金子凱彦の野鳥調査  第79回
                                 日野の自然を守る会 金子凱彦
  
  ●東豊田緑地保全地域の野鳥調査
  <調査地とコース>
   同保全地域は日野市のほぼ中央部に細長く広がる日野台地の段丘崖の一部で、1975年に東京
  都により緑地保全地域に指定されました。東豊田3丁目、多摩平2丁目、7丁目に隣接した黒川清
  流公園、多摩平第6公園、清水谷公園の約60,000㎡の雑木林です。黒川清流公園の崖下には数カ所
  から湧水が流れており、池が4カ所あります。東から「ひょうたん池」、「大池」、「わきみず池
  」、「あずまや池」の名が付いています。調査は黒川清流公園の東端の中央線脇にあるひょうたん
  池から西へ黒川防災広場(汚水処理場跡地)、第6公園、山王下公園、清水谷公園の池まで約1.7
  kmのコースを1時間で歩き、その間に出現した、野鳥の種類と数を記録します。
  

▲
黒川清流公園内の表示板に説明を増やし作成
  
  ●調査日 2014年5月2日(金)晴れ、無風
  
  <調査結果>
  (1)アオサギ1 (OH) ※上空通過  (2)カルガモ5  (3)ツミ1  (4)キジバト10 (5)カワセミ1
  (6)ヒヨドリ11  (7)ウグイス1  (8)キビタキ2  (9)センダイムシクイ1  (10)シジュウカラ12
  (11)ムクドリ1  (12)オナガ3+  (13)ハシボソガラス7  (14)ハシブトガラス4  (15)ドバト5
  (16)ガビチョウ2    
  
  <備考>
  ○アオサギが黒川公園上空を多摩平方向に通過した。最近黒川の池や水路に降りるアオサギ
   もいる。
  ○連日キビタキの囀りを聞く。どこか避暑地にいるような気分にさせてくれる。新緑の雑木
   林にキビタキはよく似合う。
○姿を確認できなかったが、センダイムシクイの声もよく聞くようになった。
  
●調査日 2014年5月4日 晴れ、無風
  
  <調査結果>
  (1)カルガモ1 (2ツミ1  (3)キジバト3  (4)カワセミ2  (5)ヒヨドリ6  (6)ウグイス1
  (7)キビタキ1  (8)センダイムシクイ1  (9)シジュウカラ6   (10)スズメ1  (11)ムクドリ8
  (12)ハシボソガラス5   (13)ハシブトガラス1  (14)ドバト30±  (15)ガビチョウ3 
  
  <備考>
  ○姿は確認できなかったが、ツミの声が林内から聞こえてきた。
○今日も新緑の大ケヤキでキビタキが声高らかに囀っている。今春はキビタキが多い。
○センダイムシクイの声もわきみず池の奥から聞こえた。
  
  
  
  ●調査日 2014年5月11日 くもり 無風、寒い
  
  <調査結果>
  (1)カルガモ5  (2)キジバト4  (3)カワセミ1  (4)コゲラ1  (5)ハクセキレイ1 (6)ヒヨドリ7
  (7)ウグイス1  (8)キビタキ1  (9)シジュウカラ9  (10)スズメ15±  (11)ムクドリ32
  (12)オナガ2  (13)ハシボソガラス5  (14)ハシブトガラス1 (15)ドバト23  (16)ガビチョウ3  
  
  <備考>
  ○第3コーポ前の車道で、ハクセキレイが忙しげにせっせと餌を探していた。付近の建物で
   営巣しているのであろうか?ただ餌運び等は観察していない。
  ○ウグイスは東端のひょうたん池から西端の防災広場までをテリトリーとしているようであ
   る。一夫多妻のウグイスである、所々に雌がいるのか? 黒川におけるウグイスの繁殖は
   全く分からない。
○本日もキビタキ!! 美声を堪能した。
  ○スズメ15羽ほどが桜やケヤキの高木の樹冠部に群がっている。下からは見えにくく数も
   確認できず、スズメたちが何をしているのかもよく分からない。ただこれだけ多いスズメ
   を見たのは珍しい。
○ハシブトガラスの記録は第2コーポ周辺に繁殖テリトリーを持っている個体である。
  
  ●調査日 2014年5月25日 晴れ、無風
  
  <調査結果>
  (1)カルガモ2  (2)ツミ1 (3)キジバト4  (4)カワセミ1  (5)アオゲラ1  (6)ツバメ1
  (7)ハクセキレイ1  (8)ヒヨドリ7  (9)ウグイス1  (10)シジュウカラ  (11)スズメ4 
  (12)ムクドリ7  (13)オナガ1 (14)ハシボソガラス5  (15)ハシブトガラス3 (16)ドバト16
  (17)ガビチョウ3   
  
  <備考>
○ツミの声を聞く。
  ○アオゲラも声を聞くが、繁殖は不明である。アオゲラの幼鳥を見たという人がいるが…。
○清水谷公園で今春初めてツバメを観察する。最近、本調査地ではいたって少なくなった。
<特記事項>
  4月下旬から囀っていたキビタキは5月20日ごろを最後に聞かなくなった。移動してし
  まったのであろう。近年平地での繁殖が取りざたされており、黒川で繁殖か?と期待した
  のに残念である。
  
  ▲キビタキの雄(黒川清流公園) 5月2日、撮影:岩井満夫さん
  
  
  <本のご案内>
  ツバメの季節がやって来ました。日野市内の中央線や京王線の駅周辺では、今年も多くのツバメが
  子育てをしています。単行本の『銀座のツバメ』は銀座の話だけでなく、ツバメのあまり知られていな
  い生態、なぜ人のそばで巣作りするのか? などツバメ全般の解説書でもあります。また「ツバメ・シ
  ール」など日野の話も載っています。この本1冊でツバメ博士になれます。。
  

  『銀座のツバメ』
  
金子凱彦著 佐藤信敏写真
定価 1500円+消費税/四六版 カラー口絵付き 188頁
発売・学芸みらい社       
◆書店や、アマゾン他のネット書店で注文・購入できます
「はじめに」より抜粋
   ツバメは越冬地の東南アジアから、春になると繁殖のために日本に帰って来る。このスマートな
  小さな渡り鳥にはいくつもの、あまり知られていない、“秘密”がある。
   海を越え、2ヵ月におよぶ長旅を終えたツバメたちが、ペア(番)を作るまでの数々の試練。雌が
  浮気をしないように、ライバルの雄からパートナーを守る雄の気苦労。それでも巣の中のヒナが、
  雄の子でないことも珍しくなく、三角関係の喧嘩が観察される。
   多くの野鳥と異なり、土と枯れ草だけを使う独特な巣作り、飛ぶ虫しか餌にしないツバメが編み
  出した、“つばめ返し”の技。一日に300回も餌を運ぶ、忙しい子育て、そして、感動的なヒナの
  巣立ち。さらに人の存在をうまく利用する特異な繁殖形態――。ツバメの生活は、謎と波瀾に満
  ちている。