金子凱彦の野鳥調査  52
                                      日野の自然を守る会 金子凱彦

●東豊田緑地保全地域の野鳥調査
<調査地とコース>
 同保全地域は日野市のほぼ中央部に細長く広がる日野台地の段丘崖の一部で、1975年に東京都により緑地保全地域に指定されました。東豊田3丁目、多摩平2丁目、7丁目に隣接した黒川清流公園、多摩平第6公園、清水谷公園の約60,000uの雑木林です。黒川清流公園の崖下には数カ所から湧水が流れており、池が4カ所あります。東から「ひょうたん池」、「大池」、「わきみず池」、「あずまや池」の名が付いています。
 調査は黒川清流公園の東端の中央線脇にあるひょうたん池から西へ黒川防災広場(汚水処理場跡地)、第6公園、山王下公園、清水谷公園の池まで約1.7kmのコースを1時間で歩き、その間に出現した野鳥の種類と数を記録します。


黒川清流公園内の表示板に説明を増やし作成

調査日 2012年2月3日 快晴、無風

<調査結果>
(1)マガモ8(5♂3♀) (2)カルガモ22 (3)キジバト8 (4)ハクセキレイ1 (5)ヒヨドリ6 
(6)モズ2(♂♀) (7)シロハラ1 (8)ツグミ4 (9)ウグイス2 (10)エナガ1  (11)ヤマガラ3  
(12)シジュウカラ15±  (13)メジロ13±  (14)カシラダカ15+ (15)カワラヒワ1
(16)スズメ2 (17ムクドリ17+ (18)オナガ20± (19)ハシボソガラス1 (20)ハシブトガラス2  
(21)ドバト5 (22)ガビチョウ1

<備考>
・ひょうたん池西側の林でモズの雌を観察する。山王下公園前(北側)の林でモズの雄を確認するが、この雄は防災
 広場の個体であろう。調査地では2羽のモズが越冬しているようである。ただわきみず池周辺にもモズが姿を現す
 と聞くが確認はできていない。
・ツグミが多くなり4羽を数えた。ただ例年より少ないが…。
・シジュウカラは混群でなく単独種の群れであった。地面に下りて盛んに採食している。メジロも単独の群であった。
・第6公園入口の信号機に止まるスズメ2羽を観察する。今やスズメは本調査地においてはいたって少ない鳥である。
・久しぶりにオナガが黒川の林(大池)に現れる。西から東に林内を移動していたが、ひょうたん池まで行かず、Uターン
 して多摩平側に姿を消した。
※今日は「節分」である。高幡不動尊の人気のない奥の院で、きれいなルリビタキの雄を見る。

調査日 2012年2月11日 快晴、無風、空気は冷たいが心地よい朝である

<調査結果>
(1)ダイサギ1  (2)マガモ8(5♂3♀)  (3)カルガモ21  (4)ツミ1  (5)キジバト3    
(6)ハクセキレイ2  (7)ヒヨドリ3  (8)シロハラ1  (9)ツグミ1  (10)ウグイス1      
(11)エナガ1  (12)シジュウカラ23±  (13)メジロ2  (14)オナガ30± 
(15)ハシボソガラス3 (16)ハシブトガラス6 (17)ドバト2


<備考>
・大池の水辺にうずくまるダイサギ1羽を発見! 調査終了後も心配になり立ち寄ると同じ形でうずくまっていた。
 同じ個体かは不明だが、昨日水路にいたダイサギは人がすぐ脇を通っても飛び立たなかった。空腹なのか?と
 思ったのだが…。
・久しぶりに林内を飛ぶツミを確認する。大池北側の木に止まるが、ハシブトガラスに追われ飛び立ってしまった。
 さらに防災広場上空を南側中央線方向に飛ぶツミを1羽観察するが、同じ個体であろう。
・わきみず池でシロハラ1羽を観察するが、ツグミも1羽のみであった。今年はツグミが少ない。
・地面に下りて採食している15羽ほどのシジュウカラの群を観察するが、混群には出会わなかった。調査地におい
 ては、今年混群が少ないようである。


調査日 2012年2月13日 くもり時々日が差す、無風

<調査結果>
(1)カワウ1  (2)マガモ8(5♂3♀)  (3)カルガモ18  (4)キジバト4 (5)キセキレイ1  
(6)ヒヨドリ6  (7)シロハラ1  (8)ウグイス1  (9)シジュウカラ16±  (10)メジロ3    
(11)カワラヒワ40+  (12)ムクドリ5   (13)オナガ10+  (14)ハシボソガラス3  
(15)ハシブトガラス2  (16)ドバト8   (17)ガビチョウ2


<備考>
・中央線方向からカワウ1羽が現れる。防災広場を低空で通過し、あずまや池に降りようとするが、池のわきに
 人が立っていたので、東方向へ低空で飛び去る。大池やあずまや池にカワウが入ると聞いたことがあるが、
 私は観察していない。
 (後日談)2月18日朝8時30分、大池で採食しているカワウ1羽を発見する。私が池の淵に近づいても飛び立
 つことなく、餌採りを続けていた。午後1時半に再び寄ると、カワウはせっせと池に潜っていた、朝と同じ個体で
 あろう。ただ翌日からは姿を現さなかった。
・落ち葉をひっくり返して餌を探しているシロハラを観察するが、ツグミはゼロであった。
・多摩平側のケヤキに並ぶカワラヒワの群(40羽ほど)を観察する。この大きな群を除いて、本日は鳥がいたって
 少ない。スタート地点のひょうたん池から大池までの間、1羽の鳥も確認できなかった。なお、昨日の七生公園
 の観察会(より鳥みどり観察会)でもいたって鳥が少なかった。


調査日 2012年2月20日 快晴、無風
  本日は、日野の自然を守る会主催・より鳥みどり観察会(25)「黒川清流公園ニューイヤーカウント2012」の
  結果であった。以下はその時の記録である。

<調査結果>
(1)マガモ8(5♂3♀)  (2)カルガモ22 (3)オオタカ1  (4)キジバト3 (5)キセキレイ1   
(6)ハクセキレイ1  (7)ヒヨドリ2  (8)モズ1♂ (9)ルリビタキ1  (10)ヤマガラ5      
(11)シジュウカラ28+ (12)メジロ2 (13)カシラダカ30± (14)スズメ6 (15)オナガ10+
(16)ハシボソガラス6  (17)ハシブトガラス3 (18)ドバト5 (19)ガビチョウ2


<備考>
・黒川公園に隣接する第一コーポラスから、ドバト4羽が血相を変えて(のように見えた)、黒川の林に逃げ込む。
 そのすぐ後をオオタカが追うが、ドバトには逃げられてしまった。狩りに失敗したオオタカは段丘崖上部の木に
 止まる。若鳥であった。
 一緒にこの瞬間を見ていた青年によると、オオタカはコーポラス3階の踊り場にドバトを追って突入したが、中で
 Uターンして再びドバトを追いかけて飛び出して来たという。私はこの場面は見ていない。以前から踊り場や屋上
 でドバトのまとまった羽毛を見る、との話しは聞いていたが、コーポラス周辺でオオタカが狩りをしているようである。
 人が多数住むマンションという人工的環境を、オオタカは利用していた。
・久しぶり防災広場でモズの雄を確認する。そろそろモズたちの恋いの季節だ。
 ここで繁殖するとよいのだが…、期待したい。
・やっと! わきみず池でルリビタキの声を聞くが、姿は確認できなかった。2月中旬には雌雄2羽の姿を見た、との
 話しを聞いたが、私は黒川でルリビタキの姿を見ていない。
・本日もツグミを確認できなかった。やはり少ないだ。

調査日 2012年2月26日 くもり、無風だが寒い

<調査結果>
(1)コサギ1  (2)マガモ8(5♂3♀)  (3)カルガモ18  (4)キジバト4 (5)コゲラ1     
(6)キセキレイ1  (7)ハクセキレイ1  (8)ヒヨドリ3  (9)モズ2(♂♀)  (10)シロハラ1    
(11)ツグミ2   (12)ウグイス2  (13)シジュウカラ6  (14)メジロ3 (15)ハシボソガラス5  
(16)ハシブトガラス5  (17)ドバト8


<備考>
・2月になり水路でコサギの姿をたびたび見るようになる。本日のコサギ(いつも同じ個体と思うが…)は水路の脇を
 人が歩いても、避けるように早足で反対側の水辺移動するだけで、飛び立とうとはしない。ただ野良猫に追いかけ
 られたときは、さすがに電線に逃げた。そして再び水路に舞い降りた。
 なお1月下旬に降った雪の後から、浅川(一番橋周辺)でも稀ではあるが採食しているコサギを見るようになった。
 (以前は皆無といってよかった)。
 やっとわきみず池前(南側)の人家のTVアンテナに飛来したモズの雄を確認する。この雄は中央線方向に飛び去
 るが、池周辺にも飛来するであろう。また本日はひょうたん池奥(北側)で、モズの雌を確認した。今年は防災広場
 の雄を含め3羽のモズが、本調査地で越冬しているようである。小鳥や昆虫類を餌とするモズは、小さな猛禽類とも
 いわれ、生態系の上位にいる。環境の指標として、黒川公園に生息するモズの個体数には興味がある。

お知らせ
3月のより鳥みどり観察会
『渡り前の冬鳥たちと河原の春』 
※詳細は、観察会ページをご覧下さい






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