第38回
浅川の野鳥・今と昔                      日野の自然を守る会 金子凱彦
 
 昔(1979年)の浅川の調査記録と現在(2024年)の記録を比べながら、浅川の野鳥たちの変遷を
みています。

45年前と同じ調査地とコース 
 浅川は陣馬山麓に源を発し八王子市、日野市を流れ多摩川に合流する延長30kmの一級河川です。
調査方法は浅川左岸の日野市民プール(川辺堀之内190番地先)から上流の一番橋を通り運動場・
豊田児童グランド(多摩川から4.4kmの位置)までの1.5kmを歩きながら野鳥の種類と数を記録
する。当時の堤防は現在のように舗装されていなく、自転車で通るのも危険という時代もあったが、
浅川をとりまく自然環境は今日と比べはるかに多様性に富んでいた。


昔の<調査>結果

1979年4月7日<7:25 ~9:00> くもり
①コサギ11 ②カルガモ43 ③コガモ99 ④ヒドリガモ23 ⑤オナガガモ5(♂2♀3)<終認> 
⑥コジュケイ1 ⑦キジ2 ⑧クイナ1 ⑨コチドリ4(初認) ⑩イカルチドリ5 ⑪クサシギ1
⑫イソシギ4 ⑬タシギ4 ⑭ユリカモメ20(上へ16 下へ4) ⑮キジバト24 ⑯カワセミ1
⑰ヒバリ8 ⑱ツバメ9 ⑲イワツバメ1 ⑳ハクセキレイ1 ㉑セグロセキレイ1 ㉒タヒバリ2
㉓ヒヨドリ8 ㉔モズ2 ㉕ツグミ26 ㉖セッカ2<囀る> ㉗ホオジロ3 ㉘カシラダカ8
㉙アオジ12 ㉚カワラヒワ8 ㉛スズメ47 ㉜ムクドリ11 ㉝ハシボソガラス2 ㉞ハシブトガラス2
以上34種401 羽 
<当時のNote>
〇コチドリ4羽初認、78年は4月2日6羽、77年は3月26日2羽が初認であった。
〇イワツバメの初認は4月3日1羽である。
〇セッカが囀る、初認は4月3日であった。

1979年4月14日<7:30 ~9:00>くもり
①コサギ9(幼鳥)②コサギ12 ③カルガモ41 ④コガモ72 ⑤ヒドリガモ2♂♀ ⑥コジュケイ1
⑦キジ3 ⑧クイナ2 ⑨コチドリ2 ⑩イカルチドリ2 ⑪クサシギ1 ⑫イソシギ4 ⑬タシギ5
⑭ユリカモメ13(上へ11下へ2) ⑮キジバト38 ⑯カワセミ1 ⑰ヒバリ9 ⑱ツバメ12
⑲イワツバメ8 ⑳ハクセキレイ1 ㉑セグロセキレイ1 ㉒タヒバリ4 ㉓ヒヨドリ4 ㉔モズ2♂♀
㉕ツグミ38 ㉖セッカ4 ㉗ホオジロ2 ㉘カシラダカ2 ㉙アオジ9 ㉚カワラヒワ19 ㉛スズメ73
㉜ムクドリ20 ㉝オナガ3 ㉞ハシボソガラス2 ㉟ハシブトガラス1
以上35種422 羽 
<当時のNote>
〇2カ所でクイナを観察するが、いつまでいるのか。
⇒4/15、1/17にクイナ探すが観察できなかった。4/14が終認になる

1979年4月22日<7:30 ~9:00>くもり
①コサギ16 ②カルガモ52 ③コガモ40 ④キジ1♂ ⑤コチドリ3 ⑥イカルチドリ2 ⑦ムナグロ1
⑧イソシギ6 ⑨タシギ11 ⑩キジバト31 ⑪カワセミ1 ⑫ヒバリ12 ⑬ツバメ9 ⑭イワツバメ3
⑮ハクセキレイ1 ⑯セグロセキレイ1 ⑰ヒヨドリ17 ⑱㉔ツグミ48 ⑲セッカ2 ⑳シジュウカラ1
㉑カシラダカ2 ㉒アオジ8 ㉓カワラヒワ35 ㉔スズメ85 ㉕ムクドリ11 ㉖オナガ1
㉗ハシボソガラス2 ㉘ハシブトガラス5
以上28種404 羽 
<当時のNote>
〇冬羽のムナグロを1羽観察する、春の観察は初めてだ。付近を注意深く探すがこの1羽
だけであった。
〇タシギ11羽と多かった、移動の途中立ち寄ったか。
〇春の渡りのヒヨドリ10羽の群れを観察する、浅川から市役所方向へ飛ぶ。

1979年4月28日<12:00 ~13:30> 一番橋~市民プール
☆センサス時でないが久しぶりに本日(4/28)タマシギ♂タイプを観察したので記す。
雄が飛ぶのを観察(12:05)、追うが見失う、本種は久しぶりである。
<タマシギの記録>
75年5月10日2羽♂♀ 5月18日2羽飛翔 6月 1日3 羽(♂1♀2)
76年4月19日2羽♂♀ 4月20日3 羽(♂2♀1) 4月29日2羽♂♀ 5月15日1羽
77年3月26日2羽飛翔
78年観察ゼロ
79年4月28日1羽♂

1979年4月29日<6:50 ~8:20>霧雨のちくもり
①ゴイサギ1(幼鳥) ②コサギ5 ③カルガモ22 ④コガモ22 ⑤トビ1 ⑥コジュケイ1 ⑦キジ5
⑧コチドリ6 ⑨イカルチドリ1 ⑩クサシギ1 ⑪イソシギ6 ⑫タシギ5 ⑬キジバト12 ⑭ヒバリ12
⑮ツバメ18 ⑯コシアカツバメ1 ⑰イワツバメ7 ⑱ハクセキレイ2(終認) ⑲セグロセキレイ1
⑳タヒバリ2(終認) ㉑ヒヨドリ2 ㉒ツグミ34 ㉓セッカ6 ㉔ホオジロ3 ㉕カシラダカ1
㉖アオジ8 ㉗カワラヒワ14 ㉘スズメ66 ㉙ムクドリ3 ㉚オナガ4 ㉛ハシボソガラス1
㉜ハシブトガラス1
以上32種304 羽 
<当時のNote>
〇コチドリの声を多く聞く
〇市民プールから右岸の桜並木を飛ぶコシアカツバメを観察する。
<コシアカツバメの記録>
77年6月19日1羽 市民プール付近
78年8月26日1羽 一番橋付近を飛ぶ
〇一番橋にてイワツバメ造巣、一つであるが2/3程度完成している。
 
 
●今の<調査>結果

2024年4月4日 清明 <8:30~10:40> くもり
①キジ5(3♂) ②カルガモ13 ③キジバト4 ④カワウ8 ⑤アオサギ2 ⑥ダイサギ10 ⑦コサギ1
⑧ヒメアマツバメ4 ⑨イカルチドリ2 ⑩タシギ1 ⑪トビ1 ⑫カワセミ2♂ ⑬モズ3♂
⑭ハシボソガラス6 ⑮ハシブトガラス2 ⑯シジュウカラ2 ⑰ヒバリ1 ⑱ツバメ7 ⑲イワツバメ30+
⑳ヒヨドリ2 ㉑セッカ1 ㉒ムクドリ28 ㉓ツグミ25 ㉔スズメ9 ㉕ハクセキレイ3 ㉖セグロセキレイ1
㉗カワラヒワ2 ㉘ホオジロ8 ㉙カシラダカ3 ㉚アオジ6 ㉛ドバト26 ㉜ガビチョウ4
以上32種222羽
<コメント>
〇カルガモが多かった、最近では珍しい。
〇河川敷を歩いていると足元からタシギが飛び立つ、じっと隠れていたのであろう、申し訳
なかった。今冬、市民プール前から一番橋でタシギの越冬はなかった、渡りの途中であろう。
〇ツグミが多かった。グランには人が一人もいなかったためか、ツグミが群れで採食していた、
21羽を数えた。
〇本日もフィールド内でウグイス囀りを聞かなかったが、調査終了後高幡橋から下流に出ると
数カ所でウグイスが鳴いていた。

2024年4月18日<8:20~10:30> くもり
①キジ6(3♂) ②カルガモ7 ③キジバト5 ④カワウ4 ⑤アオサギ1 ⑥ダイサギ5
⑦イカルチドリ1 ⑧コチドリ2 ⑨タシギ1 ⑩トビ1 ⑪カワセミ1 ⑫モズ4(♂3♀1)
⑬ボソガラス7 ⑭ハシブトガラス1 ⑮ヒバリ1 ⑯ツバメ8 ⑰イワツバメ30± ⑱ヒヨドリ77
⑲セッカ1 ⑳ムクドリ25 ㉑ツグミ18 ㉒スズメ5 ㉓ハクセキレイ1 ㉔セグロセキレイ1
㉕カワラヒワ3 ㉖ホオジロ2 ㉗ドバト5 ㉘ガビチョウ3
以上28種226羽
<コメント>
〇水辺の湿地よりタシギが一声“ジェッ”と発し、飛び立つ、渡りの途中であろう。
〇ヒヨドリの春の渡りに出会う。Start地点から日枝神社の区間(8:20~9:17)で5羽、10羽(3回)、
15羽、25羽の群れが右岸(南側)から左岸に飛ぶのを確認する。
〇調査地上流の豊田公園の芝生広場でツグミ15羽を数える、今日のセンサス数に入れておいた。

2024年4月26日<8:20~10:20> 晴れ
①キジ5 ②カルガモ8 ③キジバト4 ④カワウ1 ⑤アオサギ4 ⑥ダイサギ5 ⑦コチドリ1 ⑧タシギ1
⑨トビ1 ⑩モズ2♂ ⑪ボソガラス6 ⑫ハシブトガラス1 ⑬ヒバリ1 ⑭ツバメ8 ⑮イワツバメ30±
⑯ヒヨドリ2 ⑰オオヨシキリ1 ⑱セッカ3 ⑲ムクドリ22 ⑳ツグミ3 ㉑イソヒヨドリ1♀ ㉒スズメ5
㉓ハクセキレイ2 ㉔セグロセキレイ2 ㉕カワラヒワ6 ㉖ホオジロ5 ㉗ドバト6 ㉘ガビチョウ5
以上28種141羽
<コメント>
〇市民プール下流側の空き地からタシギが飛び立つ、一気に高幡橋を越え下流方向に消えた、
渡りの途中であろう。なお45年前(1979年)の記録によると、冬期中観察され(出現率100%)、
終認は5月13日であった。
〇遠慮がちなオオヨシキリの声を聞く、セッカは飛びながら大きな声で鳴いていた。
〇久しぶりに一橋橋北詰の電線に止まるイソヒヨドリの雌を見る。アパート方向に姿を消す、
付近で繁殖しているのであろうか。