金子凱彦の野鳥調査 第74回
日野の自然を守る会 金子凱彦
●東豊田緑地保全地域の野鳥調査
<調査地とコース>
同保全地域は日野市のほぼ中央部に細長く広がる日野台地の段丘崖の一部で、1975年に東京
都により緑地保全地域に指定されました。東豊田3丁目、多摩平2丁目、7丁目に隣接した黒川清
流公園、多摩平第6公園、清水谷公園の約60,000㎡の雑木林です。黒川清流公園の崖下には数カ所
から湧水が流れており、池が4カ所あります。東から「ひょうたん池」、「大池」、「わきみず池
」、「あずまや池」の名が付いています。調査は黒川清流公園の東端の中央線脇にあるひょうたん
池から西へ黒川防災広場(汚水処理場跡地)、第6公園、山王下公園、清水谷公園の池まで約1.7
kmのコースを1時間で歩き、その間に出現した、野鳥の種類と数を記録します。
●調査日 2013年12月12日 快晴、無風
<調査結果>
(1)マガモ7(3♂4♀)(2)カルガモ35 (3)キジバト26 (4)コゲラ1 (5)キセキレイ1
(6)ハクセキレイ1 (7)ヒヨドリ21 (8)モズ1 (9)ツグミ1 (10)ウグイス1
(11)エナガ10± (12)シジュウカラ8 (13)メジロ5 (14)アオジ3 (15)オナガ17
(16)ハシボソガラス8 (17)ハシブトガラス4 (18)ドバト32 (19)ガビチョウ1
<備考>
○カルガモは大池11羽(前回の12/5調査では54羽であった)、わきみず池15羽
(前回の調査では4羽)、あずまや池1羽(前回2羽)であった。わきみず池ではカル
ガモがイモを洗うようにごった返していた。
○ひょうたん池の裏(北側)斜面の大ケヤキの天辺にモズが現れる。遠くてよく分からな
いが、雌のようである。毎年冬になるとひょうたん池周辺に雌が姿を現す。
●大池のカモに異変? 12月9日の朝、大池に寄るとカルガモは5羽のみであった。その
内の2羽は私が池に近 づくと警戒して飛び立ってしまった。いつものようにマガモ7羽
(5♂2♀)はいたが、 残ったカルガモと同様に水辺の脇に隠れるように固まっている。
広い水面に出てこない。 何かが起きたようである。以後大池のカモは激減してしまった。
●特記事項・大池のカモ 12月11日の朝7:45に大池でオナガガモ1羽(♂)の姿を
見るが(落ち着きがなか ったが…)、8:15には姿を消したようである。また11月
22日には大池でコガモ2羽(♀)を岩井満夫さんが観察している。
●調査日 2013年12月22日 快晴、無風
<調査結果>
(1)マガモ4(3♂1♀)(2)カルガモ20 (3)キジバト5 (4)カワセミ1 (5)キセキレイ1
(6)ハクセキレイ1 (7)ヒヨドリ19 (8)シロハラ1 (9)ウグイス2 (10)ヤマガラ2
(11)シジュウカラ9 (12)アオジ1 (13)スズメ2 (14)ムクドリ16
(15)ハシボソガラス11 (16)ハシブトガラス10 (17)ドバト68 (18)ガビチョウ2
<備考>
○大池にはマガモ1羽(♂)のみである。なお他にマガモは水路で雄2羽、雌1羽が採食
していた。12/9以来大池にカモ類がゼロの時もある。
○カルガモはわきみず池および池の前の水路に18羽。あずまや池に2羽であった。
○久しぶりにシロハラに会う。地面から道路脇の杭に飛び移ったシロハラは、朝日を背中
に浴びて、物思いにふけるようにじっと止まっていた。
○スズメ2羽が大池前の民家の植え込みで鳴いていた。近づくと飛び立ち屋根に移る。
付近にスズメはいるはずなのだが、ほとんど調査では観察されたことがない。
○ドバトは大池の東側で26羽、多摩平第6公園で35羽数える。
●その他の記録
アオバト(1羽)を岩井満夫さんが、12月21日にわきみず池で撮影する。黒川公園で
は初記録でないか。
▲アオバト 撮影:岩井満夫さん
●調査日 2013年12月26日 くもり時々晴れ 無風
<調査結果>
(1)マガモ3(2♂1♀)(2)カルガモ10 (3)キジバト9 (4)アオゲラ1 (5)コゲラ1
(6)キセキレイ1 (7)ハクセキレイ1 (8)ヒヨドリ25 (9)モズ2♂♀ (10)シロハラ1
(11)ツグミ1 (12)ウグイス2 (13)エナガ10+ (14)ヤマガラ12
(15)シジュウカラ11+ (16)メジロ5 (17)カワラヒワ10± (18)ムクドリ7
(19)オナガ18 (20)ハシボソガラス12 (21)ハシブトガラス6 (22)ドバト32
(23)ガビチョウ7
<備考>
○大池にはマガモ1羽(♂)のみである。他にマガモはわきみず池に雌雄各1羽であった。
○カルガモはわきみず池に10羽、あずまや池に2羽であった。
○モズは大池の西側の湧水に雌、多摩平第6公園の南斜面で雄を観察する。雄は防災広場
の個体であろう。
○エナガ、シジュウカラ各10羽ほど、メジロ5羽、ヤマガラ、コゲラ各1羽の混群に出
会う。散らばりながらゆっくりと移動していた。
○ケヤキの高木の樹幹部に飛来したカワラヒワを観察する。遠く確認が難しかったが久し
ぶりのカワラヒワであった。
<本の紹介>
私事のお知らせで恐縮ですが、都会のツバメ30年の調査結果をもとに、本を出版いたしました。すでに
会員の多くの方に購入していただき、感謝しております。今月も改めて紹介させていただきます。
本の表紙写真
『銀座のツバメ』
金子凱彦著 佐藤信敏写真
定価 1500円/四六版 カラー口絵付き188頁
発売・学芸みらい社 発売中
◆ 豊田駅前の啓文堂書店に置いてあるので、すぐ購入できます。
◆ 他書店や、アマゾンなどネット書店で注文・購入できます。
日本の都市はツバメが生き残れるかどうかの厳しい環境になっています。
このツバメの将来を考えるとともに、身近だが、あまり知られていないツバメの生活を紹介した本です。
ツバメは人のやさしい心がなければ、生きていけない野鳥なのです。
▼朝日新聞に『銀座のツバメ』が紹介されました(2013年9月18日)