金子凱彦の野鳥調査 第27回
日野の自然を守る会 金子凱彦
●東豊田緑地保全地域の野鳥調査
<調査地とコース>
同保全地域は日野市のほぼ中央部に細長く広がる日野台地の段丘崖の一部で、1975年に東京都により緑地保全地域に指定されました。東豊田3丁目、多摩平2丁目、7丁目に隣接した黒川清流公園、多摩平第6公園、清水谷公園の約60,000uの雑木林です。黒川清流公園の崖下には数カ所から湧水が流れており、池が4カ所あります。東から「ひょうたん池」、「大池」、「わきみず池」、「あずまや池」の名が付いています。
調査は黒川清流公園の東端の中央線脇にあるひょうたん池から西へ黒川防災広場(汚水処理場跡地)、第6公園、山王下公園、清水谷公園の池まで約1.7kmのコースを1時間で歩き、その間に出現した野鳥の種類と数を記録します。
<調査結果>
(1)マガモ7(♂4♀3) (2)カルガモ11 (3)キジバト6 (4)キセキレイ2 (5)ハクセキレイ1 (6)ヒヨドリ8 (7)ルリビタキ1♀ (8)ツグミ3 (9)ウグイス1 (10シジュウカラ8 (11)メジロ7 (12)スズメ1 (13)ハシボソガラス1 (14)ハシブトガラス2 (15)ドバト12
<備考>
・快晴の穏やかな正月です。人影もなく、鳥も正月休み?で少なかった。
・今冬初めてルリビタキの雌を、わきみず池周辺で観察しました。声もたびたび聞きました。
●調査日 2010年1月9日 快晴、無風
<調査結果>
(1)マガモ7(♂4♀3) (2)カルガモ4 (3)キジバト9 (4)コゲラ3 (5)ハクセキレイ1 (6)ヒヨドリ9
(7)モズ1♀ (8)ルリビタキ1♀ (10)ジョウビタキ2♀ (11)ツグミ4 (12)シジュウカラ17 (13)メジロ10 (14)カワラヒワ10+ (15)スズメ1 (16)ムクドリ2 (17)ハシボソガラス1 (18)ハシブトガラス2 (19)ドバト5
<備考>
・モズの雌をあずまや池で観察しました。黒川防災広場をテリトリーにしている雌です。精悍な雄の顔と違い雌は穏やかな、愛くるしい?顔をしています。
・ルリビタキもジョウビタキも雌でした。モズといい今年の黒川公園は雌が多いようです。カラフルな雄に較べ、シックな雌は冬の雑木林によく似合います。
●調査日 2010年1月10日 快晴、無風、あたたかい
日野の自然を守る会主催・より鳥みどり観察会(12)「黒川清流公園でニューイヤーカウント」の結果です。
当日参加の14人の目と耳で、9:00〜12:00に観察した記録です。ニューイヤーカウントは今回で2回目になります。
<調査結果>
(1)マガモ7(♂4♀3) (2)カルガモ8 (3)キジバト8 (4)コゲラ2 (5)ヒヨドリ12+ (6)モズ2♀ (7)ジョウビタキ1♀ (8)ツグミ2 (9)ウグイス1 (10)エナガ9 (11)シジュウカラ12+ (12)メジロ11+ (13)カシラダカ5 (14)カワラヒワ10 (15)ムクドリ1 (16)ハシボシガラス1 (17)ハシブトガラス1 (18)ドバト8
<観察会終了後>(19)アオゲラ1 (20)オナガ5+
<備考>
・モズの雌は@山王下公園北側の林と1000mほど離れたAひょうたん池で観察しました。この雌たちは別個体でしょう。記録は2羽にしました。
・ジョウビタキの雌は前日と同じTVアンテナに止まっていました。全員で観察できました。
・黒川防災広場でカワラヒワとカシラダカを観察できました。
・調査終了後けたたましい鳴き声と共にアオゲラが飛ぶのを観察しました。
●調査日 2010年1月21日 くもり、無風
<調査結果>
(1)アオサギ2 (2)マガモ7(♂4♀3) (3)カルガモ11 (4)キジバト6 (5)コゲラ1 (6)キセキレイ1 (7)ヒヨドリ6 (8)モズ1♀ (9ツグミ2 (10)ウグイス1 (11)シジュウカラ22± (12)メジロ1+ (13)ホオジロ1 (14)カシラダカ1 (15)カワラヒワ7 (16)ムクドリ4 (17)オナガ10+ (18)ハシボソガラス5 (19)ハシブトガラス4 (20)ドバト11
<備考>
・アオサギは多摩平から平山方向への上空通過です。
・メジロは声を聞いただけで羽数は不明でした。
・多摩平第6公園のケヤキに止まるホオジロを観察しました。本調査地内では極めて珍しい種です。多摩平団地方向に姿を消しました。
・雑木林内の小さな湧水からカシラダカが飛び立ちました。付近の木々を探すが、この1羽だけでした。
・黒川防災広場脇の電線に止まるカワラヒワを見ました。
・大池前の電柱に止まるハシボソガラス4羽を観察しました。調査を始めた2007年から付近の林で毎年ハシボソが繁殖しています。今後の動向が気になります。
●調査日 2010年1月27日 快晴、無風
<調査結果>
(1)マガモ7(♂4♀3) (2)カルガモ14 (3)キジバト5 (4)コゲラ1 (5)アオゲラ1 (6)キセキレイ1 (7)ハクセキレイ1 (8)ヒヨドリ5 (9)モズ1♀ (10)ジョウビタキ1♀ (11)ツグミ1 (12)ウグイス1 (13)エナガ2 (14)ヤマガラ4 (15)シジュウカラ6
(16)メジロ2+ (17)カシラダカ3 (18)アオジ1 (19)カワラヒワ2 (20)シメ1 (21)ハシボソガラス2 (22)ハシブトガラス2
(23)ドバト3
<備考>
・シジュウカラ、ヤマガラ、エナガは2〜3羽で林の中を移動していました。大きな混群には出会いませんでした。
・林内の小さな湧水で前回同様にカシラダカを観察しました。調査区外の多摩平の空き地で30羽ほどのカシラダカを、調査終了後に確認しまいた。この群が黒川の湧水に時々水を飲みに飛来するようです。
・アオジの観察は久しぶりです。多摩平第6公園の低い植え込みの脇で採食していました。
(お知らせ)
●浅川の野鳥調査の結果を掲載
日野市内の浅川のセンサス結果を、1月の黒川清流公園の記録とともに同時に掲載します。調査コースは一番橋(右岸は南平5丁目、左岸は東豊田1丁目)の下流側にある市民プールから、一番橋上流のグランド(右岸の南平水門の対岸)までの約1.5kmです。2007年より月に2〜3回ロードセンサス(コースを歩きがら出現した鳥の種類と数を記録する)を行っています。その内の1〜2回分を掲載します。また同じコースで33年前の1977年に調査を行いました。未整理ですが記録が残っているので、一緒に掲載します。当時と比較すると興味深いことがわかります。
●調査日 2010年1月3日 はれ
<調査結果>
(1)カワウ146± (2)ダイサギ1 (3)コサギ3 (4)アオサギ2 (5)カルガモ11 (6)コガモ25(♂10♀15) (7)ヒドリガモ2(♂1♀1) (8)イカルチドリ4 (9)イソシギ2 (10)ユリカモメ1(下流へ) (11)キジバト4 (12)カワセミ1 (13)キセキレイ1 (14)ハクセキレイ7 (15)セグロセキレイ2 (16)タヒバリ6 (17)ヒヨドリ2 (18)ジョウビタキ1♀ (19)ツグミ6 (20)ウグイス1 (21)セッカ2 (22)シジュウカラ1 (23)メジロ1 (24)ホオジロ14 (25)カシラダカ10+ (26)カワラヒワ73+ (27)スズメ80± (28)ムクドリ18 (29)ハシボソガラス4 (30)ハシブトガラス1 (31)ドバト31
計31種、総羽数463羽
<備考>
・カワウ20羽と120羽の群が上空を下流へ通過しました。本日の総羽数の31%を占めます。私が初めてカワウを浅川で確認したのは1984年5月4日です。1977年当時、浅川にはカワウは上って来ませんでした。1979年発行の『日野の動物』(日野市)日野で見られるおもな野鳥リスト(高野伸二さん執筆)にはカワウの記載がありません。
●調査日 2010年1月8日 はれ
<調査結果>
(1)カワウ38 (2)ダイサギ9 (3)コサギ21 (4)アオサギ4 (5)カルガモ14 (6)コガモ18(♂5♀13) (7)ヒドリガモ4(♂2♀2) (8)イカルチドリ6 (9)キジバト2 (10)カワセミ1♀ (11)ヒバリ3 (12)キセキレイ2 (13)ハクセキレイ8 (14)セグロセキレイ2 (15)タヒバリ11 (16)ヒヨドリ6 (17)モズ1♂ (18)ジョウビタキ2♀ (19)ツグミ2 (20)セッカ1 (21)ホオジロ7 (22)カシラダカ32+ (23)カワラヒワ10+ (24)スズメ27 (25)ムクドリ13 (26)ハシボソガラス5 (27)ハシブトガラス2 (28)ドバト18 計28種、総羽数269羽
<備考>
・現在普通に周年観察できるアオサギも、1970年代には浅川で記録はありません。1980年代後半よりその姿をまれに見るようになりました。もともと東北より北で繁殖するサギでしたが、近年繁殖地が南に拡大してきました。10年ほど前から日野市の多摩動物公園でコロニーを作り繁殖しています。浅川ではコサギやダイサギより出現率の高いサギになりました。
・調査終了後カワウ60+、ダイサギ20+、コサギ30±の群が、一番橋を越え上流に向かいました。最近この3種一緒の群をたびたび観察します。
《33年前の記録》
●調査日 1977年1月3日 くもり
(1)ダイサギ3 (2)コサギ9 (3)カルガモ29 (4)コガモ109 (5)オナガガモ64 (6)キジ1♀ (7)イソシギ3 (8)タシギ1 (9)ユリカモメ174(上流へ124、下流へ50) (10)キジバト21 (11)カワセミ1 (12)ヒバリ8 (13)ハクセキレイ18 (14)セグロセキレイ12 (15)タヒバリ39 (16)ヒヨドリ2 (17)モズ3 (18)ツグミ23 (19)ホオジロ7+ (20)カシラダカ8+ (21)アオジ1 (22)カワラヒワ296+ (23)スズメ178+ (24)ムクドリ17 (25)ハシボソガラス4
計25種、総羽数1031羽
●調査日 1977年1月8日 くもり
(1)ゴイサギ1 (2)ダイサギ1 (3)コサギ8 (4)カルガモ31 (5)コガモ106 (6)ヒドリガモ12 (7)オナガガモ102 (8)キジ1♂ (9)イソシギ2 (10)タシギ1 (11)ユリカモメ89(上流へ80、下流へ9) (12)キジバト22 (13)ヒバリ11 (14)ハクセキレイ21 (15)セグロセキレイ11 (16)タヒバリ31 (17)ヒヨドリ3 (18)モズ4(♂1♀1) (19)ツグミ 18 (20)ホオジロ10 (21)ホオアカ3 (22)カシラダカ37+ (23)アオジ2 (24)カワラヒワ149+ (25)スズメ332+ (26)ムクドリ14
計26種、総羽数1024羽
(観察会のお知らせ)
●より鳥みどり観察会・第13回
『いろとりどりの冬鳥たち』
冬の雑木林を彩る赤・青・黄色、色とりどりの鳥たち。明るくなった冬の七生
公園で、野鳥を中心に丘陵地の自然を楽しみましょう。
日時 2月14日(日)
集合 京王線・多摩動物公園駅前 9時
解散 現地 昼ごろ
持 物 寒くない服装、あれば双眼鏡
参加費 大人300円
担 当 村岡明子 金子凱彦
詳細は会報「日野の自然」2月号か、本会HPをご覧下さい。
●より鳥みどり観察会・第14回
『早春の浅川で野鳥観察』(仮題)
日時 3月22日(月)休日
※詳細は次回お知らせします。