金子凱彦の野鳥調査  68
                               日野の自然を守る会 金子凱彦

●東豊田緑地保全地域の野鳥調査
<調査地とコース>
 同保全地域は日野市のほぼ中央部に細長く広がる日野台地の段丘崖の一部で、1975年に東京
都により緑地保全地域に指定されました。東豊田3丁目、多摩平2丁目、7丁目に隣接した黒川清
流公園、多摩平第6公園、清水谷公園の約
60,000uの雑木林です。黒川清流公園の崖下には数カ所
から湧水が流れており、池が4カ所あります。東から「ひょうたん池」、「大池」、「わきみず池
」、「あずまや池」の名が付いています。
調査は黒川清流公園の東端の中央線脇にあるひょうたん
池から西へ黒川防災広場(汚水処理場跡地)、第6公園、山王下公園、清水谷公園の池まで約
1.7
kmのコースを1時間で歩き、その間に出現した、野鳥の種類と数を記録します。


黒川清流公園内の表示板に説明を増やし作成

調査日 2013年6月3日 晴れ、無風

<調査結果>
(1)カルガモ2  (2)キジバト3  (3)アオゲラ3(成鳥1,幼鳥2)  (4)コゲラ3(幼鳥)    
(5)ヒヨドリ8   (6)ウグイス1  (7)シシジュウカラ12(幼鳥6+) (8)スズメ2 (9)ムクドリ4  
(10)オナガ4  (11)ハシボソガラス4 (12)ハシブトガラス1  (13)ドバト5  (12)ガビチョウ2


<備考>
・アオゲラの声がクヌギから聞こえてきた。成鳥1羽が現れ、それを追うように幼鳥2羽が横枝
 に飛来する。まだ他に幼鳥がいるか、付近を探すが見つからなかった。黒川で巣立ったファミ
 リーであろうか。
・コゲラの幼鳥を確認する。付近に成鳥の姿なく幼鳥だけでせっせと餌を探していた。まだあど
 けなく?行動も緩やかである。
・防災広場東端でウグイスが盛んに鳴いていた。前回(5/23)にも聞く。
・シジュウカラの幼鳥は5羽ほどであった。付近に成鳥がいたが給餌は受けていない。顔の黄色
 が残るが、自分たちで餌を探している。本日は黒川および周辺で巣立ったと思う3種の幼鳥を
 観察することができた。


調査日 2013年6月20日 くもり、微風

<調査結果>
(1)アオサギ2  (2)カルガモ4  (3)キジバト2  (4)ツバメ8  (5)ヒヨドリ5  (6)シジュウカラ8
(7)スズメ1  (8)ムクドリ9  (9)オナガ1 (10)ハシボソガラス3 (11)ハシブトガラス3  
(12)ドバト18   (13)ガビチョウ2


<備考>
・アオサギ2羽が調査地上空を鳴きながらゆっくり旋回し多摩平方向に消える。なぜあんなに
 も騒いでいたのか?
・防災広場では地表すれすれを飛びながら餌を採っているツバメがいた。清水谷公園の池の上
 を旋回するツバメの幼鳥も観察する。緑地の稜線を飛ぶツバメの姿もあり本日はツバメが多
 かった。

調査日 
2013年6月27日 晴れ、微風

<調査結果>
(1)カルガモ1  (2)キジバト2  (3)アオゲラ1 (4)ツバメ4  (5)ヒヨドリ3  (6)シジュウカラ4  
(7)ムクドリ5  (8)オナガ2+  (9)ハシボソガラス6  (10)ハシブトガラス5  (11)ドバト19  
(12)ガビチョウ2

<備考>
・ひょうたん池周辺でツバメを2羽、さらに防災広場で2羽観察する。前夜まで雨であったが、
 久しぶりの日差しが林内を明るく照らしていた。木々の葉が緑鮮やかで美しい。ただ鳥はい
 たって少ない。
・ハシボソガラスは大池周辺に1番(つがい)、わきみず池周辺にも1番が周年縄張りをもっ
 ているようだ。6月になっても2羽一緒でいることが多く、繁殖はしなかったのか? 
 繁殖は不明である。ハシブトガラスはひょうたん池から中央線にかけて幼鳥2〜3羽をよく
 見かけた。


<新刊本のお知らせ>
私事で恐縮ですが、都会のツバメ30年の調査結果をもとに、本を出版することになり案内させて頂きます。
本の表紙写真 

『銀座のツバメ』
金子凱彦著 佐藤信敏写真
定価 1500円/四六版 カラー口絵付き188頁
発売・学芸みらい社       7月中旬発売 
◆書店や、アマゾン他のネット書店で注文・購入できます。

全国の都市でツバメは生き残れるかどうかの厳しい環境になっている。このツバメの将来を考えるとともに、
身近だが、あまり知られていないツバメの生活を紹介した本です。

「はじめに」より抜粋
 ツバメは越冬地の東南アジアから、春になると繁殖のために日本に帰って来る。このスマートな小さな渡り
鳥にはいくつもの、あまり知られていない、“秘密”がある。海を越え、2ヵ月におよぶ長旅を終えたツバメたち
が、ペア(番)を作るまでの数々の試練。雌が浮気をしないように、ライバルの雄からパートナーを守る雄の気
苦労。それでも巣の中のヒナが、雄の子でないことも珍しくなく、三角関係の喧嘩が観察される。
 多くの野鳥と異なり、土と枯れ草だけを使う独特な巣作り、飛ぶ虫しか餌にしないツバメが編み出した、“つば
め返し”の技。一日に300回も餌を運ぶ、忙しい子育て、そして、感動的なヒナの巣立ち。さらに人の存在をうま
く利用する特異な繁殖形態――。ツバメの生活は、謎と波瀾に満ちている。
 本書は、長年続けてきたツバメ観察をまとめたもので、大都会のツバメ30年間の記録である。


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