金子凱彦の野鳥調査  70
                               日野の自然を守る会 金子凱彦

●東豊田緑地保全地域の野鳥調査
<調査地とコース>
 同保全地域は日野市のほぼ中央部に細長く広がる日野台地の段丘崖の一部で、1975年に東京
都により緑地保全地域に指定されました。東豊田3丁目、多摩平2丁目、7丁目に隣接した黒川清
流公園、多摩平第6公園、清水谷公園の約
60,000uの雑木林です。黒川清流公園の崖下には数カ所
から湧水が流れており、池が4カ所あります。東から「ひょうたん池」、「大池」、「わきみず池
」、「あずまや池」の名が付いています。
調査は黒川清流公園の東端の中央線脇にあるひょうたん
池から西へ黒川防災広場(汚水処理場跡地)、第6公園、山王下公園、清水谷公園の池まで約
1.7
kmのコースを1時間で歩き、その間に出現した、野鳥の種類と数を記録します。


黒川清流公園内の表示板に説明を増やし作成

調査日 2013年8月6日 くもり、無風

<調査結果>
(1)カルガモ11 (2)キジバト4 (3)ヒヨドリ7 (4)シジュウカラ3  (5)スズメ7 (6)ムクドリ7
(7)オナガ5+  (8)ハシボソガラス2  (9)ハシブトガラス1  (10)ドバト7  (11)ガビチョウ2


<備考>
・鳥はいたって少ない。林内はセミの声のみ
・珍しく、スズメが多かった。防災広場脇に立つ電柱のトランスのまわりに群がっていた。
 幼鳥は混じっていないようだ。
・昨日の朝(8/5)ウグイスが防災広場で囀っていたが、本日は声を聞かない。


調査日 2013年8月15日 快晴、無風、暑い

<調査結果>
(1)カルガモ7  (2)キジバト3  (3)ヒヨドリ4  (4)エナガ30±  (5)シジュウカラ2 
(6)スズメ1  (7)ハシボソガラス2  (8)ハシブトガラス3  (9)ドバト6  (10)ガビチョウ7
<番外・フィールド外)ムクドリ200±


<備考>
・連日の真夏日、猛暑、いやはや暑い、暑い。秋分(8/8)は過ぎたが…。
・唐突に?エナガの群れ30羽ほどが湧水に現れる。水を飲み、水浴びをしている。
 幼鳥も混じる。8月に入りエナガは確認できていなかったが、突然の出現という感じである。
 シジュウカラ2羽が一緒に水浴びをしていたが、エナガの群れに圧倒された感がある。なお
 ガビチョウ2〜3羽も水浴びをしていた。観察している私を警戒してか、ガビチョウは湧水
 脇のブッシュから現れてはすぐ隠れてしまった。
・調査地外であるが、多摩平第1緑地に隣接しる多摩平側の空き地(更地)にムクドリの群れが、
 採食しては飛び立ち更地内を移動していた。これからの季節、ムクドリの大群を観察するよう
 になる。

調査日 2013年8月22日 くもり、無風、蒸し暑い

<調査結果>
(1)カルガモ7  (2)キジバト4   (3)アオゲラ1  (4)ヒヨドリ8  (5)シジュウカラ2
(6)オナガ8± (7)ハシボソガラス6  (8)ドバト12  (9)ガビチョウ12

<備考>
・アオゲラの声を聞くが弱々しい。今年巣だった幼鳥か(不明)
・8月になりシジュウカラを観察することがほとんどなくなった。山王下公園で2羽に出会うが、
 よそよそしく?一言も声を出さず、あっという間に姿を消した。幼鳥ではなかった。8月はカ
 ラ類の姿も少なくなる。まことに暑い日が続く。


調査日 2013年8月29日 くもりのち晴れ、蒸し暑い

<調査結果>
(1)カルガモ6  (2)キジバト2  (3)ヒヨドリ4  (4)シジュウカラ1  (5)ハシボソガラス2  
(6)ハシブト11  (7)ドバト5  (8)ガビチョウ12

<備考>
・朝夕、秋風が吹き始めるが、調査時は蒸し暑く参る。さらに鳥影も少ない。
・ネコのまわりをハシブトガラス7羽が歩き回る。襲う様子もなく、にらみあうでもなく、若い
 カラスのようであった。2羽でじゃれ合うこともある。ネコは2、3歩下がるが逃げない。近く
 にネコ用の餌が置いてあるか探したがなかった。私が近づくとカラスは飛び立つが、ネコはその
 場に座っている。どういう関係であったか不明である。本日はハシブトがやけに騒いでいた。

≪番外編≫日野市のツバメ
今年は豊田駅周辺でツバメの営巣が昨年より多かった。子育てに失敗した所もあるが、北口側と
南口側で合計9カ所になる。この内、今年初めての所が4カ所もあった。商店街を飛ぶツバメの
姿を見るのは嬉しいことだ。商店の軒下にツバメが巣を作ると、店は繁盛するといわれている。
ツバメは商売繁盛のシンボルなのだ。
 今年初めて子育てをした1つに、南口商店街の「豊田じぞう」シルバーサロンがある。ここは
本年春にOPENした、高齢者が集う場所で、この軒下にツバメが巣を作った。サロンの従業員
や利用者に温かく見守られ、2回の子育てで、7羽の子ツバメがここを巣立つ。写真のように心
暖まる見守りが伝わってくる所である。
 一つ提案!来年の春に、ここのツバメを小学生たちと一緒に観察したらどうだろうか。サロン
の利用者たちとの交流の場にし、親御さんや先生も加わり、ツバメを介してシルバーサロンは3
世代交流の場所になる。ツバメはそれを仲介してくれる、やさしい鳥なのだ。

▲南口商店街の豊田じぞうシルバーサロン 左の方に茶色い傘が逆に吊るしてある。


▲傘が糞受けになっている。傘の上部にツバメのヒナの姿が見える


<新刊本のお知らせ>
私事のお知らせで恐縮ですが、都会のツバメ30年の調査結果をもとに、本を出版いたしました。すでに会員の
多くの方に購入していただき、感謝しております。
本の表紙写真
 

『銀座のツバメ』
金子凱彦著 佐藤信敏写真
定価 1500円/四六版 カラー口絵付き188頁
発売・学芸みらい社        発売中
◆ 豊田駅前の啓文堂書店に置いてあるので、すぐ購入できます。
◆ 他書店や、アマゾンなどネット書店で注文・購入できます。

日本の都市はツバメが生き残れるかどうかの厳しい環境になっています。このツバメの将来を考えるとともに、
身近だが、あまり知られていないツバメの生活を紹介した本です。

「はじめに」より抜粋
 ツバメは越冬地の東南アジアから、春になると繁殖のために日本に帰って来る。このスマートな小さな渡り
鳥にはいくつもの、あまり知られていない、“秘密”がある。海を越え、2ヵ月におよぶ長旅を終えたツバメたち
が、ペア(番)を作るまでの数々の試練。雌が浮気をしないように、ライバルの雄からパートナーを守る雄の気
苦労。それでも巣の中のヒナが、雄の子でないことも珍しくなく、三角関係の喧嘩が観察される。
 多くの野鳥と異なり、土と枯れ草だけを使う独特な巣作り、飛ぶ虫しか餌にしないツバメが編み出した、“つば
め返し”の技。一日に300回も餌を運ぶ、忙しい子育て、そして、感動的なヒナの巣立ち。さらに人の存在をうま
く利用する特異な繁殖形態――。ツバメの生活は、謎と波瀾に満ちている。
 本書は、長年続けてきたツバメ観察をまとめたもので、大都会のツバメ30年間の記録である。


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