第10回
浅川の野鳥・今と昔
                          日野の自然を守る会 金子凱彦

 昔(1976年)の浅川の調査記録と現在(2021年)の記録を比べながら、浅川の野鳥たち
の変遷をみてきました、今回で10回目です。
45年前と同じ調査地とコース 
 浅川は陣馬山麓に源を発し八王子市、日野市を流れ多摩川に合流する延長30kmの一級
河川です。調査方法は浅川左岸の日野市民プール(川辺堀之内190番地先)から上流の一
番橋を通り運動場・豊田児童グランド(多摩川から4.4kmの位置)までの1.5kmを歩き
ながら野鳥の種類と数を記録する。当時の堤防は現在のように舗装されていなく、自転車
で通るのも危険という時代もあったが、浅川をとりまく自然環境は今日と比べはるかに多
様性に富んでいた。

昔の<調査>結果
1976年12月4日<7:25~9:20>くもり時々晴れ
①コサギ10 ②カルガモ31 ③コガモ79 ④オナガガモ75 ⑤ハシビロガモ2♂♀
⑥トビ1 ⑦キジ3♀ ⑧イソシギ1 ⑨ユリカモメ107 ⑩キジバト42 ⑪ヒバリ9
⑫ハクセキレイ20 ⑬セグロセキレイ17 ⑭タヒバリ62 ⑮ヒヨドリ7 ⑯モズ3
⑰ツグミ6 ⑱ホオジロ4 ⑲カシラダカ40+ ⑳アオジ1 ㉑カワラヒワ117
㉒スズメ382+ ㉓ムクドリ17    以上25種1036羽 <番外>ハクオウチョウ1羽
<当時のNote>
〇グランド付近で300羽以上のスズメの群れあり、一斉に飛び立つとザッザーとものすご
い音がする。
<Memo>
ハクオウチョウ(White-crested-Laughing-Thrush)全長約30㎝ 籠脱けの鳥であろう。

1976年12月11日<7:15~9:20>くもり
①コサギ7 ②カルガモ34 ③コガモ134± ④オナガガモ82± ⑤トビ1 ⑥コジュケイ1
⑦キジ1♂ ⑧イソシギ2 ⑨ユリカモメ153(上流へ146、下流へ7) ⑩キジバト49
⑪カワセミ1 ⑫ハクセキレイ26 ⑬セグロセキレイ18 ⑭タヒバリ42 ⑮ヒヨドリ11
⑯モズ1♂ ⑰ツグミ13 ⑱ホオジロ1 ⑲カシラダカ97+ ⑳アオジ3
㉑カワラヒワ219±㉒スズメ251+ ㉓ムクドリ52 ㉔オナガ2 ㉕ハシボソガラス6 
以上25種 1207羽
<当時のNote>
〇水辺の草が枯れてカモ類のカウントがしやすくなり、最近のカウントは正確になったと
思う。
〇警戒心が薄くなったのかカモはすぐ飛び立たなくなった。たとえば以前は堤防の上に人
影が見えただけで、警戒して一斉に飛び立ったのに、今日は登校途中の小学生が堤防から
降りて水辺近くまで近寄っても3~4羽のコガモが飛び立っただけで、ほかのコガモやオナ
ガガモ、カルガモはただ反対側の水辺に移動しただけであった。
〇カウントが面倒なほどユリカモメが多かった。

1976年12月19日<7:45~9:30>快晴
①コサギ7 ②カルガモ28 ③コガモ102 ④ヒドリガモ3(♂2♀1) ⑤オナガガモ126
⑥キジ1♀ ➆イソシギ3 ⑧ユリカモメ98 ⑨キジバト32 ⑩カワセミ2 ⑪ヒバリ2
⑫ハクセキレイ24 ⑬セグロセキレイ18 ⑭タヒバリ42 ⑮モズ4 ⑯ツグミ6
⑰ウグイス2 ⑱ホオジロ8 ⑲カシラダカ57+ ⑳アオジ2 ㉑カワラヒワ116+
㉒スズメ471± ㉓ムクドリ13 ㉔ハシボソガラス6 以上24種1173羽

1976年12月26日<7:55~9:45>くもり 
①コサギ6 ②マガモ2♂♀ ③カルガモ57 ④コガモ156 ⑤ヒドリガモ1♂
⑥オナガガモ156 ⑦ハシビロガモ13 ⑧コジュケイ1 ⑨クイナ1 ⑩クサシギ1
⑪ユリカモメ78 ⑫キジバト27 ⑬カワセミ1 ⑭ヒバリ6 ⑮ハクセキレイ15
⑯セグロセキレイ26 ⑰タヒバリ45 ⑱ヒヨドリ4 ⑲モズ3 ⑳ツグミ21 ㉑ホオジロ4
㉒カシラダカ32+ ㉓アオジ1 ㉔カワラヒワ313± ㉕スズメ541± ㉖ムクドリ19
㉗ハシボソガラス4  以上27種1534羽
<当時のNote>
〇タシギがよくいた水辺で、短時間であったがクイナを確認する。下腹の白と黒の横縞が
はっきりと見えた。
〇ツグミが多くなる。11/20)8羽、12/4)6羽、12/11)13羽、12/19)6羽、12/26)21羽
〇一番橋上流のグランド付近で200羽以上のカワラヒワの群、400~500羽(?)のスズメ
の群あり、一緒に飛び立つとザザーと音がする、正確な数は数えられない。

今の<調査>結果
2021年12月15日<9:00~10:30>晴れ

①キジ1♂ ②キジバト1 ③カワウ14 ④アオサギ5 ⑤ダイサギ60 ⑥タシギ1
⑦カワセミ1 ⑧モズ2♂ ⑨ハシボソガラス4 ⑩シジュウカラ3 ⑪ヒバリ3
⑫ヒヨドリ6 ⑬ムクドリ4 ⑭ムクドリ4 ⑮スズメ19 ⑯ハクセキレイ6
⑰セグロセキレイ1 ⑱ホオジロ2 ⑲カシラダカ3 ⑳アオジ6 ㉑ドバト21
以上21種166羽
<コメント>
ダイサギ60羽は亜種チュウダイサギが2~3羽で他は亜種ダイサギであった。カワウが10
羽ほど一緒であった。

2021年12月25日<9:10~10:50>くもりのち晴れ
昨夜からの雨が朝になってもやまず、調査のスタートが遅くなった。
①キジ1♂ ②キジバト3 ③カワウ3 ④アオサギ3 ⑤ダイサギ5 ⑥コサギ1
⑦トビ2 ⑧モズ2(1♂) ⑨ハシボソガラス11 ⑩ヒバリ3 ⑪ヒヨドリ7 ⑫セッカ1
⑬ムクドリ21 ⑭ツグミ2 ⑮ジョウビタキ1♀ ⑯イソヒヨドリ1♀ ⑰スズメ13
⑱キセキレイ1 ⑲ハクセキレイ2 ⑳セグロセキレイ1 ㉑カワラヒワ13 ㉒ホオジロ5
㉓カシラダカ2 ㉔ドバト6  以上24種110羽
<コメント>
〇左岸の一番橋脇の人家屋根でイソヒヨドリを見る、周辺ではよく雌を見ることができる
ようになった。45年前の浅川にはいなかった鳥である。
<雑感・雑記>
〇45年前の12月にはセンサスを含め5回の浅川の記録が残っているが、今年の12月は2回
のセンサスになってしまった、残念。やはり45年前との気力が違う?
〇都市鳥研究会の6年ぶりの「都心のカラスの塒調査」の準備や12月12日実施で結構忙し
かった。私は激減した自然教育園を担当したが、報告書は22年2月に出来る予定である。