金子凱彦の野鳥調査 第59回
日野の自然を守る会 金子凱彦
●東豊田緑地保全地域の野鳥調査
<調査地とコース>
同保全地域は日野市のほぼ中央部に細長く広がる日野台地の段丘崖の一部で、1975年に東京都により
緑地保全地域に指定されました。東豊田3丁目、多摩平2丁目、7丁目に隣接した黒川清流公園、多摩平
第6公園、清水谷公園の約60,000uの雑木林です。黒川清流公園の崖下には数カ所から湧水が流れてお
り、池が4カ所あります。東から「ひょうたん池」、「大池」、「わきみず池」、「あずまや池」の名が付いています。
調査は黒川清流公園の東端の中央線脇にあるひょうたん池から西へ黒川防災広場(汚水処理場跡地)、
第6公園、山王下公園、清水谷公園の池まで約1.7kmのコースを1時間で歩き、その間に出現した、
野鳥の種類と数を記録します。
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黒川清流公園内の表示板に説明を増やし作成
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調査日 2012年9月2日 くもり時々小雨、日中、時々豪雨になる
<調査結果>
(1)カルガモ5 (2)キジバト1 (3)ヒヨドリ18 (4)ヤマガラ4 (5)シジュウカラ13+
(6)オナガ1 (7)シボソガラス2 (8)ハシブトガラス1 (9)ドバト6 (10)ガビチョウ1
<備考>
・久しぶりにヤマガラを山王下公園で観察する。本種3羽、シジュウカラ2羽が地面に降りて採食中であった。愛くるしい暖かみのあるヤマガラは、白と黒の色彩のためかクールな感じのするシジュウカラとはイメージの違った雑木林の野鳥である。さらに多摩平側の多摩平第一緑地(10562u)でも地面で採食しているヤマガラ2羽(もっといたか?)とシジュウカラ7羽に出会う。残暑が厳しいとはいえ、黒川でヤマガラの姿を見ると秋を感じる。
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調査日 2012年9月14日 はれ、無風、日差し強い
<調査結果>
(1)カルガモ13 (2)キジバト2 (3)ヒヨドリ8 (4)ヤマガラ2 (5)シジュウカラ2
(6)オナガ10+ (7)ハシボソガラス5 (8)ハシブトガラス2 (9)ドバト3 (10)ガビチョウ2
<備考>・本日も残暑厳しく、暑い中での調査であった。出現種は10種で、前回同様に少ない。
ヤマガラは湧水で水浴びをしている2羽のみで、シジュウカラも2回、各1羽を確認したのみでいたって少ない。まだまだ鳥たちは少ないようだ
●調査日 2012年9月25日 くもり、時々霧雨、無風
<調査結果>
(1)カルガモ17 (2)キジバト2 (3)アオゲラ1 (4)コゲラ1 (5)キセキレイ1 (6)ヒヨドリ5
(7)ヤマガラ3 (8)シジュウカラ7 (9)ハシボソガラス3
<備考>先日までの残暑とはうってかわり、急に涼しくかった。本日の気温は24℃(午前中は18℃)。“暑さ寒さも彼岸まで”、とよく言うがやっと夏の猛暑から解放された感がある。
・アオゲラは声を一声聞いただけであった。
・コゲラはシジュウカラ4〜5羽と一緒に行動していたが、シジュウカラはコゲラと離れて別方向に飛び去ってしまった。混群ではないようだ。
・久しぶりに水路で餌を探しているキセキレイに会う。4月18日に観察して以来で、夏には黒川に飛来しない水辺の鳥である。なお浅川・一番橋付近でも繁殖期の春から夏にかけては、ほとんどその姿を見ることがない。
・地表に落ちた実を採食しているらしく、エゴノキの真下から飛び立つヤマガラを3回観察した(各1羽羽)。ヤマガラは愛くるしく可愛いい鳥だ。
<余談>
今月の調査は暑く鳥の敷も少なく、調査と言ってもバードウォッチングを楽しみたい私には、いささか辛い月であった。そのような中で「日野の自然を守る会」の設立時のメンバーであった高野伸二さんからお聞きした話しを想い出す。
「樋口さん(著名な鳥類学者)ならば、はるばる離島に行き鳥がいなかったとしても、調査成果としてそれはそれでよいが、バードウォッチャーはそれでは困る。やはり離島で多くの鳥に出会いたい、それがバードウォッチャーですよ」当時の私はこの話しを聞いて研究者とバードウォッチャーの違いが納得できた。
もちろん高野さんは野鳥識別の権威で鳥類研究者であり、謙遜して自分はバードウォッチャーとおっしゃったのだが、鳥の調査をしながら、特に鳥がほとんどいない時など、これは調査だ、調査だと呟きながら、高野さんのことなどを想い出す。