第39回
●浅川の野鳥・今と昔 日野の自然を守る会 金子凱彦
昔(1979年)の浅川の調査記録と現在(2024年)の記録を比べながら、浅川の野鳥たちの変遷を
みています。
●45年前と同じ調査地とコース
浅川は陣馬山麓に源を発し八王子市、日野市を流れ多摩川に合流する延長30kmの一級河川です。
調査方法は浅川左岸の日野市民プール(川辺堀之内190番地先)から上流の一番橋を通り運動場・
豊田児童グランド(多摩川から4.4kmの位置)までの1.5kmを歩きながら野鳥の種類と数を記録
する。当時の堤防は現在のように舗装されていなく、自転車で通るのも危険という時代もあったが、
浅川をとりまく自然環境は今日と比べはるかに多様性に富んでいた。
●昔の<調査>結果
1979年5月1日 <17:10 ~18:15> 一番橋~市民プール
☆センサスでないがコサギの大群の記録があるので記す。
①ゴイサギ2 ②コサギ90+ ③カルガモ7 ④コガモ6 ⑤コジュケイ1 ⑥キジ2 ⑦コチドリ6
⑧イカルチドリ4 ⑨ムナグロ4 ⑩クサシギ1 ⑪イソシギ2 ⑫タシギ5 ⑬キジバト記載なし
⑭カワセミ1 ⑮ヒバリ記載なし ⑯ツバメ記載なし ⑰イワツバメ一番橋で営巣 ⑱セグロセキレイ1
⑲ヒヨドリ記載なし ⑳モズ1♂ ㉑ツグミ5 ㉒セッカ1 ㉓アオジ2 ㉔カワラヒワ2 ㉕スズメ記載なし
㉖ムクドリ記載なし ㉗オナガ4 ㉘ハシボソガラス ㉙ハシブトガラス1
<当時のNote>
〇ゴルフ練習場に隣接する竹林(浅川から左岸・北側へ300m)から90羽以上のコサギが
舞い上がる、浅川を越え右岸、平山方向に飛ぶが、再び竹林に戻る。90羽以上の記録は初
めてである。
⇒竹林で営巣していたかの記載はない。
〇一番橋でイワツバメが営巣、18:25、薄暗くハッキリ分からないが、完成した巣から顔を
出す。今年こそ無事に巣立つとよいのだが。
1979年5月3日<6:50 ~8:10>晴れ
①ゴイサギ1(幼鳥) ②コサギ4 ③カルガモ36 ④コガモ21 ⑤キジ3 ⑥コチドリ3 ⑦イカルチドリ2
⑧ムナグロ1 ⑨クサシギ1 ⑩イソシギ3 ⑪タシギ4 ⑫ユリカモメ4(上流3 下流1) ⑬キジバト
⑭カワセミ1 ⑮ヒバリ6 ⑯ツバメ11 ⑰イワツバメ3 ⑱キセキレイ1 ⑲セグロセキレイ3 ⑳ヒヨドリ1
㉑モズ2 ㉒ツグミ20 ㉓セッカ3 ㉔ホオジロ1 ㉕カシラダカ1 ㉖アオジ2 ㉗カワラヒワ1 ㉘スズメ73
㉙ムクドリ7 ㉚オナガ4 ㉛ハシボソガラス1 以上31種237 羽
<当時のNote>
〇ムナグロ1羽を観察するが他にはいないようだ。キアシシギはまだであった。
〇一番橋でイワツバメの巣が完成する。付近の壁に1羽へばりついているので他にも巣を
作るつもりか。
1979年5月6日 立夏 <7:00 ~8:00>晴れ 6月下旬から7月上旬の気候
①コサギ1 ②カルガモ23 ③コガモ3(終認) ④コジュケイ1 ⑤キジ2 ⑥コチドリ4 ⑦イカルチドリ1
⑧クサシギ1 ⑨キアシシギ1(初認) ⑩イソシギ5 ⑪タシギ4 ⑫キジバト8 ⑬カワセミ1 ⑭ヒバリ6
⑮ツバメ7 ⑯イワツバメ5 ⑰セグロセキレイ1 ⑱ヒヨドリ3 ⑲モズ2 ⑳ツグミ1(終認) ㉑セッカ3
㉒ホオジロ1 ㉓アオジアオジ1 ㉔カワラヒワ1 ㉕スズメ59 ㉖ムクドリ14 ㉗オナガ11
㉘ハシボソガラス2 以上28種172 羽
<当時のNote>
〇ツグミ1羽のみ、前回(5/3)は20羽を数えた、そろそろ終認か。
1979年5月13日<6:30 ~7:55>うすぐもり
①ササゴイ2(成鳥)<初認> ②コサギ6 ③カルガモ33 ④コジュケイ1 ⑤キジ1 ⑥コチドリ4
⑦イカルチドリ1 ⑧クサシギ1 ⑨キアシシギ12 ⑩イソシギ4 ⑪タシギ5(終認) ⑫キジバト10
⑬カワセミ1 ⑭ヒバリ10 ⑮ツバメ7 ⑯イワツバメ6 ⑰セグロセキレイ1 ⑱ヒヨドリ6 ⑲モズ3
⑳セッカ4 ㉑ホオジロ1 ㉒カワラヒワ1 ㉓スズメ68 ㉔ムクドリ48 ㉕オナガ4 ㉖ハシボソガラス3
㉗ハシブトガラス1 以上27種244 羽
<当時のNote>
〇南平上流から飛んで来るササゴイ2羽を発見、1羽は右岸の松林端の雑木林に入る、もう
1羽は左岸グランド上空を通り豊田方向に飛び去る、ササゴイの初認である。
〇キアシシギ12羽はフィイルド内に2~3羽ずつ散らばっている。
〇一番橋上流にてタシギ5羽が一斉に飛び立つ、これが終認になった。
〇一番橋のイワツバメの巣が落とされている(昨日の夕方発見する)。落とされた所と新た
に2カ所と計3カ所で巣作りを始めている。
1979年5月20日<6:40 ~8:00>はれ
①ササゴイ3(成鳥) ②カルガモ20 ③コジュケイ1 ④キジ2 ⑤コチドリ4 ⑥イカルチドリ2
⑦キアシシギ9 ⑧イソシギ3 ⑨キジバト13 ⑩カワセミ1 ⑪ヒバリ6 ⑫ツバメ7 ⑬イワツバメ6
⑭セグロセキレイ1 ⑮ヒヨドリ5 ⑯セッカ4 ⑰ホオジロ2 ⑱カワラヒワ1 ⑲スズメ63
⑳ムクドリ23 ㉑オナガ2 ㉒ハシボソガラス4 ㉓ハシブトガラス1 以上23種183 羽
<当時のNote>
〇冬鳥の終認、夏鳥の初認の記録が手帳にまとめてあったので記す。
なお(夏)は夏鳥、(冬)は冬鳥、(0)カッコ内は羽数です。
●冬鳥の終認、夏鳥の初認の記録
1979年 | 1978年 | 1977年 | 1976年 | |
ササゴイ(夏) | 5/13(2) | 6/11(1) | 5/21(1) | 5/30(1) |
コガモ(冬) | 5/6(3) | 5/14(♀1) | 5/7(♀2) | |
ヒドリガモ(冬) | 4/14(♂1♀1) | 4/16(♂1) | 4/29(♂1♀1) | |
オナガガモ(冬) | 4/7(♂2♀3) | 4/9(5) | 4/10(♂1♀2) | |
ハシビロガモ(冬) | 4/3(♂1♀1) | 3/25(♂1♀1) | 3/19(♂1♀1) | |
クイナ(冬) | 4/15 | 5/1 | 5/14 | |
タシギ(冬) | 5/13(5) | 5/14(5) | 5/14(8) | 5/16(2) |
ユリカモメ(冬) | 5/3(4) | 4/23(8) | 4/2(3) | |
ツバメ(夏) | 3/31(4) | 3/21(1) | 3/19(3) | 4/14(4) |
イワツバメ(夏) | 4/3(1) | 4/26(3) | 4/10(1) | 4/26(6) |
ハクセキレイ(冬) | 4/29(2) | 4/16(1) | 4/10(2) | 4/19(1) |
タヒバリ(冬) | 4/29(2) | 4/23(3) | 4/29(4) | 4/24(6) |
ツグミ(冬) | 5/6(1) | 5/1(6) | 5/7(2) | 5/9(2) |
カシラダカ(冬) | 5/3(1) | 5/6(3) | 4/23(4) | |
アオジ(冬) | 5/6(1) | 5/1(6) | 5/1(1) | 5/5(3) |
コチドリ(夏) | 4/7(4) | 4/2(6) | 3/26(2) |
1979年5月26日<7:00 ~8:40>はれ
①ゴイサギ7(成鳥3幼鳥4) ②コサギ3 ③カルガモ36 ④キジ3 ⑤コチドリ4 ⑥キアシシギ4
⑦イソシギ4 ⑧チュウシャクシギ1 ⑨キジバト8 ⑩ヒバリ4 ⑪ツバメ12 ⑫イワツバメ8
⑬セグロセキレイ1 ⑭ヒヨドリ3 ⑮オオヨシキリ1(初認) ⑯セッカ ⑰ホオジロ3
⑱カワラヒワ3 ⑲スズメ122 ⑳ムクドリ11 ㉑オナガ1 ㉒ハシボソガラス8
以上22種263 羽
<当時のNote>
〇浅川で初めてチュウシャクシギを観察する。下流から一番橋方向に飛ぶ1羽を発見、一番
橋を避けるように日野二小方向に大回りをし、再び浅川を上流の平山橋へ向けて飛ぶ。
鳴き声は聞こえなかったが、5月3日茨城の浮島草原探鳥会(日本野鳥の会東京支部主催)
に参加し本種を十分観察したので間違いなし。珍鳥に会える春の調査はだから楽しい。
〇オオヨシキリを観察する、今春初めてである、例年より遅い。1978年は5月1日、1977年
は5月3日が初認であった。
〇種数は22と少なかったが、楽しいセンサスだった。
●今の<調査>結果
2024年5月2日<8:05~10:00> はれ 風あり
①キジ5 ②カルガモ7 ③キジバト4 ④カワウ3 ⑤アオサギ2 ⑥ダイサギ7 ⑦コサギ2
⑧ヒメアマツバメ2 ⑨コチドリ1 ⑩トビ1 ⑪モズ2♂ ⑫ハシボソガラス6 ⑬シジュウカラ1
⑭ツバメ13 ⑮コシアカツバメ1 ⑯イワツバメ39± ⑰ヒヨドリ4 ⑱セッカ3 ⑲ムクドリ25
⑳スズメ17 ㉑ハクセキレイ2 ㉒カワラヒワ4 ㉓ホオジロ3 ㉔ドバト3 ㉕ガビチョウ5
<コメント>
〇移動の途中であろうコシアカツバメを見る。下流の新井橋周辺には今年も本種は来てい
るようだ。
〇イワツバメ多かった。Start地点から一番橋までまんべんなく飛んでいた、一番橋では
20羽ほどを数えた。
〇セッカが大きな声で鳴き始めた。
2024年5月9日<8:50~10:300> くもり時々小雨
①キジ4 ②カルガモ6 ③キジバト3 ④カワウ3 ⑤アオサギ4 ⑥ダイサギ1 ⑦コサギ1
⑧ヒメアマツバメ2 ⑨イカルチドリ2 ⑩キアシシギ8 ⑪トビ1 ⑫モズ1♂ ⑬ハシボソガラス6
⑭ハシブトガラス1 ⑮シジュウカラ2 ⑯ツバメ13 ⑰イワツバメ40± ⑱ヒヨドリ13
⑲オオヨシキリ5 ⑳セッカ6 ㉑ムクドリ24 ㉒スズメ8 ㉓ハクセキレイ2 ㉔カワラヒワ2
㉕ホオジロ3 ㉖ドバト4 ㉗ガビチョウ1
<コメント>
〇キアシシギがStart地点の水辺から鳴きながら下流へ飛ぶ。8羽を数える。
〇時々小雨のためか多数のイワツバメが水面をすれすれに飛んでいた。Start地点が多かった
が(高幡橋の個体か)上流の一番橋まで水面を飛ぶ姿が途切れることなく見られた。このよ
うな光景は初めてである。
〇オオヨシキリは左岸も含めて5羽を数えた、このまま定着するか、楽しみである。セッカも
多かった。
2024年5月23日<8:25~10:10>
①キジ3 ②カルガモ9 ③キジバト7 ④カワウ1 ⑤アオサギ1 ⑥ダイサギ1 ⑦イカルチドリ1
⑧トビ1 ⑨カワセミ1 ⑩モズ1♂ ⑪ハシボソガラス12 ⑫ツバメ8 ⑬イワツバメ30±
⑭ヒヨドリ3 ⑮ウグイス3 ⑯オオヨシキリ5 ⑰セッカ4 ⑱ムクドリ33 ⑲スズメ6
⑳ハクセキレイ1 ㉑カワラヒワ4 ㉒ホオジロ3 ㉓ドバト5 ㉔ガビチョウ3
<コメント>
〇アオサギとダイサギは遥か上空を左岸から右岸へ飛ぶ各1羽を観察したのみで、水辺に
は1羽もいなかった。なお調査終了後、平山橋から高幡橋まで(約3㎞区間)自転車で調
べるがゼロであった。カワウも遥か上空を上流に飛ぶ1羽のみであった。
〇ウグイスの声をやっと聞いた、オオヨシキリも多かった。
2024年5月30日<8:20~10:00> 晴れ
①キジ2 ②カルガモ6 ③キジバト5 ④カワウ1 ⑤ダイサギ5 ⑥イカルチドリ1 ⑦コチドリ1
⑧トビ1 ⑨モズ1♂ ⑩オナガ1 ⑪ハシボソガラス6 ⑫ハシブトガラス1⑬シジュウカラ2
⑭ツバメ3 ⑮イワツバメ25± ⑯ヒヨドリ6 ⑰ウグイス4 ⑱オオヨシキリ7 ⑲セッカ2
⑳ムクドリ34 ㉑スズメ5 ㉒ハクセキレイ1 ㉓セグロセキレイ1 ㉔ホオジロ4 ㉕ドバト7
㉖ガビチョウ2
<コメント>
〇アオサギはゼロであった。調査終了後、平山橋から下流の高幡橋まで自転車で調べるが
矢張りゼロだった。
〇今春はオオヨシキリが多い、過去の調査をみると…、23年5月は3回の調査で1羽、
ゼロ、1羽、22年5月は5回の調査で1羽、3羽、1羽、5羽、3羽、21年5月は4回の調査ですべ
てゼロであった。そして今年は4回でゼロ、5羽、5羽、7羽である。