第17回
浅川の野鳥・今と昔
                           日野の自然を守る会 金子凱彦

 昔(1977年)の浅川の調査記録と現在(2022年)の記録を比べながら、浅川の野鳥たち
の変遷をみています。
45年前と同じ調査地とコース 
 浅川は陣馬山麓に源を発し八王子市、日野市を流れ多摩川に合流する延長30kmの一級
河川です。調査方法は浅川左岸の日野市民プール(川辺堀之内190番地先)から上流の一
番橋を通り運動場・豊田児童グランド(多摩川から4.4kmの位置)までの1.5kmを歩き
ながら野鳥の種類と数を記録する。当時の堤防は現在のように舗装されていなく、自転車
で通るのも危険という時代もあったが、浅川をとりまく自然環境は今日と比べはるかに多
様性に富んでいた。

昔の<調査>結果
1977年7月3日<7:00 ~8:40>晴れ
 
増水のため市民プールから一番橋までは右岸の平山側堤防を歩いて調査する。
①カルガモ38 ②コジュケイ1 ③キジ1 ④コチドリ3 ⑤イカルチドリ3 ⑥イソシギ3
⑦キジバト9 ⑧ヒバリ9 ⑨ツバメ4 ⑩イワツバメ5 ⑪セグロセキレイ8 ⑫ヒヨドリ4
⑬モズ1♀ ⑭セッカ1 ⑮オジロ1 ⑯カワラヒワ10 ⑰スズメ80± ⑱ムクドリ38 
⑲オナガ1  以上19種220羽

<当時のNote>
〇プール付近でカルガモ30羽を見る。
〇一番橋下の壊されたイワツバメの巣が再び作り始められている。昨日(7/2)、巣の下で卵
の殻4個を見つけた。

1977年7月16日<6:25~8:00>小雨のちくもり
①ササゴイ1成鳥 ②カルガモ67 ③コジュケイ1 ④キジ1♂ ⑤ヒクイナ1 ⑥コチドリ3
⑦イカルチドリ12 ⑧イソシギ8 ⑨キアシシギ1 ⑩タシギ1 ⑪キジバト62 ⑫カワセミ1
⑬ヒバリ10 ⑭ツバメ16 ⑮イワツバメ3 ⑯セグロセキレイ6 ⑰ヒヨドリ1 ⑱セッカ2
⑲シジュウカラ1 ⑳ホオジロ3 ㉑カワラヒワ8 ㉒スズメ128 ㉓ムクドリ46 ㉔オナガ3
㉕ハシボソガラス3 ㉖ギンパラ11  以上26種400羽

<当時のNote>
〇昨年12月にクイナを確認したプール付近にて、じっくりとヒクイナを観察する。1羽で
あったが6月26日と同じ個体か?短い尾を小きざみに上下に振りながら歩いており、足は
真っ赤であった。
〇一番橋用水付近の水辺にタシギと思われるシギあり。飛び立つときジェッと一声鳴き、
右岸の水辺に降りた。タシギに間違いないが、時期的に早いのではないか…。
〇久しぶりにカワセミを確認する。4月21日以来である。なお6月13日、堀之内にて浅川
からゴルフ練習場方向へ飛ぶカワセミを観察する。付近で繁殖か?
〇一番橋のイワツバメの巣が再び壊されており、付近にイワツバメの姿なし。営巣を諦
らめたのでないか。<コメント>現在ではなくなったが、当時石をぶつけて巣を壊した
り、落とすことがたびたびあった。中学生?
〇スズメの群れに混じってギンパラ11羽を確認する。本種は5月14日に2羽、5月21日に
5羽観察している。
<コメント>
〇キジバト62羽とある、観察手帳を見直すが間違いない。現在では想像できない数だが、
手帳に詳細は記されていない、ちなみに7月の記録は7/3)9羽、7/17)62羽、 7/24)58羽、
7/30)49羽とある。

1977年7月24日<6:10~7:35>晴れ
①ササゴイ1 ②コサギ1 ③カルガモ48(32羽の群れあり)④コジュケイ2 ⑤コチドリ6
⑥イカルチドリ13 ⑦キアシシギ1 ⑧イソシギ13 ⑨キジバト58 ⑩ヒバリ70
⑪ツバメ23 ⑫イワツバメ10 ⑬キセキレイ1 ⑭セグロセキレイ8 ⑮ヒヨドリ3
⑯セッカ1 ⑰ホオジロ2 ⑱カワラヒワ1 ⑲スズメ108 ⑳ムクドリ43 ㉑オナガ6
㉒ハシボソガラス6 ㉓ヘキチョウ1  以上23種426羽 
<当時のNote>
〇一番橋のイワツバメの巣は放棄されたようである。
〇ギンパラに続きヘキチョウが観察された。

1977年7月30日<6:30~7:50>くもり
①カルガモ55 ②コジュケイ1 ③キジ1♀ ④コチドリ2 ⑤イカルチドリ10
⑥キアシシギ7 ⑦イソシギ4 ⑧キジバト49 ⑨ヒバリ5 ⑩ツバメ24 ⑪キセキレイ5
⑫セグロセキレイ5 ⑬ヒヨドリ3 ⑭セッカ1 ⑮ホオジロ3 ⑯カワラヒワ11
⑰スズメ177 ⑱ムクドリ3 ⑲オナガ10 ⑳ハシボソガラス2 ㉑ヘキチョウ1 
以上21種379羽 

<当時のNote>
〇カルガモ多くなる。6/26)12羽、7/3)38羽、7/16)67羽、7/24)48羽、そして7/30)55羽に
なる。
〇キセキレイ5羽がまとまって行動していた、ファミリーか。

<コメント>
〇ヘキチョウは7月24日、30日に各1羽の記録があるが、当時のNoteに状況の記載がない
ので詳細は不明。当時、籠脱けの外来種が多数見られ、繁殖している種もあった。また
当時外来鳥の調査研究をしているグループもあった。

今の<調査>結果

2022年7月18日<7:50~9:15>くもり
①キジ1♂ ②カルガモ4 ③キジバト5 ④カワウ1 ⑤アオサギ3 ⑥ダイサギ1
⑦ハシボソガラス4 ⑧ヒバリ3 ⑨ツバメ10 ⑩イワツバメ12 ⑪ヒヨドリ5
⑫ウグイス4 ⑬セッカ4 ⑭ムクドリ20 ⑮スズメ12 ⑯ハクセキレイ1
⑰セグロセキレイ2 ⑱カワラヒワ2 ⑲ホオジロ5 ⑳ドバト12    以上20種111羽

<コメント>
〇オオヨシキリの声を聞かなかった。
〇イワツバメが激減した、繁殖が終わり渡ってしまったのであろう。

2022年7月23日<7:50~9:20>快晴
①キジ1♂ ②カルガモ2 ③キジバト5 ④カワウ2 ⑤アオサギ5 ⑥ダイサギ1
⑦ハシボソガラス4 ⑧ツバメ11 ⑨イワツバメ7 ⑩ヒヨドリ2 ⑪セッカ3 ⑫ムクドリ8
⑬スズメ12 ⑭ハクセキレイ1 ⑮カワラヒワ2 ⑯ホオジロ2 ⑰ドバト5   
以上17種73羽

<コメント>
〇暑さのためか、鳥が少なかった。
※フィールドでは大きな麦わら帽子をかぶり、日枝神社の木陰では十分の水分補給をする。
熱中症には気を付けた、そしてコロナ対策も?

2022年7月30日<7:30~9:00>快晴
①カルガモ5 ②キジバト6 ③カワウ1 ④アオサギ4 ⑤ダイサギ1 ⑥オナガ2
⑦ハシボソガラス6 ⑧シジュウカラ1 ⑨ヒバリ1 ⑩ツバメ9 ⑪ヒヨドリ3
⑫ウグイス1⑬セッカ3 ⑭ムクドリ5 ⑮スズメ15 ⑯ハクセキレイ1 ⑰セグロセキレイ2
⑱ホオジロ2 ⑲ドバト15 ⑳ガビチョウ1  以上20種78羽

<コメント>
〇7月のダイサギは少なく、毎回辛うじて1羽観察したのみ。
〇弱々しいがセッカが未だに鳴いていた。オオヨシキリの声はない。
〇45年前の7月30日とくらべると…
・カルガモが55羽、今では想像できないか数である。今春生まれた若鳥が多いか?
・コチドリ、イカルチドリ、キアシシギ、イソシギなどのシギチが出ているが現在ではな
 い。ただキアシシギが昨日(29日)一番橋で出たと聞いたが、本日は会えなかった。
・キセキレイ5羽の記録があるが、現在はまれなセキレイ類で、私のセンサスでは極少ない。