第14回
浅川の野鳥・今と昔
                           日野の自然を守る会 金子凱彦

 昔(1977年)の浅川の調査記録と現在(2022年)の記録を比べながら、浅川の野鳥たち
の変遷をみています。
45年前と同じ調査地とコース 
 浅川は陣馬山麓に源を発し八王子市、日野市を流れ多摩川に合流する延長30kmの一級
河川です。調査方法は浅川左岸の日野市民プール(川辺堀之内190番地先)から上流の一
番橋を通り運動場・豊田児童グランド(多摩川から4.4kmの位置)までの1.5kmを歩き
ながら野鳥の種類と数を記録する。当時の堤防は現在のように舗装されていなく、自転車
で通るのも危険という時代もあったが、浅川をとりまく自然環境は今日と比べはるかに多
様性に富んでいた。

昔の<調査>結果
1977年4月2日<6:50 ~8:30>晴れ あたたかい 
①コサギ4 ②マガモ1♂ ③カルガモ27 ④コガモ85 ⑤ヒドリガモ2♀
⑥オナガガモ4(♂2♀2) ⑦トビ1 ⑧コジュケイ1 ⑨キジ1♂ ⑩クイナ2
⑪コチドリ2 ⑫イカルチドリ7 ⑬クサシギ1 ⑭イソシギ6 ⑮タシギ2
⑯ユリカモメ3 ⑰キジバト24 ⑱ヒバリ9 ⑲ツバメ5 ⑳キセキレイ1
㉑ハクセキレイ5 ㉒セグロセキレイ2 ㉓タヒバリ27 ㉔ヒヨドリ6 ㉕モズ1♂
㉖ツグミ56 ㉗セッカ1 ㉘ホオジロ5 ㉙カシラダカ10 ㉚アオジ2 ㉛カワラヒワ11
㉜スズメ59 ㉝ムクドリ8 ㉞オナガ15 ㉟ハシボソガラス2  以上35種398羽
<当時のNote>
〇クイナは2カ所で観察する。
〇ツバメを観察するがイワツバメはまだ来ていないようだ。
⇒現在は逆でイワツバメが先に姿を現し、遅れてツバメの姿を見るようになる。
〇カシラダカ、カワラヒワ、スズメは10羽以上の群れ無し。
〇オナガが左岸の日枝神社より右岸へ渡る。渡る際2回途中で引き返し、3回目に15羽が
渡れたが、何羽は神社に残ったようである。警戒心の強い神経質な鳥たちである。

1977年4月10日<6:55~8:20>晴れ
①コサギ4 ②マガモ1♂ ③カルガモ27 ④コガモ49 ⑤ヒドリガモ2♂♀
⑥オナガガモ2♂♀ ⑦チョウゲンボウ1 ⑧コジュケイ1 ⑨キジ1 ⑩クイナ1
⑪コチドリ1⑫イカルチドリ5 ⑬クサシギ1 ⑭イソシギ2 ⑮キジバト34
⑯カワセミ1 ⑰ヒバリ9 ⑱ツバメ5 ⑲イワツバメ1<初認>
⑳ハクセキレイ2<終認> ㉑タヒバリ27 ㉒ツグミ53 ㉓ホオジロ7 ㉔カシラダカ9
㉕アオジ5 ㉖カワラヒワ14 ㉗スズメ58 ㉘ムクドリ1 ㉙カケス3 ㉚オナガ20
㉛ハシボソガラス2   以上31種349羽  
<当時のNote>
〇当時ハクセキレイは冬鳥で日野では繁殖をしていなかった。
〇かなり上空を豊田側から平山方向に飛ぶ個体あり、カケスのようだ。

1977年4月17日<6:40~8:10>晴れ
○1コサギ3 ②マガモ1♂ ③カルガモ26 ④コガモ54 ⑤ヒドリガモ2♂♀
⑥コジュケイ3 ⑦キジ1 ⑦コチドリ3 ⑧クイナ1 ⑨コチドリ1 ⑩イカルチドリ6
⑪イソシギ4 ⑫タシギ5 ⑬キジバト17 ⑭カワセミ1 ⑮ヒバリ10 ⑯ツバメ7
⑰タヒバリ5 ⑱ヒヨドリ33 ⑲モズ1♂ ⑳ツグミ31 ㉑セッカ3 ㉒ホオジロ4
㉓カシラダカ3 ㉔アオジ3 ㉕カワラヒワ3 ㉖スズメ55 ㉗ムクドリ16 ㉘カケス17
㉙オナガ13 ㉚ハシボソガラス2   以上30種334羽  
<当時のNote>
〇ヒヨドリの春の渡りに出会う。12羽が右岸(平山側)から左岸の市民プールに渡り下流
方向へ飛ぶ。20羽が右岸の平山中学から川に沿って下流へ飛ぶ。通例カウントでは10羽以
下の数で、3月26日は3羽、4月2日は6羽、4月10日はゼロであった。
〇はるか上空をカケス17羽が平山側から浅川を越えて東豊田、新庁舎方向へ飛ぶ。春と秋
にはカケスの移動を観察できる。なお昨年(1976年)10月10日にも本種を観察している。
◎浅川・左岸北へ300mほどの所の竹林のサギ類の記録
1月 3日 〇ゴイサギ33羽飛び立つがまだ林にいるようだ。
3月12日 〇ゴイサギ67羽+ 〇コサギ16羽+
4月 2日 〇ゴイサギ35羽+ 〇コサギ15羽
4月10日 〇ゴイサギ21羽+ 〇コサギ10羽
4月17日 〇ゴイサギ0羽 〇コサギ0羽 
※冬の塒は解消された、ここでの繁殖はなかったようだ。今後も記録を記す。

1977年4月23日<6:30~8:05>くもりのち晴れ
①コサギ6 ②マガモ1♂ ③カルガモ25 ④コガモ65 ⑤コジュケイ1 ⑦キジ3
⑦コチドリ3 ⑧イカルチドリ5 ⑨イソシギ2 ⑩タシギ3 ⑪キジバト18 ⑫カワセミ1
⑬ヒバリ10 ⑭ツバメ4 ⑮イワツバメ2 ⑯セグロセキレイ3 ⑰タヒバリ3 ⑱ヒヨドリ4
⑲ツグミ27 ⑳セッカ3 ㉑ホオジロ3 ㉒ホオアカ1 ㉓カシラダカ4 ㉔アオジ3
㉕カワラヒワ1 ㉖スズメ56 ㉗ムクドリ14 ㉘オナガ11 ㉙ハシボソガラス2
以上29種284羽  
<当時のNote>
〇イワツバメが一番橋の下を往来しているが、巣作りは観察できず。
〇カシラダカの雄は完全な夏羽で奇麗だった。
〇カワラヒワはたった1羽、冬の何百という群れが嘘のようである。

1977年4月29日<6:25~7:40>晴れ
①コサギ5 ②カルガモ17 ③コガモ45 ④ヒドリガモ2♂♀ ⑤コジュケイ1 ⑥キジ1
⑦コチドリ2 ⑧イカルチドリ5 ⑨イソシギ3 ⑩タシギ8 ⑪キジバト12 ⑫ヒバリ8
⑬ツバメ8 ⑭イワツバメ4 ⑮セグロセキレイ1 ⑯タヒバリ4<終認>⑰ヒヨドリ60±
⑱モズ1♂ ⑲ツグミ20 ⑳セッカ2 ㉑ホオジロ2 ㉒アオジ2 ㉓カワラヒワ5
㉔スズメ43 ㉕ムクドリ23 ㉖オナガ4 ㉗ハシボソガラス4   以上27種292羽 
<当時のNote>
〇タシギは例年春の渡りの時期に多くなる。
〇ヒヨドリの渡りを観察する。30羽±、16羽、10羽の群れが右岸(南側)から左岸(北側)
に渡り、下流方向へ飛ぶ。
〇一番橋の下でイワツバメが巣作りを始める。コンクリートの壁に2羽でへばりついて土
を固めていると、割り込むようにもう1羽が近づくがすぐ離れてしまう。ここで本格的に
造巣するであろうか、楽しみである。浅川進出初記録になるか?

今の<調査>結果
2022年4月2日<8:20~10:00>晴れ
①キジ1 ②カルガモ7 ③キジバト1 ④カワウ7 ⑤アオサギ6 ⑥ダイサギ5 ⑦クイナ1
⑧オオバン1 ⑨タシギ1 ⑩トビ1 ⑪モズ2♂ ⑫ハシボソガラス8 ⑬ツバメ2
⑭イワツバメ30± ⑮ヒヨドリ5 ⑮ウグイス3 ⑰ムクドリ12 ⑱ツグミ2 ⑲スズメ3
⑳キセキレイ1 ㉑ハクセキレイ3 ㉒セグロセキレイ2 ㉓ホオジロ3 ㉔アオジ3
㉕ドバト23  以上25種135羽
<コメント>
〇一番橋よりやっとクイナを1羽観察するが、2羽の記録も報告されている。45年前に本
種は頻繁に出ていたようだ。
〇本センサスで初めてオオバンを観察する。3月2日にも同じ所で本種を見ている。オオバ
ンは越冬数が急激に増加している水辺の鳥である(全国鳥類繁殖分布調査報告2021年)
〇久しぶりにセキレイSP3種そろったが、タヒバリは観察できなかった。本種は昔とくら
べると激減しており、45年前の1977年4月2日は27羽を数えていた。
〇アオジは繁殖羽で色鮮やかであった、一面枯草の中で目を(心を)慰めてくれる。

2022年4月6日<8:20~10:00>晴れ
①キジ3(♂1♀1) ②カルガモ5 ③キジバト3 ④カワウ5 ⑤アオサギ3 ⑥ダイサギ7
⑦コチドリ2 ⑧トビ1 ⑨モズ3(♂2♀1) ⑩ハシボソガラス3 ⑪シジュウカラ1
⑫ツバメ4 ⑬イワツバメ25+ ⑭ヒヨドリ7 ⑮ウグイス2 ⑯ムクドリ15 ⑰スズメ2
⑱ハクセキレイ1 ⑲セグロセキレイ2 ⑳ホオジロ2 ㉑ドバト15 ㉒ガビチョウ6
以上22種117羽
<コメント>
〇コチドリが鳴きながら旋回していた。本日は2羽確認できた。
〇ツグミを観察できなかった、まだいると思うのだが…。

2022年4月12日<8:30~10:10>晴れ
①キジ5(♂4) ②カルガモ7 ③キジバト2 ④カワウ6 ⑤アオサギ2 ⑥ダイサギ5
⑦コサギ1 ⑧コチドリ1 ⑨モズ3(♂2) ⑩ハシボソガラス5 ⑪ハシブトガラス1
⑫シジュウカラ3 ⑬ヒバリ3 ⑭ツバメ6 ⑮イワツバメ25+ ⑯ヒヨドリ57
⑰ウグイス2 ⑱セッカ1 ⑲ムクドリ25 ⑳ツグミ1 ㉑スズメ2 ㉒ハクセキレイ3
㉓ホオジロ2 ㉔カシラダカ2 ㉕ドバト5 ㉖ガビチョウ1  以上26種175羽←
<コメント>
〇ヒヨドリの春の渡りに出会う。右岸の平山側から浅川を越え飛来した27羽が、左岸の日
枝神社わき(西側)を通り北側にまとまって去る。次の25羽は日枝神社の若葉のではじめ
たケヤキに一旦集まり、一気に北方向に飛ぶ。春の渡りは右岸(南)から左岸(北)、秋の
渡りは左岸から右岸への移動なので浅川では分かりやすい。
なお45年前の4月17日、4月29日にもヒヨドリの渡りの記録がある。
〇余談ながら…、本日はBirthday Countと名付けた。来年も実施しよう、あと何回、何年
できるか?

2022年4月23日<8:20~10:10>晴れ
①キジ7 ②カルガモ5 ③キジバト8 ④カワウ17 ⑤アオサギ5 ⑥ダイサギ11
⑦オオバン1 ⑧イカルチドリ1 ⑨コチドリ2 ⑩タシギ1 ⑪ハシボソガラス4
⑫ヒバリ1 ⑬ツバメ9 ⑭イワツバメ20+ ⑮ヒヨドリ16 ⑯ウグイス2 ⑰セッカ2
⑱ムクドリ8 ⑲スズメ3 ⑳ハクセキレイ3 ㉑セグロセキレイ2 ㉒ホオジロ4
㉓ドバト7 ㉔ガビチョウ2  以上24種141羽
<コメント>
〇今回も同じ場所でオオバンを観察する、えさ場として利用しているのであろう。
〇現在と45年前の水鳥の比較を下に記した。
 
●水辺の鳥の1977年と2022年の比較

〇昔はコガモ、カルガモなどカモ類が多く、現在は
カワウ、アオサギ、ダイサギなど大型の水鳥が多い。
カワウは25年前にいなかった。

2022年4月28日<8:00~10:00>くもり
①キジ6 ②カルガモ12 ③キジバト5 ④カワウ22 ⑤アオサギ4 ⑥ダイサギ7
⑦コチドリ2 ⑧ハシボソガラス8 ⑨ヒバリ1 ⑩ツバメ11 ⑪イワツバメ25+
⑫ヒヨドリ2 ⑬ウグイス2 ⑭セッカ2 ⑮ムクドリ15 ⑯スズメ4 ⑰ハクセキレイ3
⑱セグロセキレイ1 ⑲カワラヒワ8 ⑳ホオジロ3 ㉑ドバト3 ㉒ガビチョウ3  
以上22種147羽
<コメント>
〇カワウの小さな群れが次から次へと下流に飛んだ。フィールド内に着水した個体は1羽
もなかった。