第32回
浅川の野鳥・今と昔
                           日野の自然を守る会 金子凱彦

 昔(1978年)の浅川の調査記録と現在(2023年)の記録を比べながら、浅川の野鳥たち
の変遷をみています。

45年前と同じ調査地とコース 
 浅川は陣馬山麓に源を発し八王子市、日野市を流れ多摩川に合流する延長30kmの一級
河川です。調査方法は浅川左岸の日野市民プール(川辺堀之内190番地先)から上流の一
番橋を通り運動場・豊田児童グランド(多摩川から4.4kmの位置)までの1.5kmを歩き
ながら野鳥の種類と数を記録する。当時の堤防は現在のように舗装されていなく、自転車
で通るのも危険という時代もあったが、浅川をとりまく自然環境は今日と比べはるかに多
様性に富んでいた。

昔の<調査>結果

1978年10月7日<7:00 ~8:30> くもりのちはれ 
富士山がよく見える、10/5初冠雪。肌寒くヤッケを着用する。
①ゴイサギ9(幼鳥)②コサギ21 ③カルガモ112 ④コガモ147 ⑤イカルチドリ1 ⑥イソシギ6
⑦タシギ2 ⑧キジバト25 ⑨ヒバリ4 ⑩ツバメ2 ⑪キセキレイ4 ⑫ハクセキレイ6(初認)
⑬セグロセキレイ10 ⑭ヒヨドリ3 ⑮モズ4 ⑯ホオジロ4 ⑰カワラヒワ30 ⑱スズメ216
⑲ムクドリ12 ⑳ハシブトガラス2  以上20種620羽 
<当時のNote>
〇コガモ、カルガモが多くなる。
〇ハクセキレイの初認6羽、昨年(77年)は9月18日1羽、一昨年(76年)は10月2日
5羽であった。
<現在のコメント>
1970年当時、ハクセキレイは冬鳥であった。本調査地で春も観察できるようになった
のは1983年からである。

1978年10月17日<6:45 ~8:30>くもり 
①ゴイサギ3(成鳥1幼鳥2) ②コサギ14 ③カルガモ157 ④コガモ108 ⑤ヒドリガモ1♂(初認)
⑥オナガガモ37 ⑦トビ1 ⑧キジ2♂ ⑨イソシギ4 ⑩タシギ8 ⑪ユリカモメ2(上流へ)
⑫キジバト24 ⑬カワセミ1 ⑭ヒバリ3 ⑮ツバメ1(終認) ⑯キセキレイ4 ⑰ハクセキレイ24
⑱セグロセキレイ13 ⑲ヒヨドリ58 ⑳モズ3 ㉑ノゴマ1♀ ㉒ホオジロ1 ㉓カワラヒワ99
㉔スズメ114 ㉕ムクドリ52 ㉖ハシブトガラス1  以上26種736羽 
<当時のNote>
〇ハクセキレイが多くなる。
〇秋の渡りのヒヨドリが多かった。左岸の日枝神社から26羽、16羽と右岸(南方向)
へ飛ぶ本種をカウントした。
〇浅川で初めてノゴマの雌を観察する。白い眉斑と喉の白が鮮明、わきは薄い橙色、
短い時間であったが間違いない。まさか自分のフィールドで見ることができるとは
感激だ。
〇浅川で観察中の高野伸二さんにお会いする。

 
●今の<調査>結果

2023年10月2日<8:20~10:00> くもり時々日が差す
①カルガモ2 ②キジバト4 ③アオサギ7 ④ダイサギ12 ⑤コサギ3 ⑥イソシギ1 ⑦トビ2
⑧カワセミ2♂ ⑨モズ2♂ ⑩ハシボソガラス4 ⑪シジュウカラ1 ⑫ヒバリ2 ⑬ヒヨドリ7
⑭セッカ1 ⑮ムクドリ32 ⑯ノビタキ1 ⑰スズメ38+ ⑱ハクセキレイ4 ⑲セグロセキレイ1
⑳ホオジロ5 ㉑ドバト25 ㉒ガビチョウ1
以上22種157 羽  
<コメント>
〇サギ類が多かった、一時アオサギ、ダイサギ、コサギが一斉に舞い上がった、10羽
以上を数える。
〇水門前のコンクリートにカワセミ2羽が同時に並ぶ。
〇前回(9/27)のようにモズが多くなかった。市民プール周辺で2羽確認したのみで
ある。
〇久しぶりにノビタキを観察する、秋には浅川を通過する鳥であったが、最近見るこ
とがなかった。

2023年10月6日<8:10~10:00> 快晴
富士山の「冠雪」が見えた。今年の初冠雪は昨日の10月5日で、平年より3日、昨年よ
り5日遅かった(朝日新聞)。なお45年前の初冠雪も10月5日であった、ただ肌寒く
ヤッケを着用したと記されている。本日は長袖シャツを着たが、堤防を散策する半袖
の人もいた。

10月6日の富士山  川に架かるのが一番橋
 
①キジ2 ②カルガモ2 ③コガモ2 ④キジバト5 ⑤カワウ1 ⑥アオサギ7 ⑦ダイサギ8
⑧コサギ3 ⑨トビ1 ⑩カワセミ1 ⑪モズ5(3♂) ⑫オナガ1 ⑬ハシボソガラス4
⑭ハシブトガラス2 ⑮シジュウカラ1 ⑯ヒバリ1 ⑰ヒヨドリ26 ⑱セッカ4 ⑲ムクドリ7
⑳スズメ8 ㉑キセキリ1 ㉒ハクセキレイ7 ㉓セグロセキレイ3 ㉔ホオジロ3 ㉕ドバト25
以上25種120 羽  
<コメント>
〇日枝神社前の水門でコガモを確認する。2羽とも雌タイプであったが、すぐ飛び立っ
てしまい詳しく観察できなかった。
〇ヒヨドリの渡りを期待したが1回だけであった。左岸の日枝神社から25羽が浅川を横
切り右岸の平山方向に消えた。
〇ムクドリ、スズメの群れを見ることがなく、前回(10/2)より少なかった。ムクドリ
前回36羽→7羽、スズメ38羽→8羽であった。

2023年10月17日<8:00~10:00> 快晴
①キジ1 ②カルガモ6 ③キジバト4 ④カワウ1 ⑤アオサギ6 ⑥ダイサギ8 ⑦トビ1
⑧カワセミ1 ⑨モズ4(♂3) ⑩ハシボソガラス9 ⑪ハシブトガラス2 ⑫シジュウカラ2
⑬ヒバリ1 ⑭ヒヨドリ61+ ⑮セッカ2 ⑯ムクドリ22 ⑰スズメ5 ⑱ハクセキレイ7
⑲セグロセキレイ2 ⑳カワラヒワ2 ㉑ホオジロ5 ㉒ドバト22
以上22種169 羽  
<コメント>
〇10月になりカワウの姿が少ない、今日も1羽のみであった。
〇ヒヨドリの50羽ほどの群れが市民プール上流側の左岸から右岸に粛々と飛ぶ。秋の
浅川の風物詩だ。

2023年10月25日<8:10~10:00> くもり
①キジ1 ②マガモ1♂ ③カルガモ12 ④キジバト3 ⑤アオサギ6 ⑥ダイサギ12
⑦イカルチドリ5 ⑧トビ1 ⑨カワセミ2 ⑩モズ3(♂2) ⑪ハシボソガラス5
⑫ハシブトガラス6 ⑬シジュウカラ3 ⑭ヒバリ2 ⑮ヒヨドリ31 ⑯セッカ2 ⑰ムクドリ5
⑱スズメ15 ⑲キセキレイ1 ⑳ハクセキレイ2 ㉑セグロセキレイ2 ㉒カワラヒワ3
㉓ホオジロ10 ㉔ドバト12   以上24種145 羽  
<コメント>
〇中州からハシブトガラスに追われるようにイカルチドリ5羽が飛び立つ。
〇カワセミは2カ所で確認するが、一番橋上流側ではなかなか出会えない。
〇ヒヨドリの16羽、6羽、4羽の群れが右岸から左岸に渡る。

2023年10月30日<8:00~10:00> 秋晴れ

10月30日の富士山

①キジ2 ②カルガモ13 ③コガモ6 ④キジバト3 ⑤アオサギ5 ⑥ダイサギ10 ⑦タシギ2
⑧トビ1 ⑨オオタカ1 ⑩カワセミ1 ⑪モズ4(♂2) ⑫ハシボソガラス6 ⑬ハシブトガラス2
⑭ヒバリ1 ⑮ヒヨドリ3 ⑯セッカ1 ⑰ムクドリ3 ⑱スズメ5 ⑲ハクセキレイ8
⑳セグロセキレイ3 ㉑カワラヒワ5 ㉒ホオジロ5 ㉓ドバト29   以上23種118 羽  
<コメント>
〇タシギが2カ所で各1羽観察された、今冬定着するであろうか。
〇幼鳥のオオタカが低空でゆっくりと一番橋から上流右岸、平山方向に飛ぶ。なお10月
19日にはオオタカの成鳥が一番橋から平山橋に飛んだ。そして前日の18日には平山橋で
カルガモを捕食したオオタカ成鳥が撮影されている。
<10月の雑感>
記録的暑さの8月、厳しい残暑の9月、やっと10月になり秋の気配を感じ鳥見を楽しむ気
分になった。今月は体調もよく5回も浅川センサスに出た、そして鳥見を楽しんだ。
久しぶりのノビタキ、待望のタシギ、そしてオオタカには2回も会った、たのしい10月
であった。