第37回
浅川の野鳥・今と昔                      日野の自然を守る会 金子凱彦
 
 昔(1979年)の浅川の調査記録と現在(2024年)の記録を比べながら、浅川の野鳥たちの変遷を
みています。

45年前と同じ調査地とコース 
 浅川は陣馬山麓に源を発し八王子市、日野市を流れ多摩川に合流する延長30kmの一級河川です。
調査方法は浅川左岸の日野市民プール(川辺堀之内190番地先)から上流の一番橋を通り運動場・
豊田児童グランド(多摩川から4.4kmの位置)までの1.5kmを歩きながら野鳥の種類と数を記録
する。当時の堤防は現在のように舗装されていなく、自転車で通るのも危険という時代もあったが、
浅川をとりまく自然環境は今日と比べはるかに多様性に富んでいた。


昔の<調査>結果

1979年3月10日<7:30 ~9:20>
①ゴイサギ5(成鳥1幼鳥4)②コサギ16 ③カルガモ43 ④コガモ92 ⑤ヒドリガモ37 ⑥オナガガモ75
⑦ハシビロガモ3(♂2♀1) ⑧キジ1♂ ⑨イソシギ1 ⑩タシギ10 ⑪ユリカモメ18(上へ15 下へ3)
⑫キジバト31 ⑬カワセミ2 ⑭ハクセキレイ6 ⑮タヒバリ47 ⑯ヒヨドリ4 ⑰モズ2
⑱不明種⇒オガワコマドリ1♂ ⑲ツグミ34 ⑳ウグイス2 ㉑セッカ1 ㉒ホオジロ5 ㉓カシラダカ28
㉔アオジ4 ㉕カワラヒワ104 ㉖スズメ212 ㉗ムクドリ21 ㉘ハシボソガラス1 ㉙ハシブトガラス3
以上29種766 羽 
<当時のNote>
〇日枝神社の林にゴイサギ5羽が降りる。
〇カワセミが盛んに鳴いている、2羽いるようだ。
〇河川敷を活発にツグミが飛び回っていた、本日は多い。1/3)14羽、1/15)11羽、1/28)8羽、
2/4)22羽、2/12)17羽、2/25)18羽、3/10)34羽になる。
〇不明種の観察
・枯草の間を尾を立てて歩く、時々尾を下げては尾を上下に振る。下尾筒はジョウビタキの
雌のように赤茶色。・全体褐色で下面は白ぽく淡い。・白い眉斑(まゆはん)がある・カワラ
ヒワほどの大きさで、地上にて採餌、飛んだ姿は確認できなかった。⇒ノゴマの雌か?

3月15日(観察記録でないが記す)
出版企画の打ち合わせで高野伸二さんが来社する。10日の不明種に付いてお聞きすると、
ノゴマにしては早すぎるのでないか、4月上旬に沖縄でノゴマを観察したことがあるが…、
時期、環境、特徴から言うと「オガワコマドリ」の可能性もある、との話だった。本種な
ら東京都初記録?とのことである。

1979年3月17日<7:30 ~>
①ダイサギ1 ②コサギ13 ③カルガモ41 ④コガモ112 ⑤ヒドリガモ38 ⑥オナガガモ90
⑦ハシビロガモ3(♂2♀1) ⑧キジ1♂ ⑨クイナ1 ⑩クサシギ1 ⑪イソシギ2 ⑫タシギ2
⑬ユリカモメ1 ⑭キジバト29 ⑮カワセミ1 ⑯ヒバリ11 ⑰ハクセキレイ4 ⑱セグロセキレイ3
⑲タヒバリ5 ⑳ヒヨドリ2 ㉑モズ1♂ ㉒オガワコマドリ1♂ ㉓ツグミ17 ㉔ウグイス1
㉕ホオジロ4 ㉖カシラダカ7 ㉗アオジ12 ㉘カワラヒワ69 ㉙スズメ199+ ㉚ムクドリ15
㉛ハシボソガラス1   以上31種688 羽 
<当時のNote>
〇いる、いる!!3/10と同じ場所に尾を立てた個体が!注意深く近づいて観察すると胸に
赤褐色の薄い帯あり、オガワコマドリだ!!
〇調査途中であったが自宅に戻り高野伸二さんに電話をする、すぐ現場に戻ると、10分ほ
どして高野さんがみえた、オガワコマドリに間違いなし!やったあ~。

1979年3月21日<7:25 ~8:50>
①ゴイサギ1 ②コサギ12 ③カルガモ57 ④コガモ106 ⑤ヒドリガモ32 ⑥オナガガモ115
⑦イカルチドリ2 ⑧イソシギ2 ⑨タシギ10 ⑩キジバト63 ⑪カワセミ1 ⑫ヒバリ3
⑬ハクセキレイ8 ⑭タヒバリ8 ⑮ヒヨドリ2 ⑯オガワコマドリ1♂ ⑰ツグミ23 ⑱ウグイス2
⑲ホオジロ7 ⑳カシラダカ16 ㉑アオジ7 ㉒カワラヒワ30 ㉓スズメ145 ㉔ムクドリ8
㉕ハシボソガラス1 ㉖ハシブトガラス2        以上26種664 羽 
<当時のNote>
〇オガワコマドリの観察以外の記載なし

1979年3月25日<7:30 ~9:00> はれ 富士山きれいに見える
①コサギ28 ②カルガモ73 ③コガモ140 ④ヒドリガモ66 ⑤オナガガモ55 ⑥クイナ1
⑦イカルチドリ1 ⑧クサシギ1 ⑨イソシギ5 ⑩タシギ4 ⑪キジバト18 ⑫カワセミ1
⑬ヒバリ10 ⑭キセキレイ1 ⑮ハクセキレイ15 ⑯セグロセキレイ1 ⑰タヒバリ5 ⑱ヒヨドリ1
⑲モズ2♂♀ ⑳オガワコマドリ1♂ ㉑ツグミ28 ㉒ウグイス2 ㉓セッカ1 ㉔ホオジロ6
㉕カシラダカ6 ㉖アオジ8 ㉗カワラヒワ15 ㉘スズメ76 ㉙ムクドリ26 ㉚オナガ22
㉛ハシボソガラス2 ㉜ハシブトガラス2        以上32種623 羽 
<当時のNote>
〇日枝神社より平山側へオナガ22羽が渡ろうとするが、途中で引き返し渡り切ったのは6羽
のみであった。警戒心が強く神経質?な鳥である。
〇センサス後のオガワコマドリの観察記録(9:20~10:15)
9:28 クイナ現れる
9:36 池の奥より飛んで来るが私の手前でUターン
9:41 クイナ現れる
10:02 水辺の奥にて地上低く飛んで逃げるのを観察する、尾羽の赤褐色が鮮やかであった。

1979年3月31日<7:15 ~8:30> はれ 富士山きれい
昨夜、春の嵐?風がとても強かった。
①ゴイサギ1幼鳥 ②コサギ10 ③カルガモ80 ④コガモ118 ⑤ヒドリガモ25 ⑥オナガガモ9
⑦コジュケイ1 ⑧キジ1 ⑨イカルチドリ4 ⑩クサシギ1 ⑪イソシギ3 ⑫タシギ5 ⑬キジバト20
⑭カワセミ1 ⑮ヒバリ5 ⑯ツバメ4<初認> ⑰ハクセキレイ3 ⑱タヒバリ8 ⑲ヒヨドリ4
⑳モズ2 ㉑オガワコマドリ1♂ ㉒ツグミ23 ㉓ウグイス1 ㉔セッカ1 ㉕ホオジロ3
㉖カシラダカ7 ㉗アオジ5 ㉘カワラヒワ27 ㉙スズメ41 ㉚ムクドリ12 ㉛ハシボソガラス2
㉜ハシブトガラス3     以上32種431羽
<当時のNote>
〇オナガガモ急に減る、9羽はOHで水面には1羽もいなかった。
〇ツバメ4羽を観察する、初認になる。
<ツバメ初認の記録>1979年3月31日(4羽)、1978年3月21日(1羽)、なお2月26日にも1羽
観察している。1977年3月19日(3羽)、1976年4月14日(5羽)
〇本日(3/31)がオガワコマドリの終認になる。

<オガワコマドリのまとめ>
「日野の自然」2023年6月号の巻頭言「懐かしい鳥の思いで」より一部引用します。
日野の自然を守る会設立メンバーのお一人で、野鳥識別の権威・高野伸二さんが多摩平に
住んでいらしたので大急ぎで自宅に戻り電話を入れた(当時携帯電話はなかった)、浅川
に戻ると、10分ほどして高野さんが息をはずませながらみえた。“こんなに早く浅川まで
来たことがない、途中の中央線の踏切の開くのがこれほど待ちどうしいことはなかった”
と笑いながら話されたことを覚えている。
初心者だった私はバードウオッチャー憧れの高野さんと2人きりで、心ゆくまでオガワコ
マドリを楽しんだ、まさに至福の一時(ひととき)であった。そしてこの珍客は20日ほど
滞在し、強い風の吹いた翌日に姿を消した、北国に帰ったのであろう。
 
 
●今の<調査>結果

2024年3月4日<8:30~10:40> 晴れ
①キジ1♂ ②カルガモ3 ③コガモ1♂ ④キジバト7 ⑤カワウ6 ⑥アオサギ4 ⑦ダイサギ12
⑧コサギ3 ⑨イカルチドリ2 ⑩タシギ1 ⑪トビ2 ⑫カワセミ1♂ ⑬モズ6(♂4♀1不明1)
⑭ハシボソガラス12 ⑮ハシブトガラス1 ⑯シジュウカラ2 ⑰イワツバメ3 ⑱ヒヨドリ6
⑲メジロ2 ⑳セッカ1 ㉑ムクドリ49 ㉒ツグミ9 ㉓ジョウビタキ1♀ ㉔スズメ15
㉕ハクセキレイ3 ㉖セグロセキレイ1 ㉗カワラヒワ7 ㉘ホオジロ32 ㉙カシラダカ10
㉚アオジ11 ㉛ドバト5 ㉜ガビチョウ1
以上32種221羽
<コメント>
〇一番橋の下をくぐるように飛ぶイワツバメ3羽を観察する、初認?ただ2月28日に本会
会員がすでに一番橋で観察している。
〇一番橋上流のグラウンドでホオジロがせっせと餌を食べていた、14羽を数えたが全部が
上流方向を向いて行動していた。また一部河川敷を歩いているのでホオジロを追い立てる
ようになりカウント数が多くなっている。 

2024年3月16日<8:40~10:40> 晴れ
①キジ1 ②キジバト3 ③カワウ5 ④アオサギ2 ⑤ダイサギ8 ⑥イカルチドリ2 ⑦トビ1
⑧ハイタカ1 ⑨カワセミ1♂ ⑩モズ7(♂4♀2不明1) ⑪ハシボソガラス6 ⑫ハシブトガラス1
⑬シジュウカラ2 ⑭イワツバメ7 ⑮ヒヨドリ3 ⑯メジロ2 ⑰セッカ1 ⑱ムクドリ25
⑲ツグミ8 ⑳ジョウビタキ1♀ ㉑スズメ22 ㉒ハクセキレイ2 ㉓セグロセキレイ1
㉔カワラヒワ15 ㉕ホオジロ34 ㉖カシラダカ5 ㉗アオジ12 ㉘オオジュリン1 ㉙ドバト12
㉚ガビチョウ1 以上30種192羽
<コメント>
〇start地点の水辺の小木に止まるハイタカを発見、じっくり観察できたので間違いない、
下流の高幡橋方向に低空で飛び去る。
〇繁殖行動に入っているのであろう、モズが多かった。
〇本日もホオジロが多かった。1/2)3羽、1/9)10羽、1/19)15羽、1/25)14羽、1/31)12羽、
2/8)16羽、2/14)18羽、2/27)17羽、3/4)32羽、本日3/16)34羽であった。
〇久しぶりにオオジュリンを1羽であったが観察できた。
〇調査終了後、平山橋(多摩川合流点より5.3k)から一番橋、高幡橋、ふれあい橋(1.8k)
と下流へコサギを探しに自転車で走行するが、1羽も確認できなかった。なお14日にはこの
区間でコサギ11羽を観察している。

2024年3月21日<8:40~10:40> 晴れ 強風吹く
①キジ1♂ ②キジバト3 ③カワウ4 ④アオサギ5 ⑤ダイサギ9 ⑥イカルチドリ2
⑦トビ1 ⑧カワセミ2♂ ⑨モズ1♂ ⑩ハシボソガラス8 ⑪ハシブトガラス2
⑫シジュウカラ2 ⑬ヒバリ4 ⑭ツバメ2 ⑮イワツバメ20± ⑯ヒヨドリ2 ⑰メジロ2
⑱セッカ1 ⑲ムクドリ44 ⑳ツグミ7 ㉑ジョウビタキ1♀ ㉒スズメ10 ㉓ハクセキレイ2
㉔セグロセキレイ1 ㉕カワラヒワ4 ㉖ホオジロ12 ㉗カシラダカ9 ㉘アオジ3
㉙オオジュリン1 ㉚ドバト8 ㉛ガビチョウ1 以上31種174羽
<コメント>
〇今回もコサギの姿ない。
〇一番橋下流側を低く飛ぶツバメ2羽を確認する、今春初めてのツバメたちだ。春到来!

2024年3月27日<8:20~10:20> 晴れ 風強い
①キジ2 ②カルガモ6 ③キジバト2 ④カワウ1 ⑤アオサギ3 ⑥ダイサギ15 ⑦クイナ 
⑧セグロカモメ1 ⑨トビ3 ⑩カワセミ1 ⑪モズ7(♂4♀1不明2)⑫ハシボソガラス4
⑬ハシブトガラス1 ⑭シジュウカラ2 ⑮ヒバリ3 ⑯ツバメ3 ⑰イワツバメ10+
⑱ヒヨドリ2 ⑲セッカ1 ⑳ムクドリ43 ㉑ツグミ5 ㉒スズメ20+ ㉓ハクセキレイ3
㉔セグロセキレイ1 ㉕カワラヒワ3 ㉖ホオジロ13 ㉗アオジ6 ㉘ドバト5 ㉙ガビチョウ1
以上29種167羽
<コメント>
〇一番橋でクイナの鳴き声を聞く、よく鳴いていた。
〇久しぶりにセグロカモメを観察する。市民プール前で採食?時々カラスを追いかけてい
た。カラスに比べても大きなカモメだ。
〇モズは6回観察する、ダブリはないと思う、その内1回は求愛給餌を観察する。