金子凱彦の野鳥調査  80回
                               日野の自然を守る会 金子凱彦

●東豊田緑地保全地域の野鳥調査
<調査地とコース>
 同保全地域は日野市のほぼ中央部に細長く広がる日野台地の段丘崖の一部で、1975年に東京
都により緑地保全地域に指定されました。東豊田3丁目、多摩平2丁目、7丁目に隣接した黒川清
流公園、多摩平第6公園、清水谷公園の約
60,000㎡の雑木林です。黒川清流公園の崖下には数カ所
から湧水が流れており、池が4カ所あります。東から「ひょうたん池」、「大池」、「わきみず池
」、「あずまや池」の名が付いています。
調査は黒川清流公園の東端の中央線脇にあるひょうたん
池から西へ黒川防災広場(汚水処理場跡地)、第6公園、山王下公園、清水谷公園の池まで約
1.7
kmのコースを1時間で歩き、その間に出現した、野鳥の種類と数を記録します。


黒川清流公園内の表示板に説明を増やし作成

調査日 2014年6月1日(日)快晴、無風、真夏日30℃になる

<調査結果>
(1)カルガモ2 (2)ツミ1 (3)キジバト5 (4)コゲラ1 (5)ヒヨドリ13  (6)ウグイス1 
(7)シジュウカラ6  (8)スズメ1 (9)ムクドリ7 (10)オナガ3 (11)ハシボソガラス15
(12)ハシブトガラス3  (13)ドバト6 (14)ガビチョウ4    


<備考>
○コゲラの幼鳥が枯れ枝の先端に止まりせっせと木を突いていた。単独行動のようである。
 昨日、大池わきでアオゲラを撮影した人がいたが、本日は確認できなかった。
○シジュウカラの囀りを聞かなくなった。シジュウカラのファミリーを期待したが、これ
 もなし。


調査日 2014年6月9日 晴れ、無風

<調査結果>
(1)カルガモ4  (2)キジバト3  (3)アオゲラ1 (4)ヒヨドリ9  (5)シジュウカラ23
(6)ムクドリ7 (7)オナガ3 (8)ハシボソガラス4 (9)ハシブトガラス2 (10)ドバト20
(11)ガビチョウ1 

<備考>
○アオゲラは1回声を聞いただけである。
○顔が黄色い幼鳥を含むシジュウカラの群れに数回出会う。また単独で行動している幼鳥
 もいた。本日はシジュウカラが多かったが、林内は鳥たちの声が全く聞かれず静かであ
 る。ウグイスも本日なし。

調査日 2014年6月23日 晴れ

<調査結果>
(1)カルガモ5 (2)トビ1 (3)キジバト5 (4)カワセミ1 (5)ヒヨドリ9 (6)シジュウカラ3
(7)スズメ2 (8)ムクドリ36± (9)オナガ2 (10)ハシボソガラス4 (11)ハシブトガラス2
(12)ドバト7 (13)ガビチョウ2  

<備考>
○トビ1羽が第3コーポラス前を超低空で東から西へ、わきみず池から多摩平方向に飛ぶ。
 羽音が聞こえるほどの低さで驚いた。
○林内をカワセミが1羽飛ぶ。
○甘えた声を出しながら、ヒヨドリの幼鳥1羽が親鳥を追いかけていた。
○シジュウカラが少ない、林内にいるはずだが、出会わなかった。これからの季節、黒川
 でも野鳥が少なくなる。
○30羽ほどのムクドリの群れが、鳴きながら林を飛び出し第1コーポラス方向に消えた。


調査日 2014年6月29日 晴れ、無風。朝7時まで雨であった。

<調査結果>
(1)カルガモ1  (2)ツミ1 (3)キジバト3  (4)ツバメ3  (5)キセキレイ1  (6)ヒヨドリ10
(7)シジュウカラ22± (8)スズメ8 (9)オナガ7 (10)ハシボソガラス4 (11)ハシブトガラス1
(12)ドバト1  (13)ガビチョウ3   

<備考>
○ツミの声を聞く。
○防災広場上空をツバメが飛ぶ。西側の豊田駅周辺には今年多数のツバメの巣があるが、
 本調査地ではあまり姿を見ない。ここまでやって来ないようだ。
○山王下公園前の水路でキセキレイを観察する。今の季節での本種は珍しい。

<特記事項>
4月から観察していたツミが巣立った。6月24日の雨上がりの夕方、営巣木隣の大きな
ケヤキでツミの幼鳥が盛んに鳴いていた。翌日、岩井満夫さんがこのファミリーを撮影す
る。ヒナが巣から落ちるなどのトラブルがあったが、どうにか巣立ったようだ。提供して
いただいた写真は30日のものである。

▲ツミの幼鳥 6月30日、黒川清流公園にて 撮影:岩井満夫さん

<本のご案内>
日野市内の中央線や京王線の駅周辺では、今年も多くのツバメが子育てをしています。
単行本の『銀座のツバメ』は銀座の話だけでなく、ツバメのあまり知られていない生態、なぜ人の
そばで巣作りするのか? などツバメ全般の解説書でもあります。また「ツバメ・シール」など日野
の話も多数載っています。

『銀座のツバメ』


『銀座のツバメ』
金子凱彦著 佐藤信敏写真
定価 1500円+消費税/四六版 カラー口絵付き 188頁
発売・学芸みらい社       
◆書店や、アマゾン他のネット書店で注文・購入できます

「はじめに」より抜粋
 ツバメは越冬地の東南アジアから、春になると繁殖のために日本に帰って来る。このスマートな
小さな渡り鳥にはいくつもの、あまり知られていない、“秘密”がある。
 海を越え、2ヵ月におよぶ長旅を終えたツバメたちが、ペア(番)を作るまでの数々の試練。雌が
浮気をしないように、ライバルの雄からパートナーを守る雄の気苦労。それでも巣の中のヒナが、
雄の子でないことも珍しくなく、三角関係の喧嘩が観察される。
 多くの野鳥と異なり、土と枯れ草だけを使う独特な巣作り、飛ぶ虫しか餌にしないツバメが編み
出した、“つばめ返し”の技。一日に300回も餌を運ぶ、忙しい子育て、そして、感動的なヒナの
巣立ち。さらに人の存在をうまく利用する特異な繁殖形態――。ツバメの生活は、謎と波瀾に満
ちている。





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