第19回
浅川の野鳥・今と昔
                           日野の自然を守る会 金子凱彦

 昔(1977年)の浅川の調査記録と現在(2022年)の記録を比べながら、浅川の野鳥たち
の変遷をみています。
45年前と同じ調査地とコース 
 浅川は陣馬山麓に源を発し八王子市、日野市を流れ多摩川に合流する延長30kmの一級
河川です。調査方法は浅川左岸の日野市民プール(川辺堀之内190番地先)から上流の一
番橋を通り運動場・豊田児童グランド(多摩川から4.4kmの位置)までの1.5kmを歩き
ながら野鳥の種類と数を記録する。当時の堤防は現在のように舗装されていなく、自転車
で通るのも危険という時代もあったが、浅川をとりまく自然環境は今日と比べはるかに多
様性に富んでいた。

昔の<調査>結果
1977年9月4日<6:15 ~7:40>くもり時々小雨
 
①ゴイサギ6(幼鳥) ②ササゴイ2(幼鳥) ③ダイサギ1 ④コサギ22 ⑤カルガモ11
⑥イカルチドリ7 ⑦ムナグロ13 ⑧タカブシギ2 ⑨イソシギ5 ⑩キジバト3 ⑪ヒバリ4
⑫ツバメ9 ⑬キセキレイ4 ⑭ハクセキレイ1 ⑮セグロセキレイ14 ⑯モズ1(高鳴き)
⑰カワラヒワ7 ⑱スズメ145 ⑲ムクドリ6 ⑳オナガ3 ㉑ハシボソガラス3 
㉒ベニスズメ2  以上22種271羽

<当時のNote>
〇すべて幼鳥であったがゴイサギ多かった。
〇ダイサギを1羽確認する。
〇タカブシギを2羽観察する。

1977年9月11日<6:20 ~7:50>晴れ
台風11号の後なので水量多い、鳥数少ない。 
①ササゴイ1(幼鳥) ②コサギ20 ③カルガモ1 ④イカルチドリ9 ⑤ムナグロ2
⑥タカブシギ1 ⑦イソシギ5 ⑧キジバト6 ⑨ヒバリ6 ⑩ツバメ10 ⑪キセキレイ3
⑫セグロセキレイ7 ⑬ヒヨドリ1 ⑭モズ1(高鳴き) ⑮ノビタキ1 ⑯カワラヒワ2
⑰スズメ109 ⑱ムクドリ13 ⑲オナガ2 ⑳ハシボソガラス2   以上20種202羽

<当時のNote>
〇秋の渡りであろうノビタキを見るが、セグロセキレイに追われて逃げた。

1977年9月15日<6:20 ~7:45>くもり 
①ゴイサギ3(幼鳥) ②ササゴイ1(幼鳥) ③コサギ27 ④カルガモ8 ⑤コガモ6(初認)
⑥イカルチドリ6 ⑦ムナグロ6 ⑧クサシギ2 ⑨タカブシギ1 ⑩イソシギ7 ⑪タシギ5
⑫アジサシ3 ⑬キジバト6 ⑭ヒバリ3 ⑮ツバメ3 ⑯キセキレイ1 ⑰セグロセキレイ8
⑱ヒヨドリ2 ⑲モズ1 ⑳セッカ2 ㉑カワラヒワ4 ㉒スズメ184 ㉓ムクドリ2 ㉔オナガ5
㉕ハシボソガラス5   以上25種301羽 OK

<当時のNote>
〇一番橋下流側の浅瀬でコガモ6羽を初めて観察する。すべてエクリプスであった。
〇クサシギとタカブシギの違いをじっくり観察する。間違えることはないであろう。
〇タカブシギの記録・一番橋付近
(1975年)9/17(7羽)、9/19(7羽)、10/2(15羽)
(1976年)9/5~10/16の間に9回観察するが1羽もなし
(1977年)9/4(2羽)、9/11(1羽)、9/15(1羽)、9/25(1羽)、
〇本調査地でアジサシを初めて見る。下流から飛来した3羽が、立っている私の近くまで
来るとUターンして下流に去ってしまった。なお9月17日、浅川・多摩川合流点近くで本
種を20羽以上観察している。浅川を上がってくることは十分に考えられる。

1977年9月18日<6:30 ~8:10>晴れ 
①ゴイサギ1(幼鳥) ②ササゴイ3(幼鳥) ③コサギ22 ④カルガモ28 ⑤コガモ29
⑥チョウゲンボウ1 ⑦キジ1♀ ⑧イカルチドリ14 ⑨ムナグロ17 ⑩イソシギ4
⑪タシギ1 ⑫キジバト9 ⑬ヒバリ5 ⑭ツバメ5 ⑮キセキレイ4 ⑯ハクセキレイ1
⑰セグロセキレイ13 ⑱ヒヨドリ3 ⑲モズ5 ⑳ノビタキ1 ㉑セッカ1 ㉒スズメ218
㉓ムクドリ14 ㉔ハシボソガラス4   以上24種404羽

<当時のNote>
〇ハクセキレイは9月6日に1羽観察するが以後なく、9月18日より冬鳥として定着して
いる。なお昨年(1976年)は9月12日に1羽、その後間があき10月3日より毎回観察さ
れるようになった。

<コメント>
市内の多摩平に住んでいらした高野伸二さんがハクセキレイの初認日を子供向けの
野鳥図鑑に掲載しているので紹介する。日野において1960年代は冬鳥であった。
そして1970年代も冬鳥である。


1977年9月25日<6:55 ~8:30>晴れ 
※本日富士山の初冠雪
①コサギ19 ②カルガモ32 ③コガモ42 ④イカルチドリ13 ⑤ムナグロ9 ⑥タカブシギ1
⑦イソシギ5 ⑧タシギ4 ⑨キジバト14 ⑩カワセミ1 ⑪ヒバリ10 ⑫ツバメ5
⑬キセキレイ3 ⑭ハクセキレイ6 ⑮セグロセキレイ11 ⑯ヒヨドリ8 ⑰モズ5
⑱セッカ4 ⑲イカル3+ ⑳ホオジロ2 ㉑カワラヒワ10 ㉒スズメ254 ㉓ムクドリ3
㉔ハシボソガラス1   以上24種465羽

<当時のNote>
〇セッカ4羽確認、3羽が一緒になって飛び回っていた、秋から冬は群れる?
〇日枝神社の林でイカルの声を聞くが、羽数は不明。


今の<調査>結果
2022年9月5日<8:20~10:00>晴れ 残暑厳しい
①キジ1♀ ②カルガモ2 ③ドバト4 ④カワウ1 ⑤アオサギ4 ⑥ダイサギ3
⑦カワセミ2 ⑧ハシボソガラス2 ⑨ツバメ90± ⑩ヒヨドリ2 ⑪セッカ2
⑫ムクドリ30 ⑬スズメ18 ⑭ハクセキレイ1 ⑮セグロセキレイ1 ⑯カワラヒワ2
⑰ホオジロ1 ⑱ドバト4 ⑲ガビチョウ1   以上19種171羽

<コメント>
〇日枝神社前の水門にカワセミが2羽飛来する。1羽は今年生まれの若鳥のようであった。
この若鳥は左岸の人家の方に飛び去る。もう1羽(雌雄不明)は右岸水辺へ消える。この
水門周辺には雄の成鳥が定着している。
〇市民プール前の河川敷にツバメが超低空で飛翔、80羽ほどが採食で群れていた。中には
尾の短い若鳥も含まれていた。

2022年9月17日<8:00~90:30>晴れ
①キジバト7 ②カワウ1 ③アオサギ5 ④ダイサギ36 ⑤コサギ5 ⑥カワセミ1 ⑦モズ1
⑧オナガ2 ⑨ハシボソガラス4 ⑩ヒバリ1 ⑪ヒヨドリ7 ⑫セッカ5 ⑬ムクドリ15
⑭スズメ38± ⑮ハクセキレイ2 ⑯セグロセキレイ1 ⑰カワラヒワ15 ⑱ホオジロ1
⑲ドバト13 ⑳ガビチョウ1   以上20種161羽

<コメント>
〇ダイサギが多かった。調査地内の水辺で確認したのは7羽であったが、他は上流を目指
して飛ぶ数である。ほぼ調査中ダイサギはばらばらと上流に飛んでいた。平山橋より上流
に消えたようだ、どこへ行ったのだろう。
〇久しぶりにコサギを観察する。なお9月12日、調査地の下流のふれあい橋上流側で15羽
のコサギを見た。
〇スタート地点の右岸でモズの小さな声を聞く、高鳴き初認か。
〇セッカ4羽がもつれ合いながら、団子状になり飛び回っていた、どういう行動なのか?
なお1977年9月25日にもセッカ3羽が一緒に飛び回っている、との記録がある。

2022年9月25日<8:00~90:40>晴れ
①カルガモ4 ②キジバト3 ③カワウ1 ④アオサギ6 ⑤ダイサギ22 ⑥コサギ4
⑦カワセミ1 ⑧モズ4(♂2) ⑨ハシボソガラス6 ⑩ヒバリ1 ⑪ツバメ3 ⑫ヒヨドリ12
⑬セッカ2 ⑭ムクドリ17 ⑮スズメ15 ⑯ハクセキレイ4 ⑰セグロセキレイ1
⑱カワラヒワ2 ⑲ホオジロ1 ⑳ドバト5   以上20種114羽

<コメント>
台風15号の影響か、雨日が多く浅川は増水している。水辺は流れが速く濁流で洗われてい
る。水辺には小鳥類は無理であるが、大型の鳥、ダイサギ、アオサギ、コサギが多かった。
ただカワウは下流に飛ぶ1羽のみであった。
〇モズ4羽を視認、内2羽は雄であったが、他は不明。

2022年9月30日<8:00~90:40>晴れ
※富士山初冠雪、昨年より4日遅く、平年より2日早い。なお77年は9月25日とある。
①キジ1 ②カルガモ2 ③キジバト5 ④カワウ5 ⑤アオサギ6 ⑥ダイサギ11 ⑦コサギ2
⑧イカルチドリ1 ⑨トビ1 ⑩カワセミ1 ⑪モズ2(♂1) ⑫ハシボソガラス5 ⑬ツバメ5
⑭イワツバメ10 ⑮ヒヨドリ5 ⑯セッカ2 ⑰ムクドリ66 ⑱スズメ22 ⑲ハクセキレイ2
⑳セグロセキレイ5 ㉑ホオジロ1 ㉒ドバト6 ㉓ガビチョウ1   以上23種166羽

<コメント>
〇一番橋上流側を低く旋回するイワツバメを10羽ほど観察する、渡りの途中であろうか。
一瞬ヒメアマツバメと思ったがイワツバメであった、そのなかにツバメ2羽が混じってい
た。今日は秋晴れのあたたかい気候だ。