金子凱彦の野鳥調査  22
                                      日野の自然を守る会 金子凱彦

●東豊田緑地保全地域の野鳥調査
<調査地とコース>
同保全地域は日野市のほぼ中央部に細長く広がる日野台地の段丘崖の一部で、1975年に東京都により緑地保全地域に指定されました。東豊田3丁目、多摩平2丁目、7丁目に隣接した黒川清流公園、多摩平第6公園、清水谷公園の約60,000uの雑木林です。黒川清流公園の崖下には数カ所から湧水が流れており、池が4カ所あります。東から「ひょうたん池」、「大池」、「わきみず池」、「あずまや池」の名が付いています。
調査は黒川清流公園の東端の中央線脇にあるひょうたん池から西へ黒川防災広場(汚水処理場跡地)、第6公園、山王下公園、清水谷公園の池まで約1.7kmのコースを1時間で歩き、その間に出現した野鳥の種類と数を記録します。


黒川清流公園内の表示板に説明を増やし作成

調査日 2009年8月9日 くもり、無風

<調査結果>
(1)カルガモ1  (2)キジバト4  (3)ヒヨドリ7  (4)スズメ1  (5)ムクドリ1 (6)オナガ1  (7)ハシボソガラス5  (8)ハシブトガラス5  (9)ドバト5 

<備考>
・注意して調べたが、シジュウカラは1羽も確認できなかった。
・ムクドリ、オナガは1回声を聞いたのみで、羽数不明
・カラスの騒がしい声のみで鳥影は少ない。とにかく蒸し暑い!カラスの声が似合う。


●調査 2009年8月16日 快晴、無風

<調査結果>
(1)カルガモ1  (2)キジバト4  (3)ヒヨドリ9   (4)シジュウカラ2  (5)スズメ1  (6)ムクドリ1  (7)ハシボソガラス5  (8)ハシブトガラス12  (9)ドバト5  (10)ガビチョウ2 

<備考>
・久しぶりに、朝から日差しの強い観察日になりました。
・前回同様、カラスだけが騒がしい黒川の林でした。鳴き騒ぐハシブト8羽のグループがありましたが、多数が幼鳥です。他でも幼鳥を見ています。今の季節は、本年巣立った幼鳥が多いようです。
・多摩平第7公園ではハシボソが4羽地面で採食していました。この広場にはハシブトが降りることもあります。


調査日 2009年8月23日 くもりのちはれ、無風

<調査結果>
(1)カルガモ2  (2)キジバト4  (3)コゲラ2  (4)ヒヨドリ11±  (5)エナガ2  (6)シジュウカラ11  (7)メジロ2  (8)オナガ2+  (9)ハシボソガラス4  (10)ハシブトガラス5  (11)ドバト3  (12)ガビチョウ1 

<備考>
・シジュウカラ10羽±、エナガ2羽、メジロ2羽、コゲラ1羽の群を黒川防災広場で観察しました。枯れたヒマラヤスギ?を移動していたので行動を観察しやすく、シジュウカラは下面が黄色い幼鳥が多かった。特に飛翔時、黄色が目立つ個体も何羽かいました。エナガは成鳥ほど尾の長くない幼鳥です。メジロ、コゲラは幼鳥であるかは不明ですが、幼鳥を中心とした混群なのでしょうか?そして、これも幼鳥と思われるヒヨドリ4〜5羽が同じ木に飛来しました。この内の1羽は親に餌をねだっていました。
・大池の柵に止まるハシボソ4羽を同時に観察しました。今年の春に、池の縁で繁殖した家族なのでしょうか、大池周辺でよく見かけます。
・ハシブトは前回ほど多くなく、騒がしくもありません。


<コゲラについて>
先日キツツキ類の研究者に会い、コゲラに関して興味ある話しをお聞きしたので紹介します。
※コゲラは「つがい」の絆が強く、3年続いた観察記録がある。周年ペアで生活しテリトリーを守っている。秋や冬でも3羽以上の場合はファミリーである。
※黒川清流公園(2ヘクタール)の広さではせいぜい2つがいであろう。その場合も公園外の周辺の環境を含む。
※秋から冬にかけての混群の動きを見ると、シジュウカラやエナガが先に行っても、コゲラは自分のテリトリーを出ることはない。一緒に行動するのはテリトリー内である。
※都会でも普通に繁殖しており、いまやコゲラは分布域の広いキツツキになっている。
※黒川清流公園で生息しているアオゲラは、公園の広さから考えて1つがいであろう。ただ2ヘクタールの林ではで無理で周辺の環境を使っている。


●調査日 2009年8月30日 くもり時々

<調査結果>
(1)カルガモ2  (2)キジバト3  (3)アオゲラ1  (4)ツバメ3  (5)ヒヨドリ3  (6)シジュウカラ5  (7)ムクドリ1  (8)ハシボソガラス5  (9)ハシブトガラス4  (10)ドバト1      (11)ガビチョウ1

<備考>
・台風11号、関東に接近との予報。そのためか?久しぶりにツバメの飛翔を観察しました。豊田駅北口周辺では最後の巣立ちが8月2日で、電線に止まる幼鳥を8月7日まで観察しましたが、以後ツバメの姿を見ません。本年は8月上旬には豊田駅周辺から姿を消したようです。本日、観察したツバメは渡りの途中でしょう。
・久しぶりにアオゲラのピー、ピーと鳴く声を聞く。アオゲラ健在。
・大池でハシボソ5羽を同時に観察するが、3羽のファミリーを核に他から時々飛来するようです。そろって林内の遊歩道を歩き採食していました。

<雑感>
いよいよ8月も終わりです。市内の浅川では8月上旬から渡り鳥のムナグロが姿を見せています。黒川ではかつて渡りの途中のエゾビタキに会いましたが、最近はそのチャンスがありません。