金子凱彦の野鳥調査  第68回
                                 日野の自然を守る会 金子凱彦
  
  ●東豊田緑地保全地域の野鳥調査
  <調査地とコース>
   同保全地域は日野市のほぼ中央部に細長く広がる日野台地の段丘崖の一部で、1975年に東京
  都により緑地保全地域に指定されました。東豊田3丁目、多摩平2丁目、7丁目に隣接した黒川清
  流公園、多摩平第6公園、清水谷公園の約60,000uの雑木林です。黒川清流公園の崖下には数カ所
  から湧水が流れており、池が4カ所あります。東から「ひょうたん池」、「大池」、「わきみず池
  」、「あずまや池」の名が付いています。調査は黒川清流公園の東端の中央線脇にあるひょうたん
  池から西へ黒川防災広場(汚水処理場跡地)、第6公園、山王下公園、清水谷公園の池まで約1.7
  kmのコースを1時間で歩き、その間に出現した、野鳥の種類と数を記録します。
  

<備考>
  ・ひょうたん池周辺でツバメを2羽、さらに防災広場で2羽観察する。前夜まで雨であったが、
   久しぶりの日差しが林内を明るく照らしていた。木々の葉が緑鮮やかで美しい。ただ鳥はい
   たって少ない。
  ・ハシボソガラスは大池周辺に1番(つがい)、わきみず池周辺にも1番が周年縄張りをもっ
   ているようだ。6月になっても2羽一緒でいることが多く、繁殖はしなかったのか? 
   繁殖は不明である。ハシブトガラスはひょうたん池から中央線にかけて幼鳥2〜3羽をよく
   見かけた。
  
<新刊本のお知らせ>
  私事で恐縮ですが、都会のツバメ30年の調査結果をもとに、本を出版することになり案内させて頂きます。
  本の表紙写真 
  
  『銀座のツバメ』
  金子凱彦著 佐藤信敏写真
  定価 1500円/四六版 カラー口絵付き188頁
  発売・学芸みらい社       7月中旬発売 
  ◆書店や、アマゾン他のネット書店で注文・購入できます。	
  
  全国の都市でツバメは生き残れるかどうかの厳しい環境になっている。このツバメの将来を考えるとともに、
  身近だが、あまり知られていないツバメの生活を紹介した本です。
  
  「はじめに」より抜粋
   ツバメは越冬地の東南アジアから、春になると繁殖のために日本に帰って来る。このスマートな小さな渡り
  鳥にはいくつもの、あまり知られていない、“秘密”がある。海を越え、2ヵ月におよぶ長旅を終えたツバメたち
  が、ペア(番)を作るまでの数々の試練。雌が浮気をしないように、ライバルの雄からパートナーを守る雄の気
  苦労。それでも巣の中のヒナが、雄の子でないことも珍しくなく、三角関係の喧嘩が観察される。
   多くの野鳥と異なり、土と枯れ草だけを使う独特な巣作り、飛ぶ虫しか餌にしないツバメが編み出した、“つば
  め返し”の技。一日に300回も餌を運ぶ、忙しい子育て、そして、感動的なヒナの巣立ち。さらに人の存在をうま
  く利用する特異な繁殖形態――。ツバメの生活は、謎と波瀾に満ちている。
   本書は、長年続けてきたツバメ観察をまとめたもので、大都会のツバメ30年間の記録である。