第12回
浅川の野鳥・今と昔
                           日野の自然を守る会 金子凱彦

 昔(1977年)の浅川の調査記録と現在(2022年)の記録を比べながら、浅川の野鳥たち
の変遷をみています。
45年前と同じ調査地とコース 
 浅川は陣馬山麓に源を発し八王子市、日野市を流れ多摩川に合流する延長30kmの一級
河川です。調査方法は浅川左岸の日野市民プール(川辺堀之内190番地先)から上流の一
番橋を通り運動場・豊田児童グランド(多摩川から4.4kmの位置)までの1.5kmを歩き
ながら野鳥の種類と数を記録する。当時の堤防は現在のように舗装されていなく、自転車
で通るのも危険という時代もあったが、浅川をとりまく自然環境は今日と比べはるかに多
様性に富んでいた。

現在の浅川(2022.2.12撮影)スタート地点より上流の一番橋を見る。調査の時は市民プー
ル前の河川敷(写真)を歩く。ここではヒバリ、ホオジロ、カシラダカ、カワラヒワ、ア
オジなど11種の小鳥を観察している、時にはゴイサギ(幼鳥)が飛び立つこともあった。

昔の<調査>結果
1977年2月12日<7:55~9:30>くもり
10日に降った雪がまだ残っている、川のふちには氷が張っており寒い、寒い。
①ダイサギ2 ②コサギ9 ③カルガモ38 ④コガモ78 ⑤ヒドリガモ33 ⑥オナガガモ105
⑦ハシビロガモ1♀ ⑧チョウゲンボウ1 ⑨イカルチドリ5 ⑩イソシギ2 ⑪タシギ1
⑫ユリカモメ1 ⑬キジバト41 ⑭カワセミ2 ⑮ヒバリ8 ⑯ハクセキレイ21
⑰セグロセキレイ10 ⑱タヒバリ21 ⑲ヒヨドリ4 ⑳モズ1♂ ㉑ツグミ34 ㉒ウグイス1
㉓ホオジロ13 ㉔ホオアカ3 ㉕カシラダカ94 ㉖アオジ4 ㉗カワラヒワ289+ ㉘シメ2
㉙スズメ132+ ㉚ムクドリ27 ㉛オナガ3 ㉜ハシボソガラス10  
以上32種996羽
<当時のNote>
〇降雪の後のためか地上に降りて採餌しているカシラダカ(94羽+)、ホオジロ(13羽)、
アオジ(4羽)を観察する。カワラヒワも多かった。なおスズメは132羽だったがもっと多
いと思う。
〇カワセミは市民プール周辺と一番橋上流の南平駅付近で観察する。別個体であろう。
〇浅川左岸から300mほどの離れた竹林(77年1月3日既報)に隣接するゴルフ練習場(22年
現在もある)の上空を100羽ほどのゴイサギが舞う。3カ所に分かれて付近の雑木林や竹林
に降りる。<11:15 センサスの帰りに見る>

1977年2月20日<8:10~9:50>薄曇り 寒い
①コサギ13 ②カルガモ44 ③コガモ103 ④ヒドリガモ8 ⑤オナガガモ168 ⑥コジュケイ1
⑦イカルチドリ5 ⑧キジバト30 ⑨ヒバリ20 ⑩キセキレイ1 ⑪ハクセキレイ12
⑫セグロセキレイ5 ⑬タヒバリ24 ⑭ヒヨドリ1 ⑮モズ1♂ ⑯ツグミ44 ⑰シジュウカラ1
囀る ⑱ホオジロ10 ⑲ホオアカ3 ⑳カシラダカ63 ㉑アオジ1 ㉒カワラヒワ147+
㉓スズメ329+ ㉔ムクドリ19 ㉕オナガ15 ㉖ハシボソガラス1
以上26種1071羽
<当時のNote>
〇オナガ15羽ほどが右岸(平山側)より左岸に渡ろうとするが(天敵を)警戒してか渡り
切れず川の途中で引き返す。これを3回くり返したがとうとう渡れず平山の方に帰ってし
まった。警戒心の強い鳥である。なおリーダーのように鳴きながら先頭を行く個体は同じ
ではなく、そのたびに変わっていた。リーダーはいない?

1977年2月26日<7:35~9:20>晴れ あたたかい、手袋使用せず
①コサギ8 ②カルガモ36 ③コガモ126 ④ヒドリガモ13(♂7♀6) ⑤オナガガモ190
⑥ハシビロガモ1♂ ⑦コジュケイ2 ⑧イカルチドリ5 ⑨イソシギ2 ⑩タシギ2
⑪キジバト11 ⑫カワセミ1 ⑬ヒバリ17 ⑭キセキレイ1 ⑮ハクセキレイ15
⑯セグロセキレイ2 ⑰タヒバリ22 ⑱ヒヨドリ1 ⑲モズ1♀ ⑳ツグミ43 ㉑ホオジロ9
㉒カシラダカ6 ㉓アオジ2 ㉔カワラヒワ109 ㉕スズメ92+ ㉖ムクドリ30
㉗ハシボソガラス2   以上27種722羽
<当時のNote>
〇フィールドに近づくとコジュケイの大きな“チョットコイ、チョットコイ”の鳴き声に
迎えられる。
〇2月になりツグミ多くなる。1/3)32羽、1/8)18羽、1/16)17羽、1/30)22羽、2/12)34羽、
2/20)44羽、本日2/26)43羽
〇カワラヒワは100羽以上の群れを確認せず。スズメも大きな群れはなかった。そろそろ
春に向けて群れの解消か。

今の<調査>結果
2022年2月3日<8:45~10:20>晴れ

①キジバト6 ②カワウ7 ③アオサギ5 ④ダイサギ5 ⑤モズ3(1♂1♀)
⑥ハシボソガラス6 ⑦シジュウカラ2 ⑧ヒヨドリ3 ⑨セッカ2 ⑩ムクドリ24
⑪ツグミ10 ⑫ジョウビタキ3(2♂1♀) ⑬スズメ5 ⑭ハクセキレイ
⑮セグロセキレイ1 ⑯カワラヒワ21 ⑰ホオジロ5 ⑱カシラダカ22+ ⑲アオジ5
⑳ドバト12  
以上20種151羽

2022年2月12日<9:00~10:40>晴れ
45年前と同じように今年も10日に雪が降ったが、気象台が騒ぐほどの雪にならず拍子抜け
した。昨日、今日と日中10℃とあたたかい。そして浅川の小鳥たちが多くなった。
①キジ1 ②キジバト4 ③カワウ2 ④アオサギ2 ⑤ダイサギ8 ⑥コサギ10 ⑦タシギ1
⑧トビ2 ⑨モズ4(♂3) ⑩ハシボソガラス8 ⑪ヒバリ5 ⑫ヒヨドリ3 ⑬セッカ1
⑭ムクドリ19 ⑮ツグミ7 ⑯ジョウビタキ2♂♀ ⑰スズメ41 ⑱ハクセキレイ6
⑲セグロセキレイ2 ⑳カワラヒワ21 ㉑ホオジロ16 ㉒カシラダカ7 ㉓ドバト8  
以上23種180羽
<コメント>
〇久しぶりにコサギの群れが現れる。しばらくすると下流側に消えてしまったが、出会え
たのはラッキーであった。
〇ホオジロは3~4羽の群れにたびたび出会った、本日多かった。

2022年2月20日<9:25~11:10>くもり
前夜から朝9時近くまで雨が降っていたが、止んだので即センサスに出た。ただ開始は何
時もより遅くなる。
①キジ4(♂3♀1)②マガモ4(♂2♀2)③カルガモ8 ④コガモ4(♂2♀2)⑤キジバト7
⑥カワウ1 ⑦アオサギ4 ⑧ダイサギ6 ⑨イカルチドリ2 ⑩モズ3(♂2♀1)
⑪ハシボソガラス4 ⑫シジュウカラ3 ⑬ヒバリ4 ⑭ヒヨドリ2 ⑮ムクドリ33
⑯ツグミ9 ⑰ジョウビタキ1♂ ⑱イソヒヨドリ1♀ ⑲スズメ5 ⑳ハクセキレイ4
㉑セグロセキレイ5 ㉒タヒバリ1 ㉓カワラヒワ41 ㉔ホオジロ8 ㉕カシラダカ10
㉖アオジ3㉗ドバト25  以上27種202羽
<コメント>
〇昨夜雨だったためかマガモ、カルガモ、コガモを久しぶりに観察する。なお左岸から
1㎞ほど北の黒川清流公園の池では夜雨が降ると朝のマガモ、カルガモは激減している。
浅川に出るのであろう。
〇一番橋下流の左岸の人家の屋根にイソヒヨドリが飛来する、定番の所である。
〇堤防脇の電線にカワラヒワが37羽並んでいた。
〇出現27種、個体数が202羽、最近では最も多い記録になった。雨の効果か?カモ類が出
て、セキレイ3種がそろい、小鳥たちの数も多かった。45年前と比べると…、77年2月20日
は出現26種、1069羽であった。

2022年2月26日<8:45~10:20>晴れ
前夜から朝9時近くまで雨が降っていたが、止んだので即センサスに出た。ただ開始は何
時もより遅くなる。
①キジ2♂ ②キジバト4 ③カワウ7 ④アオサギ2 ⑤ダイサギ5 ⑥ミサゴ1 ⑦トビ1
⑧カワセミ1♂ ⑨モズ4(♂2♀2) ⑩ハシボソガラス9 ⑪セッカ1 ⑫ムクドリ12
⑬ツグミ10 ⑭ジョウビタキ2♂♀ ⑮スズメ15 ⑯ハクセキレイ3 ⑰セグロセキレイ4
⑱カワラヒワ21 ⑲ホオジロ5 ⑳シラダカ2 ㉑アオジ3 ㉒コジュケイ1 ㉓ドバト16
以上23種131羽
<コメント>
〇一番橋から下流にミサゴが飛ぶ。本種は秋にも観察しており、1月の浅川と多摩川合流点
の野鳥調査でも記録をした。
〇日枝神社のモズはペアになっているようだ、一緒に行動していた。
〇セッカの小さいが“ヒッヒッヒッ”と鳴く声を聞く、春だ。
〇日枝神社周辺でコジュケイの声を聞く、珍しい。日野市内の黒川清流公園では一時本種
が姿を消したが、近年復活している。

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●1977年2月と2022年2月の比較