金子凱彦の野鳥調査 第10回
日野の自然を守る会 金子凱彦
●東豊田緑地保全地域の野鳥調査
<調査地とコース>
同保全地域は日野市のほぼ中央部に細長く広がる日野台地の段丘崖の一部で、1975年に東京都により緑地保全地域に指定されました。東豊田3丁目、多摩平2丁目、7丁目に隣接した黒川清流公園、多摩平第6公園、清水谷公園の約60,000uの雑木林です。黒川清流公園の崖下には数カ所から湧水が流れており、池が4カ所あります。東から「ひょうたん池」、「大池」、「わきみず池」、「あずまや池」の名が付いています。
調査は黒川清流公園の東端の中央線脇にあるひょうたん池から西へ黒川防災広場(汚水処理場跡地)、第6公園、山王下公園、清水谷公園の池まで約1.7kmのコースを1時間で歩き、その間に出現した野鳥の種類と数を記録します。
●調査日 2008年8月3日 晴れ、無風
<調査結果>
(1)キジバト1 (2)コゲラ2 (3)ヒヨドリ13 (4)ヤマガラ1 (5)シジュウカラ20 (6)メジロ14 (7)ハシボソガラス2 (8)ハシブトガラス9 (9)ドバト2 (10)ガビチョウ1 (総羽数)65羽
<備考>
・春から姿を見なかったヤマガラを久しぶりに観察する。シジュウカラ、コゲラと一緒であった。調査地で繁殖しているかは不明です。
・シジュウカラは5羽、10羽の群に出会い個体数が多くなった。10羽の中には幼鳥が多数含まれていた。
・メジロは5羽、8羽の群れを観察した。
・本日はスズメ、ムクドリ、オナガを観察せず、種数は10種と少なかった。
●調査日 2008年8月10日 くもり、無風、暑い。
<調査結果>
(1)キジバト5 (2)コゲラ2 (3)ヒヨドリ5 (4)シジュウカラ28 (5)メジロ15 (6)スズメ4 (7)オナガ1 (8)ハシブトガラス3 (9)ガビチョウ1 (総羽数)64羽
<備考>
・ひょうたん池北側の林でシジュウカラ、メジロの群に会う。各15羽程であった。そしてコゲラ1羽も一緒だった。なおシジュウカラの群には幼鳥が多数混じっていた。
・第2コーポラス前の湧水奥で、10羽程のシジュウカラの幼鳥とコゲラの幼鳥2羽を観察する。前回に続き今回もメジロが多かったが本年巣立った若鳥であろう。
・出現種数は9種と最も少ないが、合計羽数は64羽であった。。
●調査日 2008年8月16日 くもりのちはれ、無風。
<調査結果>
(1)キジバト2 (2)アオゲラ1 (3)ヒヨドリ10 (4)メジロ1 (5)スズメ2 (6)ハシボソガラス2 (7)ハシブトガラス6 (8)ドバト4 (9)ガビチョウ2 (総羽数)30羽
<備考>
・出現種は9種と少なく、総羽数も30羽と少なかった。黒川公園の夏は野鳥たちが極端に少なくなる季節です。
<余談>
猛暑のなか、黒川清流公園・大池脇の湧水周辺には幼児や大人たちが水遊びを楽しんでいました。親水公園といわれるゆえんでしょう。湧水が最も賑やかになる季節です。大池の中を歩いている兄弟がいた。弟は腰までつかりそうであっが、お母さんが見守っていたので声をかけませんでした。
●調査日 2008年8月22日 くもり、時々微風
<調査結果>
(1)キジバト2 (2)コゲラ1 (3)ツバメ2 (4)ハクセキレイ1 (5)ヒヨドリ6 (6)センダイムシクイ2 (7)シジュウカラ5 (8)メジロ5 (9)スズメ2 (10)ハシボソガラス1 (11)ハシブトガラス1 (12)ガビチョウ2 (総羽数)30羽
<備考>
・黒川防災広場の水たまり(湧水が出ている)でハクセキレイの若鳥1羽を観察する。ここにはセグロセキレイやキセキレイなどセキレイ類が飛来する所です。防災広場も必要ですが、子供たちが自然の中で遊べる湧水を利用した広場(池)も将来考えられます。
・メジロ、シジュウカラと共にセンダイムシクイを観察する。秋の渡りの始まりです。
・7月中旬よりオナガの群に出会っていません。夏にはオナガの行動圏が変わるのか?
<調査結果>
(1)ツミ1 (2)キジバト4 (3)ヒヨドリ3 (4)シジュウカラ1 (5)オナガ3 (6)ハシボソガラス3 (7)ハシブトガラス2 (8)ドバト1 (9)ガビチョウ1 (総羽数)19羽
<備考>
・ツミが1羽多摩平第6公園上空を旋回し多摩平の北の方に飛びました。昨年の8月26日のセンサスでも本種を1羽観察しています。
・8月最後の調査でしたが、9種、19羽と最も少ない記録になりました。
(雑感)
・今年は7月22日が大暑、8月7日立秋そして8月23日が処暑。暑さも8月17日より和らいだ感があります。そして8月22日にはセンダイムシクイの姿を見ました。早い観察ですが秋の渡りです。これからが黒川の秋です。市内浅川の一番橋付近では渡り鳥のムナグロが7月下旬より姿を現し、8月中滞在し9月の声を聞く頃に南に渡って行きます。それから秋の浅川が始まります。
・猛暑のなか東京湾最奥部に残る干潟・三番瀬(船橋市)に行きました。シギ・チたちの秋の渡りの真最中です。東京湾にこのような自然の干潟が残っているとは奇跡です。そして木更津市(千葉県)の小櫃川河口に広がる盤洲干潟を思いました。これらの干潟はかって東京湾の海岸部を形成していたのですが、現在は埋め立てられかろうじて数カ所残るだけです。ヒトの英知をもって後生のヒトたちにこの干潟を残したいものです。