第20回
浅川の野鳥・今と昔
                           日野の自然を守る会 金子凱彦

 昔(1977年)の浅川の調査記録と現在(2022年)の記録を比べながら、浅川の野鳥たち
の変遷をみています。
45年前と同じ調査地とコース 
 浅川は陣馬山麓に源を発し八王子市、日野市を流れ多摩川に合流する延長30kmの一級
河川です。調査方法は浅川左岸の日野市民プール(川辺堀之内190番地先)から上流の一
番橋を通り運動場・豊田児童グランド(多摩川から4.4kmの位置)までの1.5kmを歩き
ながら野鳥の種類と数を記録する。当時の堤防は現在のように舗装されていなく、自転車
で通るのも危険という時代もあったが、浅川をとりまく自然環境は今日と比べはるかに多
様性に富んでいた。

昔の<調査>結果
1977年10月2日<7:00 ~8:40>くもり

①ゴイサギ2(幼鳥) ②コサギ18 ③カルガモ35 ④コガモ112 ⑤イカルチドリ11
⑥ムナグロ1 ⑦ソシギ4 ⑧タシギ7 ⑨キジバト15 ⑩ヒバリ2 ⑪ツバメ3 ⑫キセキレイ8
⑬ハクセキレイ8 ⑭セグロセキレイ13 ⑮ヒヨドリ3 ⑯モズ5 ⑰カワラヒワ2 ⑱スズメ181
⑲ムクドリ1 ⑳ハシボソガラス1  以上20種432羽
<当時のNote>
〇調査終了後(9時半ごろ)浅川左岸から300mほどの竹林(川辺堀之内)でゴイサギ50羽以上
を数える。この林はサギたちが冬塒に使っているようだ。

<コメント>
この竹林をはじめ当時の日野市のサギ類について参考までに記す。
金子凱彦 水辺の野鳥たち 日野用水開削450周年記念誌「日野用水450年!」―昨日と今日、
そして明日へ― 日野市環境共生部緑と清流課 2017年

現在の川辺堀之内の竹林、周辺では今でも水田耕作が行われている。かつては蓮も植えられて
いた。2022年11月8日撮影

竹林の南側(浅川側)は区画整理で大幅に削られている。今後どう変わるか心配だ。

1977年10月9日<8:50 ~10:10>小雨
雨のため時間をずらす。 
①コサギ10 ②カルガモ59 ③コガモ154 ④トビ1 ⑤キジ3(♂1♀2) ⑥イカルチドリ12
⑦イソシギ4 ⑧タシギ7 ⑨ユリカモメ3 ⑩キジバト5 ⑪ヒバリ5 ⑫セキレイ6 ⑬ハクセキレイ9
⑭セグロセキレイ12 ⑮ヒヨドリ3 ⑯モズ6 ⑰ホオジロ1 ⑱カワラヒワ66 ⑲スズメ224
⑳ムクドリ4 ㉑ハシボソガラス2  以上21種596羽
                                      
<当時のNote>
〇近くの運動会の花火に驚いてカルガモ、コガモが飛び立つ、数多かった。
〇イカルチドリ11羽が鳴きながら上空を舞う。
〇ユリカモメ初認、3羽が上流へ飛ぶ。

1977年10月16日<7:00 ~8:40>晴れ 
①ゴイサギ1(幼鳥) ②コサギ11 ③カルガモ49 ④コガモ150 ⑤オナガガモ10(初認)
⑥イカルチドリ7 ⑦イソシギ3 ⑧タシギ13 ⑨キジバト18 ⑩ヒバリ11 ⑪キセキレイ6
⑫ハクセキレイ18 ⑬セグロセキレイ17 ⑭ヒヨドリ4 ⑮モズ5 ⑯ノビタキ1 ⑰ホオジロ3
⑱カワラヒワ110 ⑲スズメ163 ⑳ムクドリ4 ㉑カケス2 ㉒オナガ3 ㉓ハシボソガラス2
以上22種611羽 

<当時のNote>
〇一番橋下流側にてタシギ12羽を見る、多い。
〇まだノビタキを見る。
<ノビタキの記録>1977年9/11、9/18、10/16 各1羽

1977年10月30日<7:00 ~8:50>晴れ 
①ゴイサギ1(幼鳥) ②コサギ7 ③カルガモ60 ④コガモ234 ⑤ヒドリガモ19(初認)
⑥オナガガモ55 ⑦ハシビロガモ5(初認) ⑧コジュケイ1 ⑨キジ1♀ ⑩イカルチドリ10
⑪イソシギ2 ⑫タシギ10 ⑬ユリカモメ58 ⑭キジバト20 ⑮ヒバリ5 ⑯キセキレイ12
⑰ハクセキレイ26 ⑱セグロセキレイ16 ⑲タヒバリ9(初認) ⑳ヒヨドリ3 ㉑モズ6
㉒セッカ2 ㉓シジュウカラ1 ㉔ホオジロ4 ㉕ホオアカ1 ㉖カシラダカ16 ㉗アオジ1♂
㉘カワラヒワ207± ㉙スズメ77 ㉚ムクドリ34 ㉛ハシボソガラス2   以上31種905羽 

<当時のNote>
〇コガモ多くなる。9/16)6羽(初認)9/18)29羽 9/25)42羽 10/2)112羽 10/9)154羽
10/16)150羽 10/30)234羽
〇ユリカモメ58羽は、上流へ飛ぶが46羽、下流へ飛ぶが12羽であった。ダブリがあると思う
が今後とも合計羽数とする。
〇セキレイSP多かった、特にキセキレイが目立つ。
〇セッカの姿を確認する、本種は越冬している、留鳥である。
〇冬鳥のタヒバリ、カシラダカ、アオジは初認である。
〇100羽ほどのカワラヒワの群れあり、他は40~50羽の群れであった。
〇今日は初認の鳥を6種も数え、冬鳥はほぼ出そろった感がある。あとはツグミとクイナか。

<コメント>
〇当時のセキレイSPの多さに驚く。現在フィールドでは極少ないキセキレイ12羽は想像もで
きない数だ。そしてハクセキレイ26羽、セグロセキレイ16羽、合計54羽のセキレイ類、河川
の環境もあるが、セキレイ自体が今より多かったのではないか。
〇調査終了後東豊田3丁目の畑でタヒバリを1羽見る。当時は河川から離れた畑でも見ること
ができたが、現在はタヒバリは激減して河川でもごく少ない。


今の<調査>結果
2022年10月11日<8:00~9:40>晴れ
①カルガモ2 ②ドバト4 ③カワウ1 ④アオサギ12 ⑤ダイサギ68 ⑥イソシギ1 ⑦トビ1
⑧カワセミ1 ⑨モズ3(♂2) ⑩ハシボソガラス4 ⑪ツバメ2 ⑫イワツバメ20±
⑬ヒヨドリ41± ⑭セッカ4 ⑮ムクドリ35 ⑯スズメ70± ⑰ハクセキレイ4 ⑱セグロセキレイ1
⑲カワラヒワ5 ⑳ホオジロ1 ㉑ドバト3 ㉒ガビチョウ2  以上22種285羽

<コメント>
〇一番橋上流のグランド脇の河川敷でダイサギ50羽ほどが休息していた。
〇久しぶりに飛ぶイソシギを見る。
〇スタート地点の下流側でツバメの飛翔を観察する。それ以外ではツバメは観察できなかった。
〇一番橋下流側を20羽ほどのイワツバメが旋回していた、前回の9月30日(10羽)に続いての
観察である。
〇小さいが20羽、15羽のヒヨドリの秋の渡りを観察する。

2022年10月15日<8:00~9:40>くもり
①キジ2♂ ②キジバト3 ③カワウ1 ④アオサギ3 ⑤ダイサギ6 ⑥コサギ4⑦トビ1 ⑧カワセミ3
⑨モズ3(♂2) ⑩ハシボソガラス6 ⑪ハシブトガラス1 ⑫シジュウカラ2 ⑬イワツバメ12
⑭ヒヨドリ33 ⑮セッカ2 ⑯ムクドリ43 ⑰スズメ30 ⑱ハクセキレイ2 ⑲セグロセキレイ3
⑳カワラヒワ4 ㉑ホオジロ3 ㉒ドバト5  以上22種169羽

<コメント>
〇カワセミは日枝神社前の水門、一番橋下流側の豊田水門、そして一番橋上流の南平水門前で
姿を見た。今冬はフィールド内ではこの3羽か?
〇一番橋下流側を旋回するイワツバメを見る。前回(10/11)より少なかったが10月になって
3回目である。
〇ヒヨドリの小さな群れの渡りは続いている。浅川左岸の豊田小学校の上空からグランド上空
を横切り浅川上流方向に黙々と飛ぶ20羽ほどに出会う。ヒヨドリの渡りファンとしては厳粛な
気分になる。

2022年10月24日<8:25~9:50>くもり後半小雨
一番橋から時々小雨になるが続行する。昨日より9℃気温が低いそうだ、初冬のようだ。
①キジ1♂ ②カルガモ1 ③コガモ3 ④キジバト3 ⑤カワウ1 ⑥アオサギ8 ⑦ダイサギ32
⑧トビ1 ⑨カワセミ1 ⑩モズ3(♂2) ⑪ハシボソガラス4 ⑫ヒヨドリ9 ⑬セッカ1
⑭ムクドリ15 ⑮スズメ28 ⑯ハクセキレイ3 ⑰セグロセキレイ1 ⑱カワラヒワ64 ⑲ホオジロ1
⑳ドバト6  以上20種186羽

<コメント>
〇スタート時に下流の高幡橋方向にコガモ3羽が飛ぶ、冬の到来か。
〇20羽ほどのダイサギが下流に向かって飛ぶ。
〇カワラヒワ多かった。電線に並ぶ31羽、15羽、水辺に降りた12羽の群れなどをカウントする。

2022年10月31日<8:00~9:35>晴れ
①キジバト2 ②カワウ1 ③アオサギ4 ④ダイサギ17 ⑤タシギ1 ⑥トビ1 ⑦カワセミ2♂
⑧モズ3(♂1) ⑨ハシボソガラス18 ⑩ハシブトガラス2 ⑪ヒヨドリ4 ⑫セッカ3
⑬ムクドリ53± ⑭スズメ45± ⑮ハクセキレイ6 ⑯セグロセキレイ5 ⑰カワラヒワ9
⑱ホオジロ2 ⑲ホオアカ1 ⑳ドバト3  以上20種182羽

<コメント>
〇今秋タシギを始めて確認する。定着するのか?
〇久しぶりにホオアカを観察する。移動の途中か、近年冬期の定着はない。
〇45年前の10月30日と比較すると…
77年は31種で905羽、今日は20種で182羽。
カモ類5種で373羽、本日は1種もなし、セキレイ類4種で63羽、本日は2種で11羽、シギチ3種
(イカルチドリ、イソシギ、タシギ)で22羽、そしてユリカモメ58羽、とにかく当時は水辺の
鳥が多かった。