日は曇との天気予報だったので急遽浅川に出た。
<昔の81年の記録と比べると>
〇昔(81年)夏鳥のササゴイが記録されているが、今はほとんど記録がない。ただ昔い
なかったダイサギ、アオサギが今の定番のサギ類になっている。ダイサギは70年代まで
は冬鳥であった、
数も少なかった。アオサギは80年代になって見られるようになった。
〇カワウも昔はいなかった、浅川で初めて姿を見たのは85年5月であった。
〇昔はムナグロ、キアシシギ、イソシギ、タシギが記録されているが、今は激減し観察
が難しくなった。ムナグロは昔8月になると夏の風物詩的に必ず姿を見せる定番の旅鳥で
あったが現在は全く姿を見ない。八王子・日野カワセミ会の浅川の記録を見てもない、
どうしたのであろう。