第27回
浅川の野鳥・今と昔
                           日野の自然を守る会 金子凱彦

 昔(1978年)の浅川の調査記録と現在(2023年)の記録を比べながら、浅川の野鳥たち
の変遷をみています。
45年前と同じ調査地とコース 
 浅川は陣馬山麓に源を発し八王子市、日野市を流れ多摩川に合流する延長30kmの一級
河川です。調査方法は浅川左岸の日野市民プール(川辺堀之内190番地先)から上流の一
番橋を通り運動場・豊田児童グランド(多摩川から4.4kmの位置)までの1.5kmを歩き
ながら野鳥の種類と数を記録する。当時の堤防は現在のように舗装されていなく、自転車
で通るのも危険という時代もあったが、浅川をとりまく自然環境は今日と比べはるかに多
様性に富んでいた。

昔の<調査>結果

1978年5月1日<6:35 ~8:00>霧雨 
①コサギ17 ②カルガモ20 ③コガモ69 ④コジュケイ1 ⑤キジ3 ⑥クイナ1 ⑦コチドリ3
⑧イカルチドリ6 ⑨キアシシギ2 ⑩イソシギ7 ⑪タシギ11 ⑫キジバト16 ⑬ヒバリ8
⑭ツバメ12 ⑮イワツバメ2 ⑯セグロセキレイ1 ⑰ヒヨドリ9 ⑱ツグミ6(終認)
⑲オオヨシキリ2 ⑳セッカ4 ㉑ホオジロ2 ㉒カシラダカ6 ㉓アオジ6 ㉔カワラヒワ3
㉕スズメ82 ㉖ムクドリ11 ㉗オナガ4 ㉘ハシボソガラス4  
以上28種318羽
<当時のNote>
〇タヒバリ確認できず、前回(4/23)が終認なる。 
 77年10月30日(9羽)初認⇒78年4月23日(3羽)終認
〇オオヨシキリの声を初めて聞く、昨年(77年)は5月3日であった
〇イワツバメ2羽を確認する。カウントでは初めてあるが、4月26日に一番橋で観察している。
 イワツバメはツバメに比べ渡来が遅い。
⇒当時の記録と45年後の現在と比べるとイワツバメの初認は明らかに早くなっている。


※ツバメの初認は営巣場所に来た日をいうが、本調査の初認は営巣に関係なく初めて浅川で
 観察した日とした。イワツバメも同様であるが、終認は浅川で最後に見た記録で、南へ
 の移動の途中であろう。

1978年5月6日<6:30 ~7:40>くもり 肌寒い 
①コサギ2 ②マガモ2♂♀ ③カルガモ23 ④コガモ2♂♀ ⑤トビ1 ⑥コジュケイ3 ⑦キジ1
⑧コチドリ3 ⑨イカルチドリ1 ⑩キアシシギ5 ⑪イソシギ3 ⑫タシギ2 ⑫キジバト17
⑭ヒバリ10 ⑮ツバメ20 ⑯キセキレイ1 ⑰セグロセキレイ2 ⑱セッカ4 ⑳ホオジロ2
㉑カシラダカ3 ㉒カワラヒワ3 ㉓スズメ74 ㉔ムクドリ14 ㉕オナガ5 ㉖ハシボソガラス3
㉗ハシブトガラス1  以上27種214羽
<当時のNote>
本日は立夏であるが平年より3.2℃低い13.8℃(9:00)4月半ばの気温(朝日新聞)、その
ためか種数、個体数が少なかった。
〇移動の途中であろうマガモ2羽を観察する。

1978年5月14日<6:30 ~8:00> 薄ぐもり 
①ゴイサギ1(幼鳥)②コサギ5 ③カルガモ22 ④コガモ1♀(終認)⑤コジュケイ2 ⑥キジ1
⑦コチドリ4 ⑧イカルチドリ3 ⑨キアシシギ14 ⑩イソシギ5 ⑪タシギ5(終認)⑫キジバト16
⑬ヒバリ11 ⑭ツバメ11 ⑮イワツバメ2 ⑯キセキレイ2 ⑰セグロセキレイ2 ⑱モズ1♂
⑲オオヨシキリ1 ⑳セッカ7 ㉑シジュウカラ1 ㉒ホオジロ4 ㉓カワラヒワ2 ㉔スズメ70
㉕ムクドリ25 ㉖オナガ3 ㉗ハシボソガラス2 〇カモの雑種1  以上27種223羽
<当時のNote>
〇昨日多摩川でササゴイを観察したので、そろそろ出てもよいと思ったが駄目であった。
 なお5月16日に清水谷公園でササゴイ成鳥1羽を確認する。
〇コガモ1羽♀を辛うじて確認する、終認だ。
〇灰色味の強いモズの雄を観察する。

1978年5月21日<6:30 ~8:00> はれ 
①ゴイサギ2(成長、幼鳥)②コサギ4 ③カルガモ27 ④キジ2 ⑤コチドリ5
⑥イカルチドリ2 ⑦キアシシギ13 ⑧イソシギ3 ⑨キジバト7 ⑩ヒバリ5 ⑪ツバメ10
⑫イワツバメ5 ⑬セグロセキレイ8(幼鳥2) ⑭ヒヨドリ5 ⑮コヨシキリ1 ⑯セッカ6
⑰カワラヒワ2 ⑱スズメ8 ⑲ムクドリ14 ⑳オナガ6 ㉑ハシボソガラス2 
以上21種214羽
<当時のNote>
〇初めてコヨシキリを観察する。明らかにオオヨシキリより小さく頭にぼさぼさがない。
 白い眉斑がはっきりしており、鳴いたときオオヨシキリのように口の中が赤くなかった。
 コヨシキリに間違いないと思う。ただ1回だけの観察で移動の途中に寄ったのであろう。

1978年5月28日<6:40 ~8:00> はれ 
①マガモ1♂ ②カルガモ28 ③コジュケイ1 ④キジ3 ⑤コチドリ4 ⑥イカルチドリ4
⑦キアシシギ5 ⑧イソシギ4 ⑨キジバト9 ⑩ヒバリ10 ⑪ツバメ11 ⑫イワツバメ2
⑬セグロセキレイ1 ⑭ヒヨドリ1 ⑮セッカ5 ⑯カワラヒワ2 ⑰スズメ61 ⑱ムクドリ23
⑲オナガ3 ⑳ハシボソガラス3 〇かも類の雑種1  以上20種178羽
<当時のNote>
〇逆光で十分確認できなかったがマガモに間違いない、ただ時期的には遅いのではないか。
〇セキレイ類ではセグロセキレイを辛うじて1羽観察したのみ。
〇オナガ3羽が平山側から左岸グランドへ飛ぶが、途中で引き返してしまった、非常に神経
 質な鳥だ。
〇鳥数が少なく、全体的につまらぬカウントであった。

 
●今の<調査>結果

2023年5月1日<8:30~10:20> くもり
①キジ4 ②カルガモ9 ③キジバト8 ④カワウ9 ⑤アオサギ3 ⑥ダイサギ12 ⑦コサギ5
⑧イカルチドリ1 ⑨コチドリ2 ⑩キアシシギ27 ⑪カワセミ1 ⑫モズ5(♂3♀1)
⑬オナガ3 ⑭ハシボソガラス4 ⑮ハシブトガラス1 ⑯シジュウカラ1 ⑰ヒバリ1
⑱ツバメ14 ⑲イワツバメ28± ⑳ヒヨドリ4 ㉑ウグイス1 ㉒オオヨシキリ1 ㉓セッカ4
㉔ムクドリ9 ㉕スズメ16 ㉖ハクセキレイ4 ㉗セグロセキレイ6 ㉘カワラヒワ5 ㉙ホオジロ4
㉚ドバト10 ㉛ガビチョウ2 以上31種204羽  
<コメント>
〇Start地点からキアシシギ25羽ほどが下流に飛び立つ、さらに2羽が追う。そしてコチドリ、
 イカルチドリが鳴きながら旋回する。
〇モズを多く観察する。枯れ枝に止まっている雄に雌が飛来し、羽を震わせ餌をねだる(幼鳥
 でない)、雄は無視?雌はすぐ右岸に去る。その後の雄は観察できなかった。
〇オオヨシキリの声を聞く、夏到来!

<45年前の5月1日と比較してみると…>
〇今31種204羽、昔28種318羽、種数が今の方が多いのは意外であった。
〇今は大型の水鳥が種、数とも多い。当時カワウはいなかった、アオサギ、ダイサギは冬鳥
 で極稀なサギであった。ただ現在コサギは少なくなっている。
〇シギチは昔コチドリ、イカルチドリ、キアシシギ、イソシギ、タシギの5種で今は3種である。
 浅川では環境の変化で種、数ともシギチが減っている。
〇昔のベスト5は、スズメ82羽、コガモ69羽、カルガモ20羽、コサギ17羽、キジバト16羽、
 今はイワツバメ28羽、キアシシギ27羽、スズメ16羽、ツバメ14羽、ダイサギ12羽になる。
 キアシシギは例年より多いようだ。

2023年5月9日<8:20~10:00> 晴れ
①キジ4 ②カルガモ7 ③キジバト5 ④カワウ3 ⑤アオサギ3 ⑥ダイサギ8 ⑦コサギ6
⑧コチドリ3 ⑨キアシシギ5 ⑩トビ1 ⑪モズ3(♂2)⑫ハシボソガラス4 ⑬ツバメ8
⑭イワツバメ25 ⑮ヒヨドリ5 ⑯ウグイス2 ⑰セッカ3 ⑱ムクドリ30 ⑲スズメ18
⑳ハクセキレイ1 ㉑カワラヒワ1㉒ホオジロ4 ㉓ドバト5 ㉔ガビチョウ2
以上24種156羽   
<コメント>
〇Start地点で休息しているキアシシギ5羽を観察する。前回のように多くはなかった。
〇久しぶりにトビを見る。
〇水量が多くなり浅瀬がなくなったためか、セキレイ類を観察できなかった。堤防脇の畑で
 スズメと一緒に採食しているハクセキレイを1羽確認しただけであった。
〇本日は前回に比べ種数が少なかった。前回31種で今回は24種である。イカルチドリ、カワ
 セミ、オナガ、ハシブトガラス、シジュウカラ、ヒバリ、オオヨシキリ、セグロセキレイ
 が観察できず、今回はトビが増えた。

2023年5月27日<8:30~10:20> 晴れ
①キジ3(♂2) ②カルガモ15 ③キジバト4 ④カワウ6 ⑤アオサギ4 ⑥ダイサギ5
⑦コサギ5 ⑧ヒメアマツバメ3 ⑨イカルチドリ1 ⑩トビ1 ⑪ハシボソガラス3 ⑫ツバメ13
⑬イワツバメ27 ⑭ヒヨドリ7 ⑮ウグイス2 ⑯オオヨシキリ1 ⑰セッカ3 ⑱ムクドリ45
⑲スズメ18 ⑳ハクセキレイ1 ㉑セグロセキレイ1 ㉒カワラヒワ4 ㉓ホオジロ4 ㉔ドバト8
㉕ガビチョウ1 以上25種170羽   
<コメント>
〇高幡橋から飛来したのであろうフィールド最下流の「市営ドックラン」周辺上空をヒメア
 マツバメ3羽、イワツバメ3羽が旋回していた。
〇イカルチドリを確認するがキアシシギには観察できなかった。
〇日野市民プール下流側で本会会員の小久保さんは4月21日(初認)~5月26日(終認)まで
 本種を観察しており、5月11日、12日には25羽を数えている。なお私は5月1日に27羽数えて
 いる。今春はキアシシギが多かったか?