第30回
浅川の野鳥・今と昔
                           日野の自然を守る会 金子凱彦

 昔(1978年)の浅川の調査記録と現在(2023年)の記録を比べながら、浅川の野鳥たち
の変遷をみています。
45年前と同じ調査地とコース 
 浅川は陣馬山麓に源を発し八王子市、日野市を流れ多摩川に合流する延長30kmの一級
河川です。調査方法は浅川左岸の日野市民プール(川辺堀之内190番地先)から上流の一
番橋を通り運動場・豊田児童グランド(多摩川から4.4kmの位置)までの1.5kmを歩き
ながら野鳥の種類と数を記録する。当時の堤防は現在のように舗装されていなく、自転車
で通るのも危険という時代もあったが、浅川をとりまく自然環境は今日と比べはるかに多
様性に富んでいた。

昔の<調査>結果

1978年8月6日<6:50 ~8:20>くもり  
①ゴイサギ8(幼鳥) ②ササゴイ11(若鳥) ③コサギ13 ④カルガモ62 ⑤コジュケイ1
⑥キジ1♂ ⑦イカルチドリ5 ⑧ムナグロ5 ⑨キアシシギ3 ⑩イソシギ2 ⑪キジバト20
⑫カワセミ1 ⑬ヒバリ9 ⑭ツバメ23 ⑮イワツバメ1 ⑯セグロセキレイ7 ⑰ヒヨドリ5
⑱セッカ2 ⑲ホオジロ1 ⑳カワラヒワ3 ㉑スズメ361+ ㉒ムクドリ5 ㉓オナガ4
以上23種553羽 
<当時のNote>
〇ササゴイの幼鳥が11羽と多かった。
※現在では想像できないササゴイの数である。当時も営巣場所は分かっていなかった?
〇セグロセキレイがキアシシギを追いかけ回していた。

1978年8月20日<6:30 ~7:50>晴れ 涼しくなる  
①ゴイサギ7(幼鳥) ②ササゴイ1(成鳥) ③コサギ22 ④カルガモ38 ⑤イカルチドリ5
⑥ムナグロ14 ⑦キアシシギ6 ⑧イソシギ11 ⑨キジバト9 ⑩ヒバリ5 ⑪ツバメ13
⑫イワツバメ1 ⑬セグロセキレイ12 ⑭セッカ5 ⑮カワラヒワ4 ⑯スズメ590± ⑰ムクドリ1
⑱オナガ2 ⑲ハシボソガラス2   以上19種747羽 
<当時のNote>
〇コサギは15羽の群れあり、合計22羽になった。
〇スズメは50羽、100羽、200羽、90羽、100羽、50羽の群れに会う。

1978年8月26日<6:35 ~8:25> 晴れ  
①ヨシゴイ1 ②ゴイサギ12(幼鳥) ③ササゴイ4(成鳥2、若鳥2) ④コサギ23 ⑤カルガモ52
⑥コジュケイ1 ⑦キジ5 ⑧イカルチドリ9 ⑨ムナグロ19 ⑩タカブシギ1 ⑪キアシシギ10
⑫イソシギ6 ⑬タシギ1 ⑭キジバト17 ⑮ヒバリ7 ⑯ツバメ15 ⑰コシアカツバメ1
⑱キセキレイ1 ⑲セグロセキレイ13 ⑳ヒヨドリ1 ㉑セッカ4 ㉒カワラヒワ3 ㉓ベニスズメ1
㉔スズメ688 ㉕ムクドリ10 ㉖オナガ2 ㉗ハシボソガラス4
以上29種911羽  他〇ホトトギス類 ㉙インコ類  
<当時のNote>
〇浅川で初めてヨシゴイに出会う。右岸の一番橋と上流側の松林の中間あたりを飛ぶ本種
を観察する。飛翔時、風切り羽の黒が目立つ、大きさはキジバトほどで小さなサギであった。
まさか我がフィールドで見られるとは、感激である。
<参考>ヨシゴイL31―38㎝ W53㎝ キジバトL32-35㎝ W53-60㎝(日本の野鳥第2版
文一総合出版)
〇水辺より飛び立つタカブシギを観察する、識別に間違いない。
〇タシギを確認する、初認になる。
〇イワツバメはいなかったが一番橋にてコシアカツバメを観察する。
〇右岸桜並木から左岸の市役所方向に飛ぶホトトギス類を観察するが、カッコウ、ホトト
ギス、ツツドリ?識別できず。
〇飛ぶ緑色のインコを発見するが、すぐ見失ってしまった。
<現在のコメント>
〇ヨシゴイ、ゴイサギ、ササゴイ、コサギの4種のサギを同時に観察できたとは、今とな
っては夢のような出会いである。
〇イカルチドリ(留鳥)、ムナグロ(旅鳥)、タカブシギ(旅鳥)、キアシシギ(旅鳥)、
イソシギ(留鳥)、タシギ(冬鳥)のシギチ6種、これも一堂に揃うとは夢のような!?
淺川であった。

 
●今の<調査>結果

2023年8月1日<8:30~10:00> くもり
①キジ1♂ ②カルガモ1 ③キジバト5 ④カワウ1 ⑤アオサギ10 ⑥ダイサギ6 ⑦ヒメアマツバメ1
⑧キアシシギ1 ⑨トビ1 ⑩カワセミ1 ⑪ハシボソガラス12 ⑫ハシブトガラス1 ⑬ツバメ4
⑭イワツバメ1 ⑮ヒヨドリ4 ⑯ウグイス2 ⑰セッカ4 ⑱ムクドリ2 ⑲スズメ32±
⑳ハクセキレイ2 ㉑セグロセキレイ1 ㉒カワラヒワ3 ㉓ホオジロ4 ㉔ドバト36± ㉕ガビチョウ2
以上25種134羽  
<コメント>
〇前回(7/29)は観察できなかったがキアシシギをStart地点で観察するが、1羽だけで
あった。
〇イワツバメはグランドでやっと1羽を観察したのみになった。
⇒久しぶりのくもり空であったので、調査終了後フィールド上流の平山橋で行きUターン
し下流の一番橋→新井橋まで自転車でコサギを探しに走るが、ゼロであった。

2023年8月16日<8:15~9:40> くもり、風強い
関西に上陸した台風7号の影響か時々強い風が吹く、そのためか鳥は少なかった。
①カルガモ3 ②キジバト4 ③カワウ1 ④アオサギ9 ⑤ダイサギ9 ⑥ヒメアマツバメ2 ⑦トビ2
⑧オナガ4 ⑨ハシボソガラス3 ⑩ヒバリ4 ⑪ツバメ10 ⑫イワツバメ2 ⑬ヒヨドリ3 ⑭セッカ4
⑮ムクドリ3 ⑯スズメ10 ⑰セグロセキレイ1 ⑱ホオジロ3 ⑲ドバト5 ⑳ガビチョウ2
以上20種84羽  

2023年8月26日<8:15~9:40> 晴れ
①カルガモ2 ②キジバト4 ③カワウ58 ④アオサギ8 ⑤ダイサギ15 ⑥コサギ2 ⑦コチドリ1
⑧トビ1 ⑨カワセミ1♂ ⑩オナガ7 ⑪ハシボソガラス6 ⑫ヒバリ2 ⑬ツバメ4 ⑭ヒヨドリ1
⑮セッカ4 ⑯ムクドリ45 ⑰スズメ28± ⑱ハクセキレイ2 ⑲セグロセキレイ1 ⑳カワラヒワ2
㉑ホオジロ6 ㉒ドバト6 ㉓ガビチョウ1 以上23種207羽  
<コメント>
〇45年前と同じ日に実施するが、種数、羽数とも昔と比べ少ない。1978年は29種913羽、
2023年は23種、207羽である。45年前は現在では想像できないほどサギSP、シギチSPが多く、
8月のカルガモの52羽も驚きだ。ただ昔はいなかった、または極まれだった水辺の大型の鳥、
カワウ、アオサギ、ダイサギの姿を今は常時見ることができるようになった。今日もカワウ
の群れをカウントした、貴重な浅川の鳥たちである。
〇カワウが17羽、38羽の群れで上流に飛ぶ、そこにダイサギ8羽が混じっていた。
〇単独でコサギが忙しげに採食していた。一番橋の上下で各1羽見る。
〇コチドリの声を聞くが姿は見つからなかった。
〇カワセミは若い雄であった、今年巣立ったか。