金子凱彦の野鳥調査  9
                                      日野の自然を守る会 金子凱彦


●東豊田緑地保全地域の野鳥調査
<調査地とコース>
同保全地域は日野市のほぼ中央部に細長く広がる日野台地の段丘崖の一部で、1975年に東京都により緑地保全地域に指定されました。東豊田3丁目、多摩平2丁目、7丁目に隣接した黒川清流公園、多摩平第6公園、清水谷公園の約60,000uの雑木林です。黒川清流公園の崖下には数カ所から湧水が流れており、池が4カ所あります。東から「ひょうたん池」、「大池」、「わきみず池」、「あずまや池」の名が付いています。
調査は黒川清流公園の東端の中央線脇にあるひょうたん池から西へ黒川防災広場(汚水処理場跡地)、第6公園、山王下公園、清水谷公園の池まで約1.7kmのコースを1時間で歩き、その間に出現した野鳥の種類と数を記録します。


黒川清流公園内の表示板に説明を増やし作成

調査日 2008年7月6日 薄ぐもり、無風、蒸し暑い 

<調査結果>
()カルガモ1 (2)キジバト3 (3)コゲラ1 (4)ツバメ1 ()ヒヨドリ6 ()シジュウカラ9 (7)メジロ10 ()スズメ2 (9)ムクドリ8 (10)オナガ10 (11)ハシボソガラス3 (12)ハシブトガラス4 (13)ドバト7 (14)ガビチョウ5 (参考)カワラヒワ50

<備考>
・調査地に向かう途中の東豊田3丁目の宅地造成地にて、珍しくカワラヒワの群を観察しました。50羽程が採食していました。ここは今春まで菜の花や野菜が植えられていた畑で種子が落ちているのでしょう。近年カワラヒワを観察するのは極めて珍しいことで、昨年4月からの本調査では1回の記録もありません。
・久しぶりにコゲラの声を聞き、姿を観察しました。同時に幼鳥を含むメジロ10羽前後の群にも出会い、さらにシジュウカラの幼鳥も混じっていました。賑やかな一瞬でした。
・オナガ10羽の中に幼鳥3羽を確認しました。真赤な口を大きく開け餌ねだりをしていました。


調査日 2008年7月13日 はれ、無風

 <調査結果>
(1)カルガモ1 (2)ツミ1 (3)キジバト5  (4)ヒヨドリ7 (5)シジュウカラ2  (6)メジロ11 (7)スズメ6  (8)ムクドリ2  (9)オナガ1 (10)ハシボソガラス3 (11)ハシブトガラス9  (12)ドバト1

<備考>
・前回観察したカワラヒワはその後も造成地に来ていましたが、工事が進み表土を削ってしまうと姿を見なくなりました。カワラヒワは中央線を越えた南側の東豊田4丁目方向から飛来します。50羽の群は最近浅川でも見ることができず何処から集まった興味あります。
・調査地内でツミの幼鳥を1羽観察しました。近所の人によると最近よくツミの声を聞く、とのことです。多摩平で見失ったあと東豊田緑地周辺で繁殖したのか? なおこの幼鳥の周辺にメジロが多数集まり、飛び回っていました。またヒヨドリも鳴きながら近くに寄って来ました。


雑木林のツミの幼鳥(7/13撮影)。春先には成鳥の雌がここに止まっていました


調査日 2008年7月20日 はれ、無風。昨日梅雨が明ける。

<調査結果>
(1)キジバト2  (2)ヒヨドリ11  (3)シジュウカラ5 (4)スズメ2 (5)ムクド3 (6)ハシボソガラス2 (7)ハシブトガラス6 (8)ドバト2 (9)ガビチョウ3


調査日 2008年7月26日 はれ、無風。

<調査結果>
(1)カルガモ2 (2)キジバト (3)ヒヨドリ9 (4)シジュウカラ2 (5)ムクドリ3  (6)ハシブトガラス7 (7)ドバト3 (8)ガビチョウ3

<備考>
・あずまや池でカルガモの幼鳥1羽と成鳥を観察する。幼鳥は池の中を5m程飛ぶこともあったが、まだ池を離れません。
⇒翌日の7/27以降は姿を見なくなりました。うまく飛び立てたのでしょうか。黒川公園の小さな池で育まれた新しい命が、広い自然界でうまく生きていけるように、と祈ります。なおこのカルガモの成長はHP.5月、6月の写真をご覧下さい。
・これからの季節は野鳥の種数も個体数も少なくなります。鳥がいない事を知るのも調査!とは云うものの、やはりバードウォチャーとしては多い方が楽しいのです。


鯉に囲まれるカルガモの幼鳥(7/26撮影)4羽→2羽→1羽と減りましたが、もう成鳥と大きさは変わりません。兄弟姉妹たちのためにも生きて欲しいものです。

<ツミの記録>
7/13のセンサスでツミの幼鳥を確認しましたが、その後7/15には3羽の幼鳥を観察しました。昨年も7月下旬まで雑木林を飛び回る幼鳥(3羽)や成鳥を観察しています。保全地区内での繁殖は不明ですが、子育てのツミとって黒川の雑木林は大事な所です。ツミの都市部への進出現象とはいえ身近な雑木林での猛禽類は魅力的です。