金子凱彦の野鳥調査  

第1回
●東豊田緑地保全地域の野鳥調査

<調査地とコース>
同保全地域は日野市のほぼ中央部に細長く広がる日野台地の段丘崖の一部で、1975年に東京都により緑地保全地域に指定されました。東豊田3丁目、多摩平2丁目、7丁目に隣接した黒川清流公園、多摩平第6公園、清水谷公園の約60,000uの雑木林です。黒川清流公園の崖下には数カ所から湧水が流れており、池が4カ所あります。東から「ひょうたん池」、「大池」、「わきみず池」、「あずまや池」の名が付いています。調査は黒川清流公園の東端の中央線脇にあるひょうたん池(写真)から西へ黒川地域広場(汚水処理場跡地)、第6公園、山王下公園、清水谷公園の池までのコース約1.5kmを1時間で歩き(午前中に)、その間に出現した野鳥の種類と数を記録します。


(写真)

調査は中央線脇のこの「ひょうたん池」からスタートします。この池には「大池」からカワセミが飛来し、本年11月にはジョウビタキの雄の姿を見ることができました。


調査日 2007年11月9日、晴れ、無風

<調査結果>
@マガモ18(♂10♀8) Aカルガモ47 Bキジバト1 Cコゲラ1 Dキセキレイ1Eヒヨドリ14
Fジョウビタキ2(♂2) Gモズ1 Hウグイス2 Iシジュウカラ13 Jハシボソガラス1 Kハシブトガラス2 Lドバト2 Mガビチョウ3

<備考>
・マガモはすべて大池、カルガモは大池43羽、あずまや池4羽でした。今やカルガモですら一番橋付近の浅川では見ることができないのに、マガモのこの多さには驚きます。なお今秋カルガモが初めて大池に飛来したのは9月3日(1羽)で、マガモの飛来は10月14日(♂1羽)でした。
・キセキレイはあずまや池に作られた「わさび畑」で観察しましたが、ここキセキレイが採餌している姿をよく見ることができる所です。
・冬鳥のジョウビタキは本日が初認です。11月6日には声を聞くことはありませんでし
た。

・ウグイスは2カ所で笹鳴き(地鳴き)を聞くことができました。本種は初夏になると姿を消すが(今年は7月8日が終認でした)、今年の初認は11月5日でした。

<雑感>
 待望のジョウビタキに半年振りで会うことができ感激。観察中コナラやクヌギの枯れ葉が足下に舞い降りてくるのが心地よく、身近な秋を堪能しました。


●調査日 2007年11月19日 快晴、無風。昨日木枯らし1号が吹き本日は冷えた。

<調査結果>
@マガモ20(♂11♀9) Aカルガモ57 Bオナガガモ3(♂2♀1) Cキジバト2 Dカワセミ2(♂1
♀1) Eアオゲラ1 Fコゲラ2 Gキセキレイ1 Hハクセキレイ1 Iヒヨドリ20 Jエナガ10 Kシジュウカラ11 Lメジロ5 Mムクドリ14 Nオナガ15 Oハシブトガラス4

<備考>
・オナガガモを大池で発見する。保全地域では初めての記録です。
・大池でカワセミ雄を、清水谷公園の池では雌を観察する。大池では9月から姿を見るようになったが、清水谷公園では4月からの調査で初めです。飛んでいるとき嘴に何かをくわえているのかと思うほど嘴の赤が鮮やかな雌でした。
・わきみず池ではハンノキやコナラに群れるエナガ10羽とシジュウカラ7羽、メジロ2羽、それにコゲラ2羽の混群に出会う。やはりシジュウカラたちの混群を見ると雑木林の冬を感じます。
・最終地点の清水谷公園の池はにぎやかでした。ヒヨドリの甲高い鳴き声と共にムクドリが林の中を飛び回り、オナガの群れが鳴きながら東側より次々に池に現れ、アオゲラの声も聞こえてきました。さらにカワセミの声と共に目の前を1羽飛翔。水辺の枝に止まろうとするがオナガたちにじゃまされてうろうろ飛び回っていた。近くに飛来、双眼鏡で確かめると綺麗な雌でした。

<雑感>
 雑木林の調査ではあるが本日は水辺の鳥のオナガガモとカワセミが特に印象深かった。豊富な湧水と池をかかえる段丘崖の雑木林、これが本調査地の特徴です。


●調査日 2007年11月24日 快晴、無風。小春日和の心地良い調査日でした。

<調査結果>
@マガモ21(♂11♀10) Aカルガモ54 Bキジバト2 Cコゲラ2Dキセキレイ2 Eヒヨドリ18 
Fモズ1 Gウグイス2 Hツグミ1 Iシジュウカラ1 Jメジロ10 Kアオジ2 Lスズメ4 Mハシボソガラス3 Nハシブトガラス7Oドバト4


<備考>
・本日の冬鳥の初認はツグミとアオジです。 ツグミは山王下公園上空を保全地域から中央線方向へ飛ぶ1羽を観察しました。今年の終認は4月14日でした。
・アオジは2カ所で観察しました。第2コーポ西端の湧水脇の草地に隠れるようにたたずんでいる?1羽をかろうじて発見、もう1カ所は山王公園脇の日陰の土の歩道で盛んに採餌している1羽でした。なお本年の終認は4月22日です。
・シジュウカラは1羽しか確認できなかった(見落としが あったか?)。シジュウカラの群れや混群はどのように林を移動しているのか、また利用している のか興味あることで、今後機会があれば調べたい。

<雑感>
 山王下公園でメジロとコゲラの群れに遭遇しました。目の高さまで寄って来て警戒することなく活発に木々を飛び回っていたので、私も枯れ木になったつもりでジッと立って彼らの姿を追い続けました。小鳥たちとの楽しいひとときでした。


●11月は冬鳥たちが姿を見せる季節です。これから雑木林もにぎやかになるでしょう。来月には12月の観察結果を掲載します。ご覧下さい。