第44回
●浅川の野鳥・今と昔 日野の自然を守る会 金子凱彦
昔(1979年)の浅川の調査記録と現在(2024年)の記録を比べながら、浅川の野鳥たちの変遷を
みています。
●45年前と同じ調査地とコース
浅川は陣馬山麓に源を発し八王子市、日野市を流れ多摩川に合流する延長30kmの一級河川です。
調査方法は浅川左岸の日野市民プール(川辺堀之内190番地先)から上流の一番橋を通り運動場・
豊田児童グランド(多摩川から4.4kmの位置)までの1.5kmを歩きながら野鳥の種類と数を記録
する。当時の堤防は現在のように舗装されていなく、自転車で通るのも危険という時代もあったが、
浅川をとりまく自然環境は今日と比べはるかに多様性に富んでいた。
●昔の<調査>結果 No.13
1979年10月10日<6:30~8:30 >くもり時々晴れ
①ゴイサギ5(幼鳥) ②ダイサギ1 ③コサギ28 ④カルガモ127 ⑦コガモ80 ⑧キジ3
⑨ヒクイナ1 ⑩イカルチドリ4 ⑪クサシギ1 ⑫イソシギ4 ⑬タシギ6 ⑭キジバト37
⑮カワセミ1 ⑯ヒバリ1 ⑰ツバメ8 ⑱キセキレイ4 ⑲ハクセキレイ11 ⑳セグロセキレイ10
㉑ヒヨドリ54 ㉒モズ6(♂3) ㉓ノビタキ1 ㉔オオヨシキリ1 ㉕カワラヒワ94 ㉖スズメ253
㉗ムクドリ26 ㉘ハシボソガラス5 ㉙ハシブトガラス1 以上29種790羽
<当時のNote>
〇一瞬クイナかと思ったが、顔から胸の赤味と喉の白をはっきり観察する。夏鳥としては
遅いのではないか。
〇秋の渡りのヒヨドリの群れを観察する。春とは逆に右岸の平山方向に飛ぶ。
〇遅いオオヨシキリを観察する、移動の途中であろう。
1979年10月13日<6:50~8:25 >くもり
①ダイサギ2 ②コサギ41 ③カルガモ44 ④コガモ41 ⑤ヒドリガモ15 ⑥トビ1 ⑦キジ1♂
⑧イカルチドリ8 ⑨クサシギ1 ⑩イソシギ5 ⑪タシギ5 ⑫ユリカモメ3⑬キジバト27
⑭カワセミ1 ⑮ヒバリ4 ⑯イワツバメ11 ⑰ツバメ4 ⑱キセキレイ5 ⑲ハクセキレイ14
⑳セグロセキレイ13 ㉑ヒヨドリ18 ㉒モズ7(♂3♀1) ㉓カワラヒワ60± ㉔スズメ76
㉕ムクドリ55+ ㉖ハシボソガラス4 以上26種462羽
<当時のNote>
〇ゴイサギがいなかったがコサギが多かった。
〇トビが高幡橋から一番橋上空、さらに上流にまっしぐらに飛び去った。
〇イカルチドリ8羽あり、越冬の群れか。
〇下流へ飛ぶユリカモメを観察する、初認になる。
<ユリカモメ初認の記録>
79年10月13日(3羽)、78年10月17日(2羽)、77年10月6日(3羽)、
76年10月21日(2羽)
〇七生中学校前でまっしぐらに下流に向かって飛ぶイワツバメを見る、5羽、4羽の群れで
あった。移動の途中なのであろう。
1979年10月21日<6:50~8:30 > はれ
①ゴイサギ5 ②ダイサギ1 ③コサギ20 ④カルガモ27 ⑤コガモ25 ⑥ヒドリガモ13
⑦オナガガモ17 ⑧イカルチドリ3 ⑨イソシギ1 ⑩タシギ2 ⑪キジバト12 ⑫カワセミ1
⑬ヒバリ6 ⑭ツバメ2 ⑮キセキレイ4 ⑯ハクセキレイ21 ⑰セグロセキレイ10 ⑱ヒヨドリ62
⑲モズ9(♂5♀1) ⑳ノビタキ1 ㉑セッカ2 ㉒カシラダカ1(初認) ㉓カワラヒワ74
㉔スズメ38 ㉕ムクドリ33 ㉖ハシボソガラス3 ㉗ハシブトガラス1 以上27種394羽
<当時のNote>
〇台風20号(10/19午后3時ごろ東京を通過する)のため水量多く河川の地形がほとんど
変わった。急流によりカモ類が少ない。
○グランド付近にて上流へまっしぐらに飛ぶツバメを2羽観察する、遅い記録だ。
○ヒヨドリの渡りを観察する。日枝神社の森に集まり浅川を右岸(南)に渡り平山方向に
消えた。秋は左岸から右岸へ飛ぶ。
○台風の増水で河川敷の草木が倒されたためか、10月10日に253羽を数えたスズメが本日は
38羽と少なかった。
1979年10月27日<6:50~8:30 > はれ
①コサギ21 ②カルガモ107 ③コガモ36 ④ヒドリガモ23 ⑤キジ1♂ ⑥クサシギ1
⑦イソシギ1 ⑧タシギ2 ⑨ユリカモメ30(上流へ) ⑩キジバト44 ⑪カワセミ1 ⑫ヒバリ4
⑬ハクセキレイ32 ⑭セグロセキレイ10 ⑮タヒバリ2(初認)⑯ヒヨドリ155 ⑰モズ7(♂2♀1)
⑱ジョウビタキ1♂(初認)⑲ウグイス1 ⑳セッカ1 ㉑ホオジロ2 ㉒カシラダカ2
㉓カワラヒワ94+ ㉔スズメ25 ㉕ムクドリ88+ ㉖ハシボソガラス4 以上26種696羽
<当時のNote>
〇鳴きながら畑に降りたタヒバリ2羽を観察する、初認になる。
<タヒバリの記録>
初認79年10月27日(2羽)
初認78年11月4日(9羽)→終認79年4月29日(2羽)
初認77年10月30日(9羽)→終認78年4月23日(3羽)
初認76年10月30日(7羽)→終認77年4月29日(4羽)
〇ヒヨドリ155羽の渡りを観察する
左岸の日枝神社の森に一旦集まり浅川を右岸(北)に横切り平山方向に飛び去る
<6:50>32羽、28羽<7:23>10羽、10羽、13羽<7:30>28羽<7:45>17羽であった。
<10月のヒヨドリ>
9/24(7羽)、10/10(54羽)、10/13(18羽)、10/21(62羽)、10/27(155羽)、11/3(8羽)、
11/11(4羽)、10月に急に多くなる、10月以外は10羽前後である。
●今の<調査>結果
2024年10月2日<8:00~10:00> 晴れ
①キジ3(♂2♀1) ②カルガモ8 ③コガモ4 ④キジバト5 ⑤カワウ1 ⑥アオサギ7
⑦ダイサギ11 ⑧コサギ3 ⑨ヒメアマツバメ1 ⑩イカルチドリ2 ⑪タシギ1 ⑫トビ1
⑬カワセミ3♂ ⑭モズ4(♂2)⑮ハシボソガラス4 ⑯シジュウカラ2 ⑰ヒヨドリ34
⑱セッカ1 ⑲ムクドリ30 ⑳ズメ3 ㉑ハクセキレイ2 ㉒セグロセキレイ2 ㉓カワラヒワ1
㉔ホオジロ2 ㉕ドバト15 ㉖ガビチョウ1
<コメント>
〇コガモ4羽を今秋初めて観察する、雌タイプであった。
〇日枝神社前の水門脇よりタシギが飛び立つ、右岸の遠方に飛び去る、移動の途中寄った
のか。今年も水門で越冬するとよいのだが。
2024年10月10日<7:45~9:45> くもり
①キジ1♂ ②カルガモ5 ③キジバト4 ④カワウ4 ⑤アオサギ5 ⑥ダイサギ10
⑦イカルチドリ3 ⑧トビ2 ⑨カワセミ2(♂1) ⑩モズ6(♂2) ⑪ハシボソガラス8
⑫ハシブトガラス3 ⑬シジュウカラ3 ⑭ヒヨドリ32 ⑮ムクドリ45 ⑯スズメ5
⑰ハクセキレイ3 ⑱セグロセキレイ2 ⑲カワラヒワ3 ⑳ホオジロ2 ㉑ドバト17
㉒ガビチョウ2
<コメント>
〇くもり空で気温が低く冬の気配を感じるが、鳥が少なく残念。
〇日枝神社の森から10羽、15羽のヒヨドリが右岸(南)へ飛ぶ。
2024年10月14日<7:40~9:30> 晴れ
①キジ2♂♀ ②カルガモ2 ③キジバト8 ④カワウ3 ⑤アオサギ3 ⑥ダイサギ5
⑦ヒメアマツバメ5 ⑧トビ1 ⑨カワセミ2(♂1) ⑩モズ6(♂2♀1) ⑪ハシボソガラス6
⑫ハシブトガラス2 ⑬シジュウカラ3 ⑭ヒヨドリ25 ⑮ムクドリ65 ⑯スズメ5
⑰ハクセキレイ1 ⑱セグロセキレイ1 ⑲カワラヒワ6 ⑳ホオジロ2 ㉑ドバト12 ㉒ガビチョウ1
<コメント>
〇一番橋下をヒメアマツバメ4~5羽が出入りする、初めての観察である。留守のイワツバメ
の巣を営巣や塒に利用する可能性あり、今後要注意。
〇日枝神社裏・水門側の木でモズの雌を観察する、今秋は今まで観察したモズはすべて雄で
あった、雌は初めてである。
〇ヒヨドリの渡を期待したが5羽、6羽の群れを見たのみであった、渡りの群れに会わなかった。
なお10月11日のカワセミ会の一番橋~ふれあい橋調査でヒヨドリ260羽を数えている。
2024年10月21日<7:40~9:30> 晴れ
①キジ1♂ ②カルガモ1 ③キジバト5 ④カワウ1 ⑤アオサギ4 ⑥ダイサギ4 ⑦タシギ2
⑧トビ1 ⑨カワセミ4 ⑩モズ5(♂1) ⑪オナガ14 ⑫ハシボソガラス24 ⑬ハシブトガラス1
⑭シジュウカラ4 ⑮ヒヨドリ25 ⑯ムクドリ45 ⑰スズメ2 ⑱ハクセキレイ3
⑲セグロセキレイ1 ⑳カワラヒワ14 ㉑ホオジロ1 ㉒ドバト20 ㉓ガビチョウ1
<コメント>
〇水門のタシギ健在、本日は2羽飛び立つ。
〇スタート地点(合流点から2.8k)から上流の一番橋(3.8k)にカワセミは少なくとも
3羽は定着していると推測する。一番橋から上流のグランド付近には1~2羽でないか。
〇スタート地点で左岸から右岸にオナガ14羽が鳴きながら横切った。どういう行動なのか?
昔は?広域水面を横切るのを躊躇(ちゅうちょ)していた。
2024年10月31日<8:30~10:30> 快晴のちくもり
①カルガモ2 ②キジバト3 ③カワウ1 ④アオサギ6 ⑤ダイサギ4 ⑥オオバン1 ⑦ミサゴ1
⑧トビ1 ⑨オオタカ1 ⑩カワセミ2 ⑪モズ4(♂2♀2) ⑫オナガ1 ⑬ハシボソガラス9
⑭ハシブトガラス2 ⑮シジュウカラ1 ⑯ヒヨドリ41 ⑰セッカ4 ⑱ムクドリ5 ⑲スズメ6
⑳ハクセキレイ4 ㉑セグロセキレイ2 ㉒カワラヒワ12 ㉓ホオジロ8 ㉓ドバト5
<コメント>
〇Start地点の水辺でオオバン1羽がせっせと採食をしていた。下流のふれあい橋には今年も
オオバンが渡来しているので上って来たのか。
〇ミサゴが一番橋でカラス3羽に追いかけられてUターンし下流へ、市民プールにいた私の
頭上をゆっくり通過して高幡橋方面に消える、久しぶりの出会いであった。
〇市民プールの遥か上空を秋の青空をバックにオオタカがゆっくり旋回していた、浅川に
降りる気配はなかった。
〇Start地点でモズの雌雄が堤防脇に落ちながらも声を上げて争っていた。前回もここで
争いを観察している、まだテリトリーが確定していないのか。河川側の木に雌を公園側
の木に雄の姿を見る。
〇ヒヨドリの小さな渡りを観察する。市民プールから右岸へ15羽、日枝神社から右岸へ
5羽、5羽、4羽であった。