第31回
浅川の野鳥・今と昔
                           日野の自然を守る会 金子凱彦

 昔(1978年)の浅川の調査記録と現在(2023年)の記録を比べながら、浅川の野鳥たち
の変遷をみています。

45年前と同じ調査地とコース 
 浅川は陣馬山麓に源を発し八王子市、日野市を流れ多摩川に合流する延長30kmの一級
河川です。調査方法は浅川左岸の日野市民プール(川辺堀之内190番地先)から上流の一
番橋を通り運動場・豊田児童グランド(多摩川から4.4kmの位置)までの1.5kmを歩き
ながら野鳥の種類と数を記録する。当時の堤防は現在のように舗装されていなく、自転車
で通るのも危険という時代もあったが、浅川をとりまく自然環境は今日と比べはるかに多
様性に富んでいた。

昔の<調査>結果

1978年9月3日<6:40 ~8:10>はれ 
①ゴイサギ8 ②ササゴイ6(成鳥4) ③コサギ20 ④カルガモ61 ⑤コガモ1(初認)
⑥コチドリ3 ➆イカルチドリ8 ⑧ムナグロ14 ⑨タカブシギ1 ⑩キアシシギ7(終認)
⑪イソシギ8 ⑫タシギ1 ⑬キジバト6 ⑭カワセミ1 ⑮ヒバリ2 ⑯ツバメ7 ⑰セグロセキレイ7
⑱ヒヨドリ2 ⑲モズ1(高鳴き) ⑳セッカ3 ㉑スズメ465 ㉒ムクドリ2 ㉓オナガ3
㉔ハシボソガラス7  以上24種644羽 
<当時のNote>
〇Eclipseエクリプス(非繁殖羽)のコガモ1羽を確認する、初認になる。
昨年の1977年の初認は9月15日6羽、1976年の初認は9月19日9羽であった。
〇ムナグロ10羽の中にタカブシギを1羽確認する。
〇モズの高鳴きを聞く。

1978年9月10日<7:00 ~8:30>くもり 
①ゴイサギ6(幼鳥) ②ササゴイ2(若鳥) ③コサギ19 ④カルガモ34 ⑤コガモ19
⑥コジュケイ1 ⑦キジ1 ⑧ヒクイナ1 ⑨バン1 ⑩コチドリ1 ⑪イカルチドリ4
⑫ムナグロ2(終認) ⑬イソシギ4 ⑭タシギ3 ⑮キジバト22 ⑯ヒバリ4 ⑰ツバメ5
⑱キセキレイ2 ⑲セグロセキレイ8 ⑳ヒヨドリ8 ㉑モズ3 ㉒セッカ2 ㉓ホオジロ1
㉔カワラヒワ9 ㉕スズメ607 ㉖ムクドリ2 ㉗オナガ1 ㉘ハシボソガラス3 ㉙ベニスズメ1
以上29種776羽 
<当時のNote>
〇市民プール付近でバンの若鳥を1羽観察する。9月4日と同じ所なので同じ個体か?
〇一番橋上流、南平用水付近にてヒクイナと思われる1羽を観察する。遠方で詳細が分か
らなったがヒクイナに間違いない。移動の途中か。
〇スズメが607羽と多くなった。200羽、50羽、149羽、200羽、8羽の群れを数える。


1978年9月27日<6:40 ~8:10>くもり 
①ゴイサギ9(成鳥1幼鳥8) ②ササゴイ1(成鳥)③チュウサギ2 ④コサギ17 ⑤カルガモ95
⑥コガモ51 ⑦オナガガモ1♂(初認) ⑧キジ4(♂2♀2) ⑨イカルチドリ5 ⑩イソシギ5
⑪タシギ2 ⑫キジバト41 ⑬カワセミ1 ⑭ヒバリ7 ⑮ツバメ5 ⑯イワツバメ1 ⑰キセキレイ4
⑱セグロセキレイ7 ⑲ヒヨドリ1 ⑳モズ9(♂2♀1声4) ㉑オオヨシキリ1 ㉒セッカ2
㉓ホオジロ2 ㉔スズメ399 ㉕ムクドリ39 ㉖ハシボソガラス5  以上26種716羽 
<当時のNote>
〇コガモの数が増える。9/3)1羽、9/10)19羽、9/27)51羽
〇Eclipseエクリプス(非繁殖羽)のオナガガモ1羽を確認する、初認になる。
〇プール付近でオオヨシキリの声を聞く、渡りの途中であろう。

 
●今の<調査>結果

2023年9月6日<8:15~10:00> 晴れ
①カルガモ2 ②キジバト3 ③カワウ1 ④アオサギ7 ⑤ダイサギ5 ⑥コサギ1
⑦イカルチドリ2 ⑧キアシシギ1 ⑨トビ1 ⑩カワセミ1 ⑪モズ1♂ ⑫ハシボソガラス3
⑬ヒバリ2 ⑭ツバメ3 ⑮ヒヨドリ1 ⑯セッカ4 ⑰ムクドリ18 ⑱スズメ26 ⑲カワラヒワ1
⑳ホオジロ6 ㉑ドバト9 ㉒ガビチョウ1  以上22種99羽  
<コメント>
〇プール前の水辺より飛び立つキアシシギ1羽を確認する。私のCensusでは8月1日以来の
2回目である。今夏はこれで終わりか。
〇同じくプール前の河川敷で枯れ木に止まるモズの雄をしばらく観察する。移動中なのか、
高鳴きはなかった。

2023年9月15日<8:20~10:00> 晴れ
①カルガモ4 ②キジバト5 ③アオサギ5 ④ダイサギ7 ⑤コサギ2 ⑥イカルチドリ3
⑦カワセミ1 ⑧オナガ4 ⑨ハシボソガラス4 ⑩ハシブトガラス1 ⑪ヒバリ4 ⑫ツバメ3
⑬イワツバメ2 ⑭ヒヨドリ30± ⑮セッカ3 ⑯ムクドリ104 ⑰スズメ45 ⑱ハクセキレイ1
⑲セグロセキレイ2 ⑳ホオジロ4 ㉑ドバト19 ㉒ガビチョウ1 以上22種255羽  
<コメント>
〇秋の渡りか、左岸人家の上を30羽ほどのヒヨドリが下流方向へ飛ぶ。ほかにヒヨドリは
観察せず。
〇ムクドリが急に増えた、日枝神社の大ケヤキやムクノキから飛び立つムクドリを70羽ほ
ど数えた、まだまだいそうであった。

2023年9月21日<8:05~10:00> くもり
①キジ1♀ ②カルガモ1 ③キジバト6 ④カワウ1 ⑤アオサギ4 ⑥ダイサギ6 ⑦コサギ2
⑧コチドリ1 ⑨イソシギ2 ⑩トビ2 ⑪モズ2♂ ⑫ハシボソガラス8 ⑬ヒバリ2 ⑭ヒヨドリ3
⑮セッカ3 ⑯ムクドリ55 ⑰スズメ18 ⑱ハクセキレイ3 ⑲セグロセキレイ1 ⑳ホオジロ3
㉑ドバト14 ㉒ガビチョウ1 以上22種139 羽  
<コメント>
〇前回はカワウを観察できなかったが、今回は上流に飛ぶ1羽を辛うじて確認する。
〇水面の上をイソシギ2羽が下流に飛ぶ、翼の白帯がよく見えた。本種は久しぶりである。
〇モズの高鳴きを2カ所で聞く。
〇季節外れの猛暑は終わったようだが、まだまだ蒸し暑かった

2023年9月27日<8:20~10:00> くもり
①キジ1♂ ②カルガモ3 ③キジバト8 ④カワウ1 ⑤アオサギ7 ⑥ダイサギ4 ⑦コサギ1
⑧イソシギ1 ⑨トビ1 ⑩モズ7 ⑪ハシボソガラス12 ⑫ヒバリ1 ⑬ヒヨドリ6 ⑭セッカ2
⑮ムクドリ54 ⑯スズメ83 ⑰ハクセキレイ2 ⑱セグロセキレイ2 ⑲ホオジロ3 ⑳ドバト19
㉑ガビチョウ1 以上21種219 羽  
<コメント>
〇モズが多かった、7カ所で声を聞き、視認する。テリトリー争いの真っ最中であろう、活発
に行動していた。
〇やっと記録的猛暑の夏が終わるか…、ゆっくり鳥見を楽しみたいものだ。
〇45年前の9月27日と比べると、昔は26種716羽、今は21種219羽で、個体数では昔の方が3倍
以上多い。スズメ399羽、カルガモ95羽、コガモ51羽、キジバト41羽、ムクドリ39羽(合計588羽)
で、今で多いのはスズメ83羽、ムクドリ54羽(合計137羽)である。種類別では昔のサギSPは
ゴイサギ、ササゴイ(夏鳥)、コサギの3種であったが、今は大型のアオサギ、ダイサギそれに
小型のコサギの3種である。昔はツバメは10月上旬まで観察できたが今はもういない、渡りも早
くなったのか?。