金子凱彦の野鳥調査 第62回
日野の自然を守る会 金子凱彦
●東豊田緑地保全地域の野鳥調査
<調査地とコース>
同保全地域は日野市のほぼ中央部に細長く広がる日野台地の段丘崖の一部で、1975年に東京
都により緑地保全地域に指定されました。東豊田3丁目、多摩平2丁目、7丁目に隣接した黒川清
流公園、多摩平第6公園、清水谷公園の約60,000uの雑木林です。黒川清流公園の崖下には数カ所
から湧水が流れており、池が4カ所あります。東から「ひょうたん池」、「大池」、「わきみず池
」、「あずまや池」の名が付いています。調査は黒川清流公園の東端の中央線脇にあるひょうたん
池から西へ黒川防災広場(汚水処理場跡地)、第6公園、山王下公園、清水谷公園の池まで約1.7
kmのコースを1時間で歩き、その間に出現した、野鳥の種類と数を記録します。
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黒川清流公園内の表示板に説明を増やし作成
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調査日 2012年12月2日 快晴、無風
<調査結果>
(1)マガモ7(5♂2♀) (2)カルガモ23 (3)キジバト2 (4)アオゲラ1
(5)コゲラ2 (6)ハクセキレイ1 (7)ヒヨドリ16 (8)ジョウビタキ1♂ (9)ツグミ1
(10)ウグイス3 (11)シジュウカラ10± (10)メジロ10± (11)ハシボソガラス4
(12)ハシブトガラス2 (13)ドバト20 (14)ガビチョウ3
<備考>
○大池のマガモの雌は昨日1羽であったが、今朝2羽になっていた。
○大池北側の林でシジュウカラ10羽ほど、メジロ10羽ほどの群れ、それにコゲラ1羽を観察
するが、カラ類はここでの観察だけで他では確認できなかった。エナガには出会わなかった。
○ハクセキレイは11月下旬から黒川周辺に頻繁に姿を現すようになった。
○ロシアからの遠来の客ツグミを確認する。冬鳥の初認である。葉の落ちたカキの木の樹冠部で、
長旅の疲れを癒すように胸を反らしてじっと止まっていた。
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調査日 2012年12月13日 快晴、無風
<調査結果>
(1)アオサギ1 (2)マガモ8(6♂2♀) (3)カルガモ18 (4)キジバト4
(5)アオゲラ1 (6)アカゲラ1 (7)コゲラ3 (8)キセキレイ1 (9)ハクセキレイ1
(10)ヒヨドリ19 (11)モズ1♂ (12)ジョウビタキ1♂ (13)ツグミ1
(14)ウグイス4 (15)エナガ5 (16)シジュウカラ16± (17)メジロ30±
(18)アオジ2 (19)カワラヒワ2 (20)スズメ3 (21)ムクドリ4 (22)オナガ5
(23)ハシボソガラス3 (24)ハシブトガラス2 (25)ドバト20± (26)ガビチョウ1
<備考>
○わきみず池にアオサギが飛来するが、カメラマン氏が近づいたので飛び去ってしまった。
○わきみず池の西側から枯れ木を激しく叩くドラミングの音が聞こえてきた。アオゲラかと付近を
探すと、何と倒木に馬乗りになったような格好のアオゲラを発見する。アカゲラは10月26日
のセンサスで初めて観察しており(東豊田緑地保全地域では初記録)、今回で2回目になる。秋
から滞在していた個体か?それとも別個体か? いよいよアカゲラもアオゲラのような黒川のキ
ツツキになるのか。多いに興味あり。今後注意をして観察する必要がある。
○モズの雄をわきみず池で観察する。飛んだとき翼の白紋が鮮やかに見えたが、色合いの薄い個体
であった。防災広場からあずまや池周辺の雄とは別個体ではないか。今後観察が必要である。
○林内を鳴きながら飛ぶツグミに出会う。冬の雑木林の一風景である
○エナガ5羽、シジュウカラ10羽ほど、メジロ20羽ほどの混群に出会う。エナガの観察は久し
ぶりであった。
<その他の記録>
林床を飛ぶフユシャクをヒヨドリが捕食していた。下草の刈られた地面すれすれを飛んでいたフユ
シャクを、木の枝から舞い降りたヒヨドリが嘴で捕まえて(地面に降りたようにも見えたが…)、
付近の枝に戻った。もう1羽、別のヒヨドリも同じような行動をしていた。風もなく日差しが林床
を照らす暖かい午前であった。
●調査日 2012年12月24日 はれ、微風 寒い(クリスマス寒波)
<調査結果>
(1)アオサギ1 (2)マガモ8(6♂2♀) (3)カルガモ23 (4)キジバト2
(5)アオゲラ2 (6)コゲラ3 (7)キセキレイ1 (8)ハクセキレイ2 (9)ヒヨドリ9
(10)ジョウビタキ2(1♂ 1♀) (11)ツグミ6 (12)ウグイス4 (13)エナガ35±
(14)ヤマガラ14 (15)シジュウカラ21± (16)メジロ7 (17)カシラダカ1
(18)アオジ1 (19)ムクドリ9 (20)オナガ16+ (21)ハシボソガラス10
(22)ハシブトガラス17 (23)ドバト18 (24)ガビチョウ5
<備考>
○あずまや池にアオサギがたたずんでいた。昨日も池で見かけており、たびたび飛来しているよう
だ。池の魚をねらってのことか?それとも休息の場として利用か?
○雌雄は分からなかったが、アオゲラが2羽一緒で行動していた。木を叩く音も聞こえた。
○わきみず池でジョウビタキの雌を観察する。池の奥(北側)の薮を移動していた。ここで雌のジ
ョウビタキを見るのは初めてである。もう1羽の雄はひょうたん池のフェンスに止まっていた。
ひょうたん池の周辺では雄が頻繁に姿を現す。
○エナガを主とした混群に2回出会う。大池西側の湧水を過ぎた斜面で、エナガ15羽ほど、シジ
ュウカラ10羽ほど、ヤマガラ、コゲラ各2羽の混群が木々を移動していた。かなり早いスピー
ドで西に移動していた。もう1回はわきみず池を過ぎたネザサの茂る斜面を移動する混群であっ
た。ここも圧倒的にエナガが多く、エナガ20羽ほどに、シジュウカラ、メジロ各2羽(観察で
きたのは…)がネザサの中を東に移動していた。高い木の枝に出ることなく、地面に降りている
かと思うほどに低い所で行動していた。これらの2回の混群は移動方向からしても別の群れであ
ろう。うむ、黒川にはエナガが20〜30羽もいるのか。
○わきみず池前のケヤキにヤマガラを同時に4羽見る。他の種はなくヤマガラだけで行動していた。
○今冬初めてカシラダカを1羽だけであるが確認する。ネザサの上部に姿を現した。すでに黒川に
は飛来していると聞いてはいたが、私は今冬初めてである。そういえばルリビタキ(♀)も飛来
しているとの事であるが(わきみず池で撮った雌の写真あり)が私は出会っていない。
○防災広場前の人家から出た生ゴミを8、9羽のハシブトが喰い散らかしていた。電線から見てい
るハシブトもいる。どういう関係かは不明であるが、凄い声をだした道路のハシブトに追われ電
線に逃げた。同じ広場の地面に嘴を突っ込んで餌を採っている(?)ハシブトが5羽ほどいたが、
生ゴミには近寄れないようであった。やはりハシブトは圧倒的に強いようである。
<その他の記録>
本日はクリスマス寒波と天気予報で報じているように寒い午前中であった。ただその分久しぶりに
鳥の多い日になった。これぞ冬の雑木林の鳥見である。
▲あずまや池のアオサギ(2012.12.24撮影)
調査日 2012年12月28日 くもり、無風、寒い
<調査結果>
(1)マガモ8(6♂2♀) (2)カルガモ21 (3)キジバト8 (4)アオゲラ1 (5)コゲラ1
(6)キセキレイ2 (7)ヒヨドリ7 (8)シロハラ1 (9)ツグミ2 (10)ウグイス2
(11)シジュウカラ6 (12)メジロ1 (13)カワラワ10± (14)スズメ2 (15)ムクドリ4
(16)オナガ10+ (17)ハシボソガラス11 (18)ハシブトガラス7 (19)ドバト26
(20)ガビチョウ2
<備考>
○大池には冬の期間マガモが定着し、カルガモは大池10羽、わきみず池9羽、あずまや池2羽であ
った。
○やっとシロハラの姿をわきみず池の奥に見る。小枝に止まりあたかも池わきの遊歩道に立つ私を見
つめている(観察している)ように、じっと向かい合っていた。私が去っても動かずその枝にいた。
眼の縁の黄色いリングが特徴の地味な鳥であるが、毎年黒川に姿を現す定番の冬鳥である。なお同
じ場所でツグミの声も聞く。
○シジュウカラの群には出会わず、メジロも1回だけと寂しかった。
○大池わきに立つ柿の木にハシボソ7羽が止まり、残った柿の実をむさぼり食べていた。これで柿は
すべて食べ尽くされてしまうであろう。
▲多摩平第1緑地より多摩平住宅を見る。調査地を取り巻く環境は日々変わり、野鳥たちにどのような
影響が出るか、今後とも観察を続けたい。(2012,12.24撮影)