金子凱彦の野鳥調査  72
                               日野の自然を守る会 金子凱彦

●東豊田緑地保全地域の野鳥調査
<調査地とコース>
 同保全地域は日野市のほぼ中央部に細長く広がる日野台地の段丘崖の一部で、1975年に東京
都により緑地保全地域に指定されました。東豊田3丁目、多摩平2丁目、7丁目に隣接した黒川清
流公園、多摩平第6公園、清水谷公園の約
60,000uの雑木林です。黒川清流公園の崖下には数カ所
から湧水が流れており、池が4カ所あります。東から「ひょうたん池」、「大池」、「わきみず池
」、「あずまや池」の名が付いています。
調査は黒川清流公園の東端の中央線脇にあるひょうたん
池から西へ黒川防災広場(汚水処理場跡地)、第6公園、山王下公園、清水谷公園の池まで約
1.7
kmのコースを1時間で歩き、その間に出現した、野鳥の種類と数を記録します。


黒川清流公園内の表示板に説明を増やし作成

調査日 2013年10月1日 くもり、無風

<調査結果>
(1)カルガモ26  (2)キジバト3  (3)アオゲラ1 (4)ヒヨドリ2  (5)シジュウカラ2  (6)ハシボソガラス5
(7)ハシブトガラス3  (8)ドバト2  (9)ガビチョウ2

<備考>
・10月になり、何か鳥が出るかと期待したが、かえって鳥影は少なかった。ちなみに昨年の10月
 1日の調査では今年と同じく出現種は9種であったが、ヒヨドリの秋の渡りが始まったようで、
 24羽+を数えている。


調査日 2013年10月8日 快晴、無風

<調査結果>
(1)カルガモ20  (2)キジバト1  (3)カワセミ1  (4)コゲラ1  (5)ヒヨドリ39±  (6)シジュウカラ11
(7)ハシボソガラス6  (8)ハシブトガラス4  (9)ドバト30±  (10)ガビチョウ1

<備考>
・ひょうたん池でカワセミを観察する。朝日を浴びて色合いがよく見えた。若いカワセミである。
・ヒヨドリの渡りが始まったようで、10羽ほどの群が鳴きながら林内を東から西へと移動していた。
 これを3回観察する。今の季節、緑地保全地域の稜線上を西から東に飛び、清水谷公園の西端から豊
 田駅北口広場に出て、中央線を越え、一気に南方向(平山)に飛ぶヒヨドリの群を観察することがで
 きる。
・シジュウカラの大きな群れに出会うこともなく、混群も観察できなかった。

調査日 2013年10月14日 快晴、微風

<調査結果>
(1)カルガモ23  (2)キジバト3   (3)カワセミ1  (4)コゲラ1  (5)キセキレイ1  (6)ヒヨドリ41±
(7)エナガ5+  (8)シジュウカラ37±  (9)メジロ5+  (10)スズメ4  (11)オナガ16+  
(12)ハシボソガラス9  (13)ハシブトガラス1  (14)ドバト21  (15)ガビチョウ1

<備考>
・水路脇の石垣に止まるカワセミを発見する。前回同様に若い個体のようだ。
・コゲラ1、エナガ5+、シジュウカラ20±、メジロ5+の混群に出会うが、葉の生い茂る樹冠部の移動で、正確な
 数は不明である。エナガやメジロはもっと多いのではないか。
・前回同様にヒヨドリの秋の渡りを観察する。9羽が稜線を西に飛ぶ。わきみず池奥の林内を20羽ほどのヒヨドリが
 鳴き騒いでいた。飛び立つ前の集合であろう。

<参考>
・オナガの群が葉の茂る林内をゆっくり移動していた。数は大まかである。
・本日はハシボソが騒がしく鳴き騒いでいた。大池には土着?のハシボソ3羽が一緒に行動してい
 ることが多い。第2コーポラス屋上にはハシボソ、ハシブトが飛来するが、ハシブトがハシボソ
 を追い払うことが多々ある。


調査日 2013年10月21日 快晴、微風

<調査結果>
(1)カルガモ18  (2)キジバト5  (3)カワセミ1  (4)アオゲラ1  (5)コゲラ1  (6)ヒヨドリ51±  
(7)ジョウビタキ1♀  (8)シジュウカラ2  (9)スズメ1  (10)オナガ15±  (11)ハシボソガラス4  
(12)ハシブトガラス4  (13)ドバト28  (14)ガビチョウ5

<備考>
・アオゲラの声と共に大きなドラミングが聞こえたので、付近を探したが姿は確認できなかった。
・柿の実をせっせと食するコゲラを1羽観察する。
・快晴の青空をバックに、30羽ほどのヒヨドリの群が、調査地の稜線を西から東(豊田駅方向)
 に飛ぶ。秋の渡りである。
・わきみず池脇の遊歩道に降りて、採食しているジョウビタキの雌を確認する。黒川の初認である。
 昨年は11月になってからの初認であった。
・カラ類の群れに出会わず、シジュウカラは2羽だけであった。


調査日 2013年10月 28日 快晴、無風

<調査結果>
(1)カルガモ29  (2)キジバト4  (3)コゲラ1  (4)キセキレイ1   (5)ヒヨドリ53±  (6)モズ2(1♂)
(7)ヤマガラ1  (8)シジュウカラ11+  (9)ハシボソガラス10  (10)ドバト15

<備考>
・本調査地では今秋初めてモズを観察する。大池の東寄りの林から声が聞こえたが、姿は確認できなかった。
 もう1羽は防災広場のヒマラヤスギの天辺で鳴いている♂のモズであった。
・シジュウカラ5羽ほどの群れにヤマガラを1羽発見する。両足で木の実(エゴの実?)を押さえ盛んに嘴で突っつ
 いていた。シジュウカラが移動すると実を嘴でくわえて、追うように飛び去った。ヤマガラは久しぶりに見る。


<新刊本のお知らせ>
私事のお知らせで恐縮ですが、都会のツバメ30年の調査結果をもとに、本を出版いたしました。すでに会員の
多くの方に購入していただき、感謝しております。今月も改めて紹介させていただきます。
本の表紙写真
 

『銀座のツバメ』
金子凱彦著 佐藤信敏写真
定価 1500円/四六版 カラー口絵付き188頁
発売・学芸みらい社        発売中
◆ 豊田駅前の啓文堂書店に置いてあるので、すぐ購入できます。
◆ 他書店や、アマゾンなどネット書店で注文・購入できます。

日本の都市はツバメが生き残れるかどうかの厳しい環境になっています。
このツバメの将来を考えるとともに、身近だが、あまり知られていないツバメの生活を紹介した本です。
ツバメは人のやさしい心がなければ、生きていけない野鳥なのです。

▼朝日新聞に『銀座のツバメ』が紹介されました(2013年9月18日)


<お知らせページへ戻る>