金子凱彦の野鳥調査  23
                                      日野の自然を守る会 金子凱彦

●東豊田緑地保全地域の野鳥調査
<調査地とコース>
同保全地域は日野市のほぼ中央部に細長く広がる日野台地の段丘崖の一部で、1975年に東京都により緑地保全地域に指定されました。東豊田3丁目、多摩平2丁目、7丁目に隣接した黒川清流公園、多摩平第6公園、清水谷公園の約60,000uの雑木林です。黒川清流公園の崖下には数カ所から湧水が流れており、池が4カ所あります。東から「ひょうたん池」、「大池」、「わきみず池」、「あずまや池」の名が付いています。
調査は黒川清流公園の東端の中央線脇にあるひょうたん池から西へ黒川防災広場(汚水処理場跡地)、第6公園、山王下公園、清水谷公園の池まで約1.7kmのコースを1時間で歩き、その間に出現した野鳥の種類と数を記録します。


黒川清流公園内の表示板に説明を増やし作成


●調査
 2009年9月4日 くもり、無風

<調査結果>
(1)ミゾゴイ1  (2)カルガモ5  (3)キジバト4  (4)アオゲラ1   (5)ヒヨドリ4  (6)シジュウカラ1  (7)スズメ1  (8)オナガ20±  (9)ハシボソガラス1    (10)ハシブトガラス4(11)ドバト9  (12)ガビチョウ1

<備考>
・大池の西側を流れる湧水にてミゾゴイを観察しました。サワガニを探していたのでしょうか、流れの中を歩いていました。秋の渡りの途中です。
24年前の春に黒川公園でミゾゴイを観察したことがあります。今回は9月4日と同6日に観察したので、3日間は黒川に滞在したのでしょう。9月6日は湧水から離れて、丈の低い草地で採餌していました。ミミズを捕っているようです。


●調査 2009年9月20日 快晴、風あり

<調査結果>
(1)カルガモ6  (2)キジバト6  (3)コゲラ2   (4)キセキレイ1   (5)ヒヨドリ4      (6)エナガ5  (7)シジュウカラ8   (8)オナガ15  (9)ハシボソガラス3  (10)ハシブトガラス2  (11)ドバト3  (12)ガビチョウ1 

<備考>
・カルガモは大池4羽、あずまや池2羽の計6羽になりました。
・コゲラ2、エナガ2、シジュウカラ5+の小さな混群に出会う。エナガは別に3羽観察しました。
・久しぶりにキセキレイの姿を観察する。これから秋から冬にかけて黄色い姿を見ることでしょう。9月になり浅川でもキセキレイを多く見るようになりました。


●調査日 2009年9月22日 くもりのちはれ、無風

<調査結果>
(1)アオサギ1  (2)カルガモ7  (3)キジバト4  (4)コゲラ1  (5)ヒヨドリ5  (6)シジュウカラ2  (7)オナガ10+  (8)ハシボソガラス3  (9)ハシブトガラス3  (10)ドバト17 

<備考>
・アオサギは上空通過です。多摩平から平山方向へ向かいました。
・まだ鳥影が少ないようです。


●調査日 2009年9月27日 くもり、無風

<調査結果>
(1)カルガモ5  (2)キジバト3  (3)カワセミ1♂  (4)コゲラ1  (5)キセキレイ1       (6)ヒヨドリ3  (7)ヤマガラ2+  (8)シジュウカラ12+  (9)メジロ5+  (10)ハシボソガラス3  (11)ハシブトガラス4  (12)ドバト17 

<備考>
・久しぶりに大池でカワセミを観察しました。
・シジュウカラ10+、メジロ5+、ヤマガラ2+、コゲラ1の混群に出会いました。葉の残る木々を移動していたので、正確な数は分かりませんでしたが、30羽程の群でした。

<雑感>
24年前の1985年4月20日に黒川公園でミゾゴイを観察しました。当時の黒川の林は下草が刈られていない、薮の多い環境でした。ミゾゴイは夕方、第2コーポラス前の赤松の枝で気味の悪い?声で鳴いていました。薮をかき分けて赤松に近づき、プロミナーでじっくり観察しました。夕日を背景に枝に止まっているミゾゴイのシルエットを憶えています。春の渡りの途中に寄ったのです。
唯一日本で繁殖し(英名
Japanese night heron)、中国南部、フィリピン、台湾、そして九州や西南諸島で越冬します。ミゾゴイは里山の環境悪化で絶滅に向かっている鳥(準絶滅危惧))といわれています。シギ・チドリが干潟を渡りの中継地として利用するように、絶滅種ミゾゴイは東豊田保全地域を中継地と使用したのです。あらためて黒川の重要性を認識しました。


(お知らせ)
昨年と同様に、10月から来年3月の第3日曜日(1月だけは第2日曜日)に野鳥を中心とした観察会を「日野の自然を守る会」主催で行います。

◆より鳥みどり観察会・第9回
『秋風に吹かれて浅川の《鳥》散歩』
日時 10月18日(日) 雨天中止
集合 京王線南平駅 午前9時
解散 浅川・ふれあい橋 お昼ごろ
担当 金子凱彦/村岡明子

○詳細は会報「日野の自然」10月号か、本会HPをご覧ください。

◆より鳥みどり観察会・第10回
日時  11月15日(日)

場所は黒川清流公園の予定ですが、詳細は来月お知らせ致します。