第16回
浅川の野鳥・今と昔
                           日野の自然を守る会 金子凱彦

 昔(1977年)の浅川の調査記録と現在(2022年)の記録を比べながら、浅川の野鳥たち
の変遷をみています。
45年前と同じ調査地とコース 
 浅川は陣馬山麓に源を発し八王子市、日野市を流れ多摩川に合流する延長30kmの一級
河川です。調査方法は浅川左岸の日野市民プール(川辺堀之内190番地先)から上流の一
番橋を通り運動場・豊田児童グランド(多摩川から4.4kmの位置)までの1.5kmを歩き
ながら野鳥の種類と数を記録する。当時の堤防は現在のように舗装されていなく、自転車
で通るのも危険という時代もあったが、浅川をとりまく自然環境は今日と比べはるかに多
様性に富んでいた。

昔の<調査>結果
1977年6月4日<6:25 ~8:00>くもり 
①ササゴイ1 ②コサギ1 ③カルガモ10 ④コジュケイ2 ⑤キジ3 ⑥コチドリ5
⑦イカルチドリ3 ⑧イソシギ2 ⑨キジバト9 ⑩ヒバリ9 ⑪ツバメ14 ⑫イワツバメ5
⑬キセキレイ2 ⑭セグロセキレイ1 ⑮ヒヨドリ1 ⑯アカモズ1 ⑰セッカ3 ⑱ホオジロ4
⑲カワラヒワ2 ⑳スズメ145± ㉑ムクドリ26 ㉒オナガ5 ㉓ハシボソガラス2
以上23種256羽
<当時のNote>
〇一番橋で新しいイワツバメの巣を発見する。入り口はまだ広く内側から土を固め入り口
 を小さくつぼめている。巣は2つになった。もう1つの巣には1羽入っており抱卵中と思う。
〇浅川でアカモズを初めて見る。黒い過眼線とはっきりとした眉斑(まゆはん)が目立ち、
 頭は赤茶色のベレーボウをかぶったようであった。下面は全体白くモズより細身に見えた。
 自分のフィールドで会えて感激だ。

1977年6月26日<6:20~8:40>くもり時々小雨
増水のため市民プールから一番橋までは平山側堤防(右岸)よりカウントする。
①ササゴイ3 ②カルガモ12 ③トビ1 ④コジュケイ3 ⑤キジ2 ⑥ヒクイナ2 ⑦コチドリ3
⑧イカルチドリ4 ⑨イソシギ5 ⑩キジバト15 ⑪ヒバリ8 ⑫ツバメ33 ⑬コシアカツバメ2
⑭イワツバメ50± ⑮セグロセキレイ3 ⑯ヒヨドリ2 ⑰モズ1 ⑱セッカ2 ⑲シジュウカラ2
⑳ホオジロ2 ㉑カワラヒワ1 ㉒スズメ100± ㉓ムクドリ51 ㉔オナガ1 ㉕ハシボソガラス10
以上25種318羽  
<当時のNote>
〇ヒクイナを観察する。短時間であったが顔の赤さが目立ち印象的だった。2羽一緒であった
 ので繁殖の可能性ありか。
〇雨のためツバメ、イワツバメが多かった。
<コメント>
〇コシアカツバメは現在でも移動の時期、フィールド内で観察することがある。
<特記事項>
6月のセンサスは2回であった。途中で雨になり中止があるが、ほかの鳥見は多摩川や「日
本野鳥の会」の探鳥会への参加であった。

●今の<調査>結果
2022年6月9日<8:20~10:10>くもり
①キジ1♂ ②カルガモ10 ③キジバト19 ④カワウ3 ⑤アオサギ4 ⑥ダイサギ4 ⑦コサギ2
⑧イカルチドリ2 ⑨トビ3 ⑩カワセミ1 ⑪オナガ1 ⑫ハシボソガラス7 ⑬シジュウカラ8
⑭ヒバリ1 ⑮ツバメ8 ⑯イワツバメ20+ ⑰ヒヨドリ3 ⑱ウグイス1 ⑲オオヨシキリ1
⑳セッカ4 ㉑ムクドリ42 ㉒スズメ26 ㉓ハクセキレイ3 ㉔セグロセキレイ1 ㉕カワラヒワ8
㉖ホオジロ1 ㉗ドバト2 ㉘ガビチョウ1     以上28種181羽
<コメント>
〇45年前の6月4日は23種であったが今回は28種と種数は多い。大型の水鳥のカワウ、
 アオサギ、ダイサギが目立つが、45年前には浅川に飛来していた夏鳥のササゴイ
 は近年姿を見なくなった。

2022年6月18日<8:15~9:50>くもり
①キジ1♂ ②カルガモ7 ③キジバト5 ④カワウ3 ⑤アオサギ3 ⑥ダイサギ5
⑦イカルチドリ1 ⑧トビ1 ⑨カワセミ1 ⑩ハシボソガラス6 ⑪ヒバリ1 ⑫ツバメ5
⑬コシアカツバメ1 ⑭イワツバメ20 ⑮ヒヨドリ4 ⑯ウグイス4 ⑰セッカ2 ⑱ムクドリ28
⑲スズメ15 ⑳ハクセキレイ1 ㉑カワラヒワ5 ㉒ホオジロ3 ㉓ドバト4 ㉔ガビチョウ2
以上24種128羽
<コメント>
〇コシアカツバメは移動の季節にフィールド内で観察することがあるが、めったにない。
 今年は浅川・新井橋周辺と平山橋下流側で営巣していたが、採餌の範囲は狭いようだ。
 平山橋下流の営巣地から一番橋までは1000メートルほどだが橋までやってこない。

2022年6月27日<8:00~9:30>快晴
①キジ1 ②カルガモ4 ③キジバト4 ④カワウ4 ⑤アオサギ5 ⑥ダイサギ5 ⑦モズ1♂
⑧ハシボソガラス3 ⑨シジュウカラ2 ⑩ツバメ13 ⑪イワツバメ30 ⑫ヒヨドリ1
⑬ウグイス2 ⑭セッカ2 ⑮ムクドリ30 ⑯スズメ5 ⑰ハクセキレイ5 ⑱セグロセキレイ2
⑲カワラヒワ2 ⑳ホオジロ3 ㉑ドバト3 ㉒ガビチョウ2       
以上22種119羽
<コメント>
〇日枝神社でモズの雄を観察する。繁殖が終わった?夏羽で、色合いが全体に薄く白っぽ
 く見える。越夏するか?フィールド内では過去にモズの越夏の記録がある。
〇水辺でハクセキレイの幼鳥3羽を観察する。警戒心がうすく足元まで寄ってきた。電線
 には尾短いツバメの幼鳥4羽が親の給餌を待っていた。
〇本日、気象庁は梅雨明けしたとみられる、とのコメントを出す。この数日真夏日が続く。
 本日9時で31℃、フィールドでは熱中症に気を付けた。45年前の6月にこのような暑さは
 なかったと思うが…。