金子凱彦の野鳥調査 第65回
日野の自然を守る会 金子凱彦
●東豊田緑地保全地域の野鳥調査
<調査地とコース>
同保全地域は日野市のほぼ中央部に細長く広がる日野台地の段丘崖の一部で、1975年に東京
都により緑地保全地域に指定されました。東豊田3丁目、多摩平2丁目、7丁目に隣接した黒川清
流公園、多摩平第6公園、清水谷公園の約60,000uの雑木林です。黒川清流公園の崖下には数カ所
から湧水が流れており、池が4カ所あります。東から「ひょうたん池」、「大池」、「わきみず池
」、「あずまや池」の名が付いています。調査は黒川清流公園の東端の中央線脇にあるひょうたん
池から西へ黒川防災広場(汚水処理場跡地)、第6公園、山王下公園、清水谷公園の池まで約1.7
kmのコースを1時間で歩き、その間に出現した、野鳥の種類と数を記録します。
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黒川清流公園内の表示板に説明を増やし作成
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調査日 2013年3月1日 くもりのち晴れ、風強い(春一番?)
<調査結果>
(1)マガモ6(4♂2♀) (2)カルガモ8 (3)キジバト8 (4)アオゲラ1♂ (5)コゲラ2
(6)キセキレイ2 (7)ヒヨドリ7 (8)ヒレンジャク1 (9)モズ1♂ (10)シロハラ2
(11)ツグミ3 (12)ウグイス1 (13)エナガ2 (14)ヤマガラ2 (15)シジュウカラ21
(16)カシラダカ10± (17)カワラヒワ1 (18)ムクドリ1 (19)オナガ10±
(20)ハシボソガラス7 (21)ハシブトガラス11 (22)ドバト12 (23)ガビチョウ1
<備考>
・マガモの雌雄が向かい合って、頭、首を上下に盛んに振っていた。求愛ディスプレイであろう。本日は3月
1日、朝の天気予報では東京にも春一番が吹く可能性あり、とのことであったが…、春の気配が何となく
感じられる朝である。
追記) 関東地方に春一番吹く、と気象庁発表
・カルガモは助々に数が減っている。大池では1羽のカルガモを2羽がしつこく追い回していた。この1羽は
耐えられず?池の縁に上がってしまった。すると2羽はそれ以上追わない。しばらくすると陸に上がったカ
ルガモは再び池に戻っていた。本日の大池のカルガモは4羽であった。
・モズの雄をあずまや池で観察する。わさび畑の支柱に止まり、下をのぞき込むようにしていたが、まだ独身
なのか?1羽である。 昨年の3月12日には、ほぼ同じ所で雌のモズにラブソングを歌いながら求愛ダンス
を繰り返している雄を観察している。なお昨年も防災広場からあずまや池周辺は雄のテリトリーであった。
・シロハラはいつものわきみず池と防災広場で観察したので初めて2羽になった。
・シジュウカラ10羽ほど、エナガ2羽、ヤマガラ2羽、コゲラ2羽の群れに出合う。高木(ケヤキ)の樹冠部でせ
わしげに(てんでんばらばらに)飛び回っていたが、これも混群というのか。シジュウカラ以外は2羽(ペア?)
であった。やはり春を思わせる群れであった。シジュウカラの澄んだ囀りもこのケヤキから聞こえた。
・わきみず池に10羽ほどのカシラダカが飛来するが、すぐに群れで移動してしまった。
・ひょうたん池わきで枯れ草に止まるカワラヒワ1羽を発見する。他にいないか付近を探すが、この1羽だけで
あった。
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調査日 2013年3月5日 快晴、無風
<調査結果>
(1)マガモ5(3♂2♀) (2)カルガモ14 (3)キジバト8 (4)コゲラ2 (5)キセキレイ1
(6)ヒヨドリ5 (7)モズ1♂ (8)ヒレンジャク1 (9)ジョウビタキ1♀ (10)シロハラ4
(11)ツグミ7 (12)ウグイス1 (13)エナガ4 (14)ヤマガラ2 (15)シジュウカラ14
(16)メジロ7+ (17)カシラダカ48± (18)アオジ5 (19)ハシボソガラス7
(20)ハシブトガラス6 (21)ドバト12 (22)ガビチョウ2
<備考>
・マガモは序々に減ってきた。本日は5羽(3♂2♀)であるが、前回(3/1)は6羽(4♂2♀)、2月27日は
7羽(5♂2♀)であった。
・コゲラは2羽で行動していた。
・キセキレイはいつものわさび畑に入っていた。何時まで飛来するのか興味がある。
・多摩平第6公園の南斜面でモズの雄を初めて観察する。防災広場〜あずまや池の雄か(3/1観察)?
それとも山王下公園の雄か(1/おお)、それとも多摩平側に縄張りをもつ別の個体か?今後気を付けて
観察を続ける。
・大ケヤキのヤドリギでヒレンジャクを1羽観察する。2月下旬から再び飛来するようになったようで、2/28
には30羽ほどが乱舞?した、と親しい人から聞く。私は3/1(金)のセンサス時に1羽、3/2(土)第2コ
ーポ前の湧水で7羽ほど、3/3(日)、あずまや池で5羽を観察した。あずまや池わきのわさび畑にレンジ
ャク2羽が降りるが、作業をしている人がいたので、すぐ飛び立ってしまった。が再び降りる。が、やはり警
戒して付近の枝に移る。この2羽は水に執着しているようであったが、作業をしている人は、全く無関心で
あった。
・シロハラは今冬、最多の4羽を数える。ツグミ7羽も多い数である。
・ウグイスの囀りを一回限りではあったが聞く。
・ヤマガラは2カ所の観察で、2羽一緒の行動ではなかった。
・第2コーポ前の湧水でカシラダカ30羽ほどを観察する。最大10羽が一斉に降りて、水浴びをし、水を飲ん
でいた。シジュウカラ1羽も一緒に水浴びをしていた。この湧水以外でカシラダカを観察したのは、あずまや
池で12羽、防災広場の桜に止まる1羽、山王下公園の5羽である。
・アオジは5羽を数える。今冬、黒川でアオジは多い。
▲ヒレンジャク 撮影・小久保雅之 黒川清流公園にて
●調査日 2013年3月19日 晴れ、暖かい
<調査結果>
(1)マガモ5(3♂2♀) (2)カルガモ4 (3)キジバト4 (4)アオゲラ2(♂♀) (5)コゲラ1
(6)キセキレイ1 (7)ヒヨドリ9 (8)ツグミ1 (9)ウグイス5 (10)ヤマガラ1 (11)シジュウカラ5
(12)カシラダカ20± (13)カワラヒワ1 (14)ムクドリ10 (15)オナガ15± (16)ハシボソガラス7
(17)ハシブトガラス3 (18)ドバト21 (19)ガビチョウ1
<備考>
・カルガモが激減する。大池、わきみず池、あずまや池に各2羽のカルガモが定着した(本日の調査では、わき
みず池に姿がなかったが)。繁殖の準備であろうか、毎年春になると1つの池に1ペアの、ゆるい繁殖縄張りを
もつようである。
・あずまや池の北斜面の林で、アオゲラの雌雄を観察する。別々の木で採食中であるが、雄が時々ドラミングを
する。調査地内で繁殖するのは1番であろう。
・コゲラは防災広場から声を聞く。コゲラは複数が繁殖しているようだ。
●調査日 2013年3月28日 はれ、風なし
<調査結果>
(1)マガモ1♂ (2)カルガモ5 (3)キジバト9 (4)アオゲラ1 (5)キセキレイ1 (6)ヒヨドリ20
(7)シロハラ1 (8)ツグミ1 (9)ウグイス4 (10)エナガ1 (11)ヤマガラ1 (12)シジュウカラ7
(13)メジロ5+ (14)カシラダカ1 (15)ムクドリ3 (16)ハシボソガラス3 (17)ハシブトガラス3
(18)ドバト5 (19)ガビチョウ4
<備考>
・大池のマガモは3/22よりオス1羽になる。カルガモ2羽から離れ、取り残されたようにひっそりと?池の隅で
休んでいた。
・冬鳥のシロハラ、ツグミ、カシラダカを各1羽観察するが、黒川ではそろそろ終認か。小さな湧水でシラダカが1
羽で水浴びをしていた。他に仲間がいないか付近を探すが、この1羽だけであった。
・本日はヒヨドリが20羽と多かった。3/19は9羽、3/14は7羽、3/5は5羽である。
・ウグイスの囀りを4カ所で聞くが、ダブリがあるのではないか、調べる必要がある。
・エナガ、ヤマガラは1羽で行動していたが、営巣中なのか。エナガの長い尾は曲がっていなかったが…。