金子凱彦の野鳥調査 第73回
日野の自然を守る会 金子凱彦
●東豊田緑地保全地域の野鳥調査
<調査地とコース>
同保全地域は日野市のほぼ中央部に細長く広がる日野台地の段丘崖の一部で、1975年に東京
都により緑地保全地域に指定されました。東豊田3丁目、多摩平2丁目、7丁目に隣接した黒川清
流公園、多摩平第6公園、清水谷公園の約60,000uの雑木林です。黒川清流公園の崖下には数カ所
から湧水が流れており、池が4カ所あります。東から「ひょうたん池」、「大池」、「わきみず池
」、「あずまや池」の名が付いています。調査は黒川清流公園の東端の中央線脇にあるひょうたん
池から西へ黒川防災広場(汚水処理場跡地)、第6公園、山王下公園、清水谷公園の池まで約1.7
kmのコースを1時間で歩き、その間に出現した、野鳥の種類と数を記録します。
●調査日 2013年11月23日 快晴、無風
<調査結果>
(1)マガモ7(3♂4♀) (2)カルガモ50 (3)キジバト6 (4)コゲラ1 (5)キセキレイ2
(6)ヒヨドリ26 (7)モズ1 (8)ウグイス1 (9)シジュウカラ31± (10)メジロ5
(11)カシラダカ30± (12)アオジ1 (13)ハシボソガラス6 (14)ハシブトガラス3 (15)ドバト32±
<備考>
○カルガモは大池で44羽、清水谷公園の池に6羽であった。
○キセキレイは大池周辺の遊歩道で1羽、山王下公園で1羽であった。別個体であろう。まだハクセキレイの姿を
見ないが…、もっと寒くなってからの飛来か?
○東端のひょうたん池と西端のあづまや池の中間の林で鳴くモズの声を初めて聞く。雌雄は不明。
○大池の縁で10羽程のシジュウカラの群れを観察するが、大きな群れや混群には出会わなかった。
○前回と同様にわきみず池でカシラダカを観察する。30羽ほどを数える。
○あずまや池に続く桜並木でアオジを観察する。すでに黒川に来ていると聞いていたので、やっとという感があった。
●調査日 2013年11月29日 快晴、微風
<調査結果>
(1)マガモ6(4♂2♀) (2)カルガモ53 (3)キジバト4 (4)コゲラ2 (5)ヒヨドリ22±
(6)ウグイス1 (7)エナガ2 (8)ヤマガラ2 (9)シジュウカラ5+ (10)アオジ2 (11)ムクドリ3
(12)ハシボソガラス12 (13)ハシブトガラス5 (14)ドバト19 (15)ガビチョウ7
<備考>
○まさにコゲラはネズミですネ。垂直な細い木をスルスルと登って行った。2羽同時に観察した
コゲラは同じような行動をしていた。そういえばアオゲラが頭を振りながら上へ上へとスルスル
登って行くのを見たこともあるが、一瞬大きなネズミか?と思ったことなどを思い出した。
○ケヤキの高木の樹幹部を移動するエナガを2羽観察するが、もっといたではないか…。シジュ
ウカラは5羽確認する。今の季節、まだまだ地表近くまで降りての行動は少ない。
○ヤマガラは1羽で行動しており、付近に鳥影がなかった。黒川では気になる鳥なのだが…、行動
は不明である。
○山王下公園の水路わきで採食しているアオジを観察する。毎年冬になると公園に飛来する冬鳥で
ある。
<本の紹介>
私事のお知らせで恐縮ですが、都会のツバメ30年の調査結果をもとに、本を出版いたしました。すでに会員の
多くの方に購入していただき、感謝しております。今月も改めて紹介させていただきます。
本の表紙写真
『銀座のツバメ』
金子凱彦著 佐藤信敏写真
定価 1500円/四六版 カラー口絵付き188頁
発売・学芸みらい社 発売中
◆ 豊田駅前の啓文堂書店に置いてあるので、すぐ購入できます。
◆ 他書店や、アマゾンなどネット書店で注文・購入できます。
日本の都市はツバメが生き残れるかどうかの厳しい環境になっています。
このツバメの将来を考えるとともに、身近だが、あまり知られていないツバメの生活を紹介した本です。
ツバメは人のやさしい心がなければ、生きていけない野鳥なのです。
▼朝日新聞に『銀座のツバメ』が紹介されました(2013年9月18日)