金子凱彦の野鳥調査  69
                               日野の自然を守る会 金子凱彦

●東豊田緑地保全地域の野鳥調査
<調査地とコース>
 同保全地域は日野市のほぼ中央部に細長く広がる日野台地の段丘崖の一部で、1975年に東京
都により緑地保全地域に指定されました。東豊田3丁目、多摩平2丁目、7丁目に隣接した黒川清
流公園、多摩平第6公園、清水谷公園の約
60,000uの雑木林です。黒川清流公園の崖下には数カ所
から湧水が流れており、池が4カ所あります。東から「ひょうたん池」、「大池」、「わきみず池
」、「あずまや池」の名が付いています。
調査は黒川清流公園の東端の中央線脇にあるひょうたん
池から西へ黒川防災広場(汚水処理場跡地)、第6公園、山王下公園、清水谷公園の池まで約
1.7
kmのコースを1時間で歩き、その間に出現した、野鳥の種類と数を記録します。


黒川清流公園内の表示板に説明を増やし作成

調査日 2013年7月5日 くもり、無風

<調査結果>
(1)カルガモ4  (2)キジバト1  (3)ヒヨドリ5  (4)ウグイス1  (5)オナガ1  (6)ハシボソガラス2
(7)ハシブトガラス7  (8)ドバト10


<備考>
・ウグイスの声を聞く。6月にはほとんど聞かなかったので、久しぶりであった。黒川で繁殖
 をしているのであろうか。いまいち繁殖状況がわからない鳥である。
・多摩平側の第1緑地でハシボソ4羽が地面に降りて採食中であったが、若鳥たちのようでじ
 ゃれ合っていた。しぐさが可愛いい。
・今月から種数、個体数も少なくなっていく。これも調査だ、と思おう。


調査日 2013年7月15日 くもり、蒸し暑い

<調査結果>
(1)カルガモ7  (2)キジバト4  (3)アオゲラ1  (4)ヒヨドリ7  (5)シジュウカラ1 (6)スズメ1
(7)ムクドリ12  (8)オナガ2 (9)ハシボソガラス4 (10)ドバト5 (11)ガビチョウ7


<備考>
・アオゲラの声を聞くが、か細く弱々しい、今年巣立った幼鳥か?
・幼鳥らしきガビチョウ4羽が遊歩道に出て、長いミミズのような虫を盛んに落ち葉から引っ
 張り出していた。わりと警戒心が薄い。
・幼鳥らしきハシボソ2羽がじゃれ合っていた。

調査日 2013年7月24日 くもり、時々霧雨

<調査結果>
(1)アオサギ1 (2)カルガモ9  (4)キジバト4  (5)カワセミ2 (5)ヒヨドリ5  (6)シジュウカラ1
(7)スズメ3  (8)ムクドリ3  (9)ハシボソガラス3  (10)ハシブトガラス3  (11)ドバト9 
(12)ガビチョウ5

<備考>
・本日は9羽であったが、7月になり大池のカルガモが多くなった。17羽を数えたことも
 ある。今年生まれの若いカルガモが多いような気がするのだか…、不明。
・今年巣立ったのであろう若いカワセミを、ひょうたん池と大池で各1羽観察する。ひょう
 たん池のカワセミは小魚をゲットし、北側の林内に飛び去った。会員の藤田さんは、清水
 谷公園の池で幼鳥2羽を夕方観察している。幼鳥2羽が本調査地内の池に飛来しているよ
 うである。
・カラ類はシジュウカラの声を一回聞いただけであった。林内にいるはずなのだが、遭遇し
 なかった。寂しい限りである。


<新刊本のお知らせ>
私事で恐縮ですが、都会のツバメ30年の調査結果をもとに、本を出版することになり案内させて頂きます。
本の表紙写真 

『銀座のツバメ』
金子凱彦著 佐藤信敏写真
定価 1500円/四六版 カラー口絵付き188頁
発売・学芸みらい社        発売中
◆ 豊田駅前の啓文堂書店で購入出来ます。
◆ 他の書店や、アマゾンなどのネット書店で注文・購入できます

日本の都市はツバメが生き残れるかどうかの厳しい環境になっています。このツバメの将来を考えるとともに、
身近だが、あまり知られていないツバメの生活を紹介した本です。

「はじめに」より抜粋
 ツバメは越冬地の東南アジアから、春になると繁殖のために日本に帰って来る。このスマートな小さな渡り
鳥にはいくつもの、あまり知られていない、“秘密”がある。海を越え、2ヵ月におよぶ長旅を終えたツバメたち
が、ペア(番)を作るまでの数々の試練。雌が浮気をしないように、ライバルの雄からパートナーを守る雄の気
苦労。それでも巣の中のヒナが、雄の子でないことも珍しくなく、三角関係の喧嘩が観察される。
 多くの野鳥と異なり、土と枯れ草だけを使う独特な巣作り、飛ぶ虫しか餌にしないツバメが編み出した、“つば
め返し”の技。一日に300回も餌を運ぶ、忙しい子育て、そして、感動的なヒナの巣立ち。さらに人の存在をうま
く利用する特異な繁殖形態――。ツバメの生活は、謎と波瀾に満ちている。
 本書は、長年続けてきたツバメ観察をまとめたもので、大都会のツバメ30年間の記録である。


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