第56回
浅川の野鳥・今と昔              日野の自然を守る会 金子凱彦
 
 昔(1980年、1881年)の浅川の調査記録と現在(2025年)の記録を比べながら、
浅川の野鳥たちの変遷をみています。
 
●45年前と同じ調査地とコース 
 浅川は陣馬山麓に源を発し八王子市、日野市を流れ多摩川に合流する延長30kmの
一級河川です。調査方法は浅川左岸の日野市民プール(川辺堀之内190番地先)から
上流の一番橋を通り運動場・豊田児童グランド(多摩川から4.4kmの位置)までの
1.5kmを歩き野鳥の種類と数を記録する。当時の堤防は現在のように舗装されてい
なく、自転車で通るのも危険という時代もあったが、浅川をとりまく自然環境は今日
と比べはるかに多様性に富んでいた。
 45年前の1980年の記録が見つかりません。つきましては1981年のセンサス記録と
参考に1980年のField Noteの記録を掲載します。
 
昔の<調査>結果

1981年10月18日<9:15~11:05>晴れ 
①コサギ10 ②カルガモ34 ③コガモ86 ④ヒドリガモ46 ⑤オナガガモ3 ⑥ミサゴ1
⑦トビ2 ⑧キジ1♀ ⑨イカルチドリ2 ⑩イソシギ3 ⑪タシギ17 ⑫ユリカモメ4
⑬キジバト1 ⑭ヒバリ4 ⑮キセキレイ2 ⑯ハクセキレイ20 ⑰セグロセキレイ2
⑱ヒヨドリ12 ⑲モズ4 ⑳カワラヒワ100± ㉑スズメ284 ㉒ムクドリ1
㉓ハシボソガラス1 〇アヒル3 
<コメント>
〇調査地で初めてミサゴを観察する、下流へ飛んだ。カモたちが一斉に飛び立つ。同
月24日にも観察する。80年代になり本種を秋にたびたび観察できるようになった。
〇タシギ17羽!多さに驚く。記録用紙にはイソシギ2羽fl(飛翔)、タシギ1羽↗G(飛
び立つ)、タシギ1羽↗G 、タシギ10羽↗G 、タシギ3羽↗G 、タシギ1羽↗G 、ハクセキ
レイ1羽、ゴガモ13羽と続いている。日枝神社前での記録だ。移動の途中であったか?
10羽の詳細は書いていないので今となっては分からない。なお10月24日のField Noteに
もタシギ18羽↗Gの記載がある。ただ同月29日の調査では5羽になっている。以後一桁の
数になる。

1981年10月29日<10:50~12:30>くもり時々小雨 
①ダイサギ1 ②コサギ21 ③カルガモ66 ④コガモ43 ⑤ヒドリガモ25
⑥オナガガモ3 ⑦イソシギ1 ⑧タシギ5 ⑨ユリカモメ26 ⑩キジバト14 ⑪カワセミ2
⑫ヒバリ7 ⑬キセキレイ2 ⑭ハクセキレイ10 ⑮セグロセキレイ11 ⑯タヒバリ6
⑰ヒヨドリ8 ⑱モズ4 ⑲ジョウビタキ2 ⑳ホオジロ1 ㉑カシラダカ7
㉒カワラヒワ241+ ㉓スズメ607± ㉔ムクドリ209± ㉕ハシボソガラス8 ㉖ドバト54
㉗アヒル3 ㉘インコSP
<コメント> 
〇カワラヒワ、スズメは前回(10/18)よりさらに多くる。そしてムクドリが突然多く
なった。これは200羽ほどの群れに遭遇したためで、11月29日の調査では14羽、
12月22日は1羽になっている。

Field Note 1980年10月28日<15:00~16:00>晴れ 市民プール付近 
〇アオアシシギ2  〇コチドリ?3  〇カワセミ1


●今の<調査>結果

2025年10月5日<8:10~10:00>くもり時々晴れ
①カルガモ17 ②コガモ1♀ ③キジバト5 ④カワウ1 ⑤アオサギ4 ⑥ダイサギ8
⑦コサギ3 ⑧ヒメアマツバメ5 ⑨トビ1 ⑩カワセミ1 ⑪モズ3(♂1) ⑫オナガ1
⑬ハシボソガラス12 ⑭ハシブトガラス2 ⑮シジュウカラ2 ⑯ツバメ2
⑰コシアカツバメ1 ⑱イワツバメ35± ⑲ヒヨドリ53 ⑳セッカ1 ㉑ムクドリ40±
㉒イソヒヨドリ1♂ ㉓スズメ25 ㉔キセキレイ1 ㉕ハクセキレイ1 ㉖セグロセキレイ1
㉗カワラヒワ2 ㉘ホオジロ3 ㉙ドバト20
<コメント>
〇一番橋下でカルガモ3羽にコガモ1羽が混じる、一緒に岸辺で採食。
〇一番橋下流側上空をイワツバメ20羽ほどが旋回する、移動の途中か。さらに調査修
了後であるが一番橋下流の桜並木前の上空をイワツバメ30羽ほどが旋回しながら飛翔
(20羽の群れとは別と思う)、ツバメ2羽、コシアカツバメ1羽も確認する。コシアカ
は低空を飛び腰のオレンジが鮮明に見えた。移動の群であろう。20分ほどですべ姿を
消した。
〇ヒヨドリの秋の渡り、16羽、25羽、6羽が左岸から右岸(南)に飛ぶ。
〇一番橋下流側の人家の屋根でイソヒヨドリを見る、時々姿を現す場所だ。

2025年10月14日<7:40~9:40>くもり
①カルガモ32 ②キジバト4 ③カワウ3 ④アオサギ5 ⑤ダイサギ4 ⑥コサギ7
⑦ヒメアマツバメ1 ⑧トビ1 ⑨カワセミ1♂ ⑩モズ3♂ ⑪ハシボソガラス11
⑫ハシブトガラス2 ⑬シジュウカラ4 ⑭ヒバリ2 ⑮ツバメ10+ ⑯ヒヨドリ17
⑰メジロ1 ⑱セッカ3 ⑲ムクドリ51 ⑳ノビタキ1 ㉑スズメ17 ㉒ハクセキレイ10
㉓セグロセキレイ2 ㉔カワラヒワ19 ㉕ホオジロ8 ㉖ドバト20  ㉗ガビチョウ2
<コメント>
〇カルガモが多くなった。Startから5、8、2、1、2、12計30羽になった。
〇一番橋を越え下流方向に10羽ほどのツバメが飛ぶ、移動の途中であろう。
〇一番橋下流側でノビタキをじっくり観察する。今年は春もフィールドで会った。

2025年10月24<8:15~10:10>くもり
①キジ1♂ ②カルガモ26 ③コガモ6♀ ④キジバト3 ⑤カワウ56± ⑥アオサギ12
⑦ダイサギ42 ⑧コサギ5 ⑨ミサゴ1 ⑩トビ1 ⑪ハイタカ1 ⑫カワセミ1♂
⑬モズ3(♂2) ⑭ハシボソガラス5 ⑮ハシブトガラス1 ⑯シジュウカラ1
⑰ヒヨドリ26 ⑱メジロ1 ⑲セッカ2 ⑳ムクドリ12 ㉑スズメ28 ㉒キセキレイ1
㉓ハクセキレイ6 ㉔セグロセキレイ5 ㉕カワラヒワ9 ㉖ホオジロ3 ㉗ドバト11
㉘ガビチョウ2
<コメント>
〇コガモをじっくり観察したが6羽すべて雌であった。
〇下流へ50羽ほどのカワウがばらばらに飛ぶ。
〇一番橋上をダイサギ15羽が下流に飛ぶ、橋の上流側でダイサギ22羽を数える。
本日はダイサギが多かった。
〇捕まえた大きなコイを足でつかんでミサゴが下流の高幡橋方向に飛ぶ(8:45)。
さらに10:10グランド脇を上流の平山橋方向に飛ぶ。そして調査終了後であるが桜並木前
の上空を下流に飛ぶ姿を観察する。なお昨年(24年)10月29日にも本種の記録がある。
さらに古く81年10月18日のCensus記録に初めてミサゴが登場する。

2025年10月30日<7:50~9:30>晴れ
①カルガモ7 ②コガモ12♀ ③キジバト3 ④カワウ2 ⑤アオサギ5 ⑥ダイサギ10
⑦コサギ2 ⑧ヒメアマツバメ3 ⑨トビ2 ⑩カワセミ1 ⑪モズ4(♂3♂1)
⑫ハシボソガラス4 ⑬ハシブトガラス1 ⑭シジュウカラ1 ⑮ヒヨドリ29 ⑯セッカ2
⑰ムクドリ15 ⑱ジョウビタキ1♂ ⑲スズメ8 ⑳キセキレイ1 ㉑ハクセキレイ4
㉒セグロセキレイ2 ㉓カワラヒワ26± ㉔ホオジロ3 ㉕ドバト3 ⑥ガビチョウ1
<コメント>
〇一番橋上流でコガモを今回も観察する、前回は6羽であったが今回は12羽に増えて
いる、すべて雌であった、エクリプスの雄は見当たらなかった。
〇堤防わきの人家の庭でジョウビタキを確認する、今秋初めての記録だ。
※今月は4回も?浅川のField に出た。気候も良く意外な鳥にも出会える季節だ、
バードウォッチングを楽しんだ。