第15回
浅川の野鳥・今と昔
                           日野の自然を守る会 金子凱彦

 昔(1977年)の浅川の調査記録と現在(2022年)の記録を比べながら、浅川の野鳥たち
の変遷をみています。
45年前と同じ調査地とコース 
 浅川は陣馬山麓に源を発し八王子市、日野市を流れ多摩川に合流する延長30kmの一級
河川です。調査方法は浅川左岸の日野市民プール(川辺堀之内190番地先)から上流の一
番橋を通り運動場・豊田児童グランド(多摩川から4.4kmの位置)までの1.5kmを歩き
ながら野鳥の種類と数を記録する。当時の堤防は現在のように舗装されていなく、自転車
で通るのも危険という時代もあったが、浅川をとりまく自然環境は今日と比べはるかに多
様性に富んでいた。

昔の<調査>結果
1977年5月3日<6:25 ~7:45>晴れ 
①コサギ13 ②マガモ1♂ ③カルガモ21 ④コガモ3 ⑤コジュケイ2 ⑥キジ2
⑦クイナ1 ⑧コチドリ4 ⑨イカルチドリ6 ⑩イソシギ2 ⑪タシギ4 ⑫キジバト13
⑬ヒバリ10 ⑭ツバメ5 ⑮イワツバメ2 ⑯ヒヨドリ5 ⑰ツグミ6 ⑱オオヨシキリ1
⑲セッカ3 ⑳ホオジロ1 ㉑アオジ1 ㉒カワラヒワ4 ㉓スズメ40 ㉔ムクドリ9
㉕オナガ1 ㉖ハシボソガラス2  以上26種162羽
<当時のNote>
〇先月に続きクイナを観察する。ただ時間の限られたセンサスではなかなか見つけにくい。
〇一番橋でイワツバメが巣作り中。
〇一番橋上流側でオオヨシキリの不完全なゲゲシを聞く。

1977年5月7日<6:30~7:50>くもり時々雨
①ゴイサギ1 ②コサギ8 ③カルガモ14 ④コガモ2♀<終認> ⑤キジ2 ⑥クイナ2
⑦コチドリ7 ⑧イカルチドリ7 ⑨クサシギ1 ⑩イソシギ2 ⑪キアシシギ7 ⑫タシギ2
⑬キジバト10 ⑭ヒバリ16 ⑮ツバメ12 ⑯イワツバメ7 ⑰キセキレイ1
⑱セグロセキレイ5(幼鳥2) ⑲ヒヨドリ2 ⑳ツグミ2<終認> ㉑オオヨシキリ1
㉒セッカ3 ㉓ホオジロ3 ㉔カワラヒワ1 ㉕スズメ63 ㉖ムクドリ17 ㉗オナガ5
㉘ハシボソガラス2   以上27種205羽  
<当時のNote>
〇コガモは早くやってきて、遅くまでいるカモである。昨年(76年)の終認は5月5日で
あった。
〇クイナを同時に2羽観察する、繁殖しているのか。なお5月12日(6:35)に今回と同じ
く一番橋上流側でクイナ2羽を確認している。
〇本日ツグミ終認。4/2)56羽、4/10)53羽、4/17)31羽、4/28)27羽、4/29)20羽、5/3)6羽、
5/7)2羽、5/14)0羽


1977年5月14日<6:25~7:50>薄曇りのち晴れ
①コサギ1 ②カルガモ14 ③コジュケイ1 ④キジ2♂ ⑤クイナ1 ⑥コチドリ5
⑦イカルチドリ3 ⑧イソシギ4 ⑨キアシシギ17 ⑩タシギ8 ⑪キジバト14 ⑫ヒバリ11
⑬ツバメ10 ⑭イワツバメ7 ⑮セグロセキレイ5(幼鳥3) ⑯ヒヨドリ2 ⑰セッカ3
⑱ホオジロ3 ⑲スズメ75 ⑳ムクドリ17 ㉑オナガ2 ㉒ハシボソガラス4
㉓ギンパラ2   以上23種212羽  
<当時のNote>
〇草が多くなり見にくくなったがクイナを観察する。嘴が真っ赤に見えた。
〇春と秋にはタシギが多くなる。
〇クイナ観察地で枯草に止まっているギンパラ2羽を見る。ギンパラは初めてであったが
スズメより小さくすぐ本種とすぐ分かった。

1977年5月21日<6:30~8:00>快晴
富士山きれいに見える、気持ちよし。
①ササゴイ1(幼鳥) ②コサギ2 ③カルガモ20 ④コジュケイ1 ⑤キジ3(♂1♀1)
⑥コチドリ5 ⑦イカルチドリ3 ⑧イソシギ2 ⑨キアシシギ18 ⑩キジバト10
⑪ヒバリ8 ⑫ツバメ8 ⑬イワツバメ6 ⑭セグロセキレイ7(幼鳥6) ⑮ヒヨドリ2
⑯オオヨシキリ2 ⑰セッカ3 ⑱ホオジロ4 ⑲スズメ85 ⑳ムクドリ29 ㉑オナガ1
㉒ハシボソガラス6 ㉓ギンパラ5  以上23種231羽  
<当時のNote>
〇草が多くなりクイナ確認できず。
⇒センサスの翌日、5月22日5:00~7:00(日の出4:31)、クイナを観察すべくブライドを
張り待つが現れず、渡ってしまったか。

1977年5月30日<6:15~7:30>快晴
①ゴイサギ1(成鳥) ②コサギ1 ③カルガモ11 ④コジュケイ2 ⑤キジ2 ⑥コチドリ7
⑦イカルチドリ4 ⑧イソシギ1 ⑨キアシシギ1 ⑩キジバト14 ⑪ヒバリ10 ⑫ツバメ28
⑬イワツバメ3 ⑭セグロセキレイ2 ⑮ヒヨドリ3 ⑯オオヨシキリ1 ⑰セッカ3
⑱ホオジロ2 ⑲スズメ88 ⑳ムクドリ11 ㉑オナガ1 ㉒ハシボソガラス6 
以上22種202羽  
<当時のNote>
〇堤防でツバメの幼鳥9羽が給餌を受けていた。本日ツバメ多い。
〇セグロセキレイ1羽が餌をくわえて右岸の平山中学へ飛ぶ。

今の<調査>結果
2022年5月3日<8:15~10:00>晴れ
①キジ4 ②カルガモ7 ③キジバト6 ④カワウ23 ⑤アオサギ2 ⑥ダイサギ4
⑦コチドリ1 ⑧キアシシギ4 ⑨トビ3 ⑩ハシボソガラス8 ⑪ヒバリ2 ⑫ツバメ6
⑬イワツバメ25+ ⑭ヒヨドリ4 ⑭ウグイス1 ⑯オオヨシキリ1 ⑰セッカ2
⑱ムクドリ12 ⑲スズメ9 ⑳ハクセキレイ1 ㉑ホオジロ4 ㉒ドバト3 ㉓ガビチョウ1
以上23種133羽
<コメント>
〇オオヨシキリの声を聞くが、まだ弱々しかった。45年目の5月3日にもオオヨシキリ初
認とある。なお前回センサス(4/28)の翌日、4月29日に一番橋で本種の声を聞いた人がいる。
〇水量が多いためかセキレイ類の姿なし。堤防脇の畑でハクセキレイ1羽のみであった。
こういうこともあるのだ。

2022年5月7日<8:10~10:00>晴れ
①キジ6 ②カルガモ6 ③キジバト6 ④カワウ4 ⑤アオサギ3 ⑥ダイサギ9
⑦イカルチドリ2 ⑧キアシシギ8 ⑨オナガ1 ⑩ハシボソガラス3 ⑪ハシブトガラス1
⑫ヒバリ1 ⑬ツバメ9 ⑭イワツバメ30+ ⑮ヒヨドリ4 ⑯ウグイス4 ⑰オオヨシキリ3
⑱セッカ4 ⑲ムクドリ18 ⑳スズメ10 ㉑ハクセキレイ2 ㉒セグロセキレイ1
㉓カワラヒワ2 ㉔ホオジロ3 ㉕ドバト5 ㉖ガビチョウ1  以上26種149羽
<コメント>
〇オオヨシキリ、セッカ多かったが、移動途中の個体もいるのではないか。
〇久しぶりにキアシシギのピューイ、ピューイの声を聞く。

2022年5月21日<8:05~9:50>くもり
①キジ1♂ ②カルガモ9 ③キジバト5 ④カワウ7 ⑤アオサギ6 ⑥ダイサギ8 ⑦コサギ2
⑧キアシシギ4 ⑨ハシボソガラス6 ⑩ツバメ13 ⑪イワツバメ30+ ⑫ヒヨドリ5
⑬ウグイス3 ⑭オオヨシキリ1 ⑮セッカ3 ⑯ムクドリ45 ⑰スズメ5 ⑱ハクセキレイ3
⑲セグロセキレイ2 ⑳ホオジロ3 ㉑ドバト9 ㉒ガビチョウ1  
以上22種171羽
<コメント>
〇立派な冠羽のコサギ2羽を観察する。2羽だけで行動をしていた。今の季節営巣地はどこ
なのか?
〇今回もキアシシギに会う。1羽、1羽、2羽の計4羽であった。なお「日野の自然を守る会」
の小久保雅之さんは14日にキアシシギ32羽を観察している。

2022年5月25日<8:20~10:10>晴れ
①キジ1♂ ②カルガモ8 ③キジバト7 ④カワウ4 ⑤アオサギ3 ⑥ダイサギ7
⑦コサギ1 ⑧イカルチドリ1 ⑨キアシシギ2 ⑩オナガ2 ⑪ハシボソガラス6
⑫ハシブトガラス1 ⑬シジュウカラ1 ⑭ツバメ10 ⑮イワツバメ30± ⑯ヒヨドリ4
⑰ウグイス4 ⑱オオヨシキリ2 ⑲セッカ3 ⑳ムクドリ40 ㉑スズメ19 ㉒ハクセキレイ2
㉓セグロセキレイ2 ㉔ホオジロ3 ㉕ドバト4 ㉖ガビチョウ1 ㉗カオグロガビチョ1 
以上27種169羽
<コメント>
〇コサギが1羽で長時間採食していた。繁殖の時期どこから飛来するのであろうか。
〇キアシシギはまだ?いた。45年前の記録によると5月30日1羽で、6月4日には確認さ
れていない。なお45年前の5月にはコチドリ、イカルチドリ、イソシギ、キアシシギの
4種がでているが、現在はこの1~2種である。
〇カオグロガビチョウをフィールド内で初めて確認する。桑の木で盛んに鳴いており、
姿も十分に観察できた。ガビチョウ同様増えてほしくない外来種である。

2022年5月30日<8:20~10:10>晴れ
①キジ1 ②カルガモ8 ③キジバト4 ④カワウ4 ⑤アオサギ4 ⑥ダイサギ6 ⑦トビ1
⑧カワセミ1 ⑨オナガ1 ⑩シボソガラス3 ⑪シジュウカラ3 ⑫ヒバリ3 ⑬ツバメ9
⑭イワツバメ35± ⑮ヒヨドリ3 ⑯ウグイス2 ⑰オオヨシキリ3 ⑱セッカ3
⑲ムクドリ52 ⑳スズメ17 ㉑ハクセキレイ2 ㉒セグロセキレイ2 ㉓カワラヒワ3
㉔ホオジロ3 ㉕ドバト8 ㉖ガビチョウ1    以上26種182羽
<コメント>
〇フィールドの最下流側で久しぶりにカワセミのホバリングを見る。下流に消える。今年
フィールド内では繁殖していないのでないか。
〇ヒバリは河川敷より高い堤防脇で繁殖しているようだ。
〇余談ながら…、45年前の6月センサス5回に挑戦した。同時日は4回(1回は雨で中止)
であったが、5回は達成した。だから何なの?と言われそうだが…、内容的にも面白く自己
満足の5月であった。よき春を満喫した。