金子凱彦の野鳥調査  75
                               日野の自然を守る会 金子凱彦

●東豊田緑地保全地域の野鳥調査
<調査地とコース>
 同保全地域は日野市のほぼ中央部に細長く広がる日野台地の段丘崖の一部で、1975年に東京
都により緑地保全地域に指定されました。東豊田3丁目、多摩平2丁目、7丁目に隣接した黒川清
流公園、多摩平第6公園、清水谷公園の約
60,000㎡の雑木林です。黒川清流公園の崖下には数カ所
から湧水が流れており、池が4カ所あります。東から「ひょうたん池」、「大池」、「わきみず池
」、「あずまや池」の名が付いています。
調査は黒川清流公園の東端の中央線脇にあるひょうたん
池から西へ黒川防災広場(汚水処理場跡地)、第6公園、山王下公園、清水谷公園の池まで約
1.7
kmのコースを1時間で歩き、その間に出現した、野鳥の種類と数を記録します。


黒川清流公園内の表示板に説明を増やし作成

調査日 2014年1月3日 晴れのちくもり、無風

<調査結果>
(1)マガモ7(4♂3♀)  (2)カルガモ22  (3)キジバト8  (4)カワセミ1  (5)アオゲラ1
(6)ヒヨドリ8  (7)モズ1♀  (8)アカハラ1  (9)シロハラ1  (10)ツグミ1  (11)ウグイス3
(12)エナガ20±  (13)シジュウカラ19±  (14)メジロ5  (15)アオジ1  (16)スズメ5
(17)ムクドリ2  (18)ハシボソガラス7  (19)ハシブトガラス12  (20)ドバト32
(21)ガビチョウ8


<備考>
○大池のカモは依然と少なく、狭いわきみず池に集中していた。
○わきみず池でカワセミの雌に出迎えられる。秋から黒川に飛来している個体であろう。
○アオゲラは清水谷公園で観察する。南側の住宅地から雑木林に飛来した。車道に立ってい
 ると目の前を横切ったので一瞬驚いた。
○大池の東側の林でモズの雌を観察する。餌の昆虫類がいるのであろうか、刈り込まれた林
 床にたびたび降りていた。
○清水谷公園の池の脇に立つ柿の木にヒヨドリ、ムクドリが飛来していたが、その中にアカ
 ハラを発見する。遠方ではあったが、朝日を受けて胸や脇腹の赤褐色が鮮明に見えた。
 日本で繁殖し越冬するアカハラと、日本より北で繁殖し日本で越冬するアカハラ(オオア
 カハラ)がいるが、どちらのアカハラかは不明である。調査地に於いて冬のアカハラはい
 たって珍しくなった。
○シロハラはいつものわきみず池の東にいた。今冬もここで越冬するであろう
○エナガ20羽ほど、シジュウカラ10羽ほどの群が林の高所を早いスピードで通り過ぎる。
 他の混群のメンバーは確認できなかった。


調査日 2014年12月5日 晴れ、無風

<調査結果>
(1)マガモ7(4♂3♂) (2)カルガモ52 (3)キジバト4 (4)カワセミ1 (5)アオゲラ1
(6)キセキレイ1 (7)ヒヨドリ28 (8)モズ1 (9)ジョウビタキ1 (10)ツグミ2
(11)シジュウカラ9 (12)メジロ10± (13)ハシボソガラス9 (14)ハシブトガラス5
(15)ドバト36 

<備考>
○久しぶりにカワセミの姿を見る。わきみず池前の水路から池に突き出た枝に止まる。朝日
 を浴びて嘴の下側の赤(オレンジ色)が鮮明に見えた。雌である。同じ雌があずまや池に
 も姿を現し、防災広場に姿を消した。調査地の西端にある、清水谷公園の池まで行くので
 あろうか。
○大池の西側の湧水上空にモズが飛来するが、ハシボソが騒ぎ、多摩平側にUターンしてし
 まった。湧水では初めての観察である。雌のようであったが…。
○山王下公園でジョウビタキを確認するが、雌雄は不明。
○今冬初めてツグミを観察する。ジョウビタキ、シロハラ、シメ、アオジ、カシラダカそ
 してツグミ(例年一番遅い)と黒川の冬鳥が姿を現した。いよいよ冬の到来である。

調査日 2014年1月9日 くもり、無風ただし寒くなる

<調査結果>
(1)マガモ8(5♂3♂)  (2)カルガモ12  (3)キジバト6  (4)カワセミ1♀  (5)ヒヨドリ7
(6)モズ1♂  (7)シロハラ1  (8)ツグミ1  (9)ウグイス2  (10)エナガ20±
(11シジュウカラ7  (12)アオジ2  (13)イカル2  (14)ムクドリ22  (15)オナガ2
(16)ハシボソガラス6  (17)ハシブトガラス7  (18)ドバト75 

<備考>
○コンクリート塀越しに防災広場を除くと、目の前の枯れ草に止まっていたモズの雄と
 眼が合った。モズも一瞬塀から顔を出した私に驚いたようであったが、しばらく動か
 ずこちらの動静をうかがっていた。充分に観察することができた。
○前回同様にわきみず池でカワセミの雌に出迎えられる。あまりヒトを恐れないようで、
 可愛らしい雌である。
○久しぶりにイカルを見る。本日はどんよりとした曇り空なので、林内は薄暗かったが、
 イカルの大きくて丈夫そうな黄色い嘴がよく見えた。
○多摩平第一緑地の遊歩道など地面に降りて採食していたドバトが50羽いた。


調査日 2014年1月10日 快晴、微風

<調査結果>
(1)マガモ5(4♂1♀)  (2)カルガモ16  (3)キジバト12  (4)アオゲラ1  (5)コゲラ1
(6)キセキレイ1  (7)ヒヨドリヒヨドリ9  (8)モズ1♀  (9)シロハラ1  (10)ツグミ1
(11)ウグイス1   (12)エナガ10+  (13)ヤマガラ1  (14)シジュウカラ20+8
(15)メジロ3  (16)アオジ3  (17)シメ1  (18)ムクドリ20  (19)ハシボソガラス9
(20)ハシブトガラス6  (21)ドバト81  (22)ガビチョウ7

<備考>
○今回も大池の萎れ小さくなった柿の実をハシボソ3~4羽がせっせと食べていたが、ハシ
 ブト1羽が飛来して、ハシボソを追い出した。やはりブトの方が強そうだ。その合間をぬ
 うようにヤマガラ、シジュウカラ、メジロ、それに多数のムクドリが飛来している。そろ
 そろここの柿も食べ尽くされるであろう。
○わきみす池西側の湧水でモズの雌を観察する。東端のひょうたん池から大池にかけて雌が
 テリトリーをもっているが、この雌は同じ個体か? なお西端のあずまや池から防災広場
 にかけては雄がいる。例年この区間では3羽のモズが冬を越している。そして雄がテリト
 リーを持っていた防災広場では、昨年の春には繁殖した。
○ツグミは少なく、本日も声を1回聞いただけである。
○ひょうたん池でシメを観察する。例年冬になるとこの池の周辺に姿を現す。色合いに清楚
 感があり、私が好きな鳥である。あのたくましい丈夫な嘴も良い。
○大池から流れ出る水路でハシボソを同時に8羽確認する。大池付近ではハシボソが多く、
 西側の第2コーポラス付近ではハシブトが多くなる。


調査日 2014年1月27日 快晴、無風

<調査結果>
(1)マガモ4(3♂1♀)  (2)カルガモ14  (3)キジバト9  (4)アオゲラ1  (5)ハクセキレイ1
(6)ヒヨドリ13  (7)モズ1♀  (8)シロハラ1  (9)ツグミ3  (10)ウグイス3  (11)エナガ1
(12)シジュウカラ6  (13)メジロ1  (14)カシラダカ10  (15)アオジ5  (16)カワラヒワ2
(17)ムクドリ11  (18)オナガ10+  (19)ハシボソガラス10  (20)ハシブトガラス9
(21)ドバト16  (22)ガビチョウ2    

<備考>
○防災広場内の見通しのよい開けた地面で、カシラダカが餌の種子をせっせとついばんでい
 た。そこにアオジが1羽飛来し、カシラダカと一緒に採食する。他の所でもアオジをたび
 たび見た。
○ツグミは3羽と今冬最も多かった。

<その他の記録>
○あずまや池で岩井満夫さんが、昨年の秋から黒川公園の池に飛来しているカワセミを撮影
 したので紹介します。


▲カワセミの雌 2014年2月1日撮影


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