第18回
浅川の野鳥・今と昔
                           日野の自然を守る会 金子凱彦

 昔(1977年)の浅川の調査記録と現在(2022年)の記録を比べながら、浅川の野鳥たち
の変遷をみています。
45年前と同じ調査地とコース 
 浅川は陣馬山麓に源を発し八王子市、日野市を流れ多摩川に合流する延長30kmの一級
河川です。調査方法は浅川左岸の日野市民プール(川辺堀之内190番地先)から上流の一
番橋を通り運動場・豊田児童グランド(多摩川から4.4kmの位置)までの1.5kmを歩き
ながら野鳥の種類と数を記録する。当時の堤防は現在のように舗装されていなく、自転車
で通るのも危険という時代もあったが、浅川をとりまく自然環境は今日と比べはるかに多
様性に富んでいた。


△スタート地点より上流の一番橋を見る。調査はできるだけ水辺(左側)を歩く 22年8月29日撮影

昔の<調査>結果
1977年8月29日<6:20 ~7:50>くもり
 
増水のため市民プールから一番橋までは右岸の平山側堤防を歩いて調査する。
①ササゴイ4 ②コサギ5 ③カルガモ14 ④トビ2 ⑤コジュケイ1 ⑥ヒクイナ1 ⑦イカルチドリ6
⑧ムナグロ12 ⑨キアシシギ4 ⑩ソシギ3 ⑪タシギ1 ⑫キジバト14 ⑬ヒバリ6 ⑭ツバメ13
⑮キセキレイ3 ⑯セグロセキレイ11 ⑰ヒヨドリ7 ⑱モズ1 ⑲セッカ1 ⑳シジュウカラ1
㉑オジロ1 ㉒カワラヒワ4 ㉓スズメ100± ㉔ムクドリ13 ㉕オナガ1 ㉖ハシボソガラス3
以上26種232羽

<当時のNote>
〇足元からヒクイナ飛び立つ。前回は7月16日、夏の間もいたのか?繁殖は不明。
〇モズの高鳴きを聞く
〇弱々しいがセッカのヒッヒッヒッを聞く。
※20数日間続いた雨のため、8月の調査は本日のみになった。


今の<調査>結果
2022年8月6日<8:10~9:30>快晴
①カルガモ2 ②キジバト6 ③アオサギ4 ④ダイサギ6 ⑤トビ1 ⑥カワセミ2 ⑦ハシボソガラス4
⑧ツバメ7 ⑨ヒヨドリ3 ⑩ウグイス1 ⑪セッカ2 ⑫ムクドリ9 ⑬スズメ10 ⑭ハクセキレイ2
⑮セグロセキレイ5 ⑯ホオジロ1 ⑰ドバト5 
以上17種70羽

<コメント>
〇本日の「八王子・日野カワセミ会」の浅川・多摩川合流部~ふれあい橋の調査によると、多摩川に
架かる送電線に93羽のカワウが止まっていた、とのことである。そのためか本調査地では1羽のカワ
ウも観察できなかった。
〇久しぶりにトビが飛ぶ。

2022年8月15日<7:50~9:20>晴れ
①カルガモ3 ②キジバト4 ③カワウ1 ④アオサギ4 ⑤ダイサギ5 ⑥オオバン1 ⑦カワセミ2
⑧ハシボソガラス9 ⑨ハシブトガラス1 ⑩ヒバリ1 ⑪ツバメ10 ⑫ヒヨドリ11 ⑬セッカ1
⑭ムクドリ13 ⑮スズメ15 ⑯ハクセキレイ3 ⑰セグロセキレイ2 ⑱ホオジロ1 ⑲ドバト6
⑳ガビチョウ2    以上20種92羽

<コメント>
〇前回同様に一番橋下流側と上流側でカワセミを各1羽観察する。
〇日枝神社から下流の市民プールに向けて8羽のヒヨドリがまとまって飛ぶ。数は少ないが秋の渡り
であろう。
〇オオバンについて
水辺でカルガモと並ぶオオバンを1羽観察する。調査地内では今年(2022年)4月2日に初めて観察し、
4月23日が最後であったが、本日再び観察する。その間、いたのか?いなかったのか?不明であるが…。
本種はかつて冬鳥であったが、1980年代、1990年代と全国に越冬・繁殖が広がり、現在東京では一部
留鳥である。多摩川でも増えた鳥である。本種は瀬沼、湿地などに生息し、水辺で繁殖する、浅川に
オオバンが繁殖できるよい環境あるのか。

2022年8月25日<8:20:9:50>くもり
①カルガモ1 ②キジバト3 ③カワウ5 ④アオサギ8 ⑤ダイサギ5 ⑥オオバン1 ⑦カワセミ1
⑧ハシボソガラス7 ⑨ヒバリ1 ⑩ツバメ8 ⑪ヒヨドリ2 ⑫セッカ2 ⑬ムクドリ24 ⑭スズメ29
⑮ハクセキレイ1 ⑯セグロセキレイ3 ⑰ホオジロ2 ⑱ドバト3 ⑲ガビチョウ1
以上19種107羽

<コメント>
〇今回も同じ所でオオバンを観察する、今後は要注意だ。

2022年8月29日<7:50:9:20>晴れ
①カルガモ8 ②キジバト5 ③カワウ4 ④アオサギ5 ⑤ダイサギ6 ⑥オオバン1 ⑦カワセミ1
⑧ハシボソガラス3 ⑨ヒバリ1 ⑩ツバメ5 ⑪ヒヨドリ4 ⑫セッカ1 ⑬ムクドリ22 ⑭スズメ8
⑮ハクセキレイ1 ⑯セグロセキレイ5 ⑰カワラヒワ1 ⑱ホオジロ1 ⑲ドバト3 ⑳ガビチョウ1
以上20種86羽 

<コメント>
〇45年前の8月は29日のみであったので、本日の29日と比べてみる。
(77年8月29日は26種232羽、22年8月29日は20種86羽)
〇何といっても今や幻(まぼろし)の鳥的存在となった(オーバーかな?)ササゴイ(サギ科)が4羽
もいる、羨ましい。もう昔のように浅川で復活しないであろう。
〇さらに羨ましいのはイカルチドリ、ムナグロ、キアシシギ、イソシギ、タシギ等のシギチのオン
パレードである。これらの種は現在でも見ることがあるが、浅川でまとまってこれだけはない。
〇羨ましがってもしょうがない、オオバンが今日も出た。