金子凱彦の野鳥調査  81回
                               日野の自然を守る会 金子凱彦

●東豊田緑地保全地域の野鳥調査
<調査地とコース>
 同保全地域は日野市のほぼ中央部に細長く広がる日野台地の段丘崖の一部で、1975年に東京
都により緑地保全地域に指定されました。東豊田3丁目、多摩平2丁目、7丁目に隣接した黒川清
流公園、多摩平第6公園、清水谷公園の約
60,000㎡の雑木林です。黒川清流公園の崖下には数カ所
から湧水が流れており、池が4カ所あります。東から「ひょうたん池」、「大池」、「わきみず池
」、「あずまや池」の名が付いています。
調査は黒川清流公園の東端の中央線脇にあるひょうたん
池から西へ黒川防災広場(汚水処理場跡地)、第6公園、山王下公園、清水谷公園の池まで約
1.7
kmのコースを1時間で歩き、その間に出現した、野鳥の種類と数を記録します。


黒川清流公園内の表示板に説明を増やし作成

調査日 2014年7月6日、晴れ

<調査結果>
(1)カルガモ6 (2)キジバト3  (3)ツバメ1  (4)ハクセキレイ1  (5)ヒヨドリ7  (6)シジュウカラ2
(7)スズメ2   (8)ムクドリ7  (9)オナガ4  (10)ハシボソガラス6  (11)ハシブトガラス2
(12)ドバト4  (13)ガビチョウ1    


<備考>
○中央線方向より飛来したカルガモ1羽が、わきみず池に着水するが、居心地が悪いのか、
 すぐ大池方向に飛び去る。今年はカルガモの営巣はないようだ。
○第2コーポラス上空を東方向にまっしぐらにツバメが1羽飛ぶ。黒川はツバメの採食
 場所に使われていないようだ。
○ハクセキレイを第3コーポラス前の水路で観察するが、付近で繁殖をしているのか?
 いまいち分からない。


調査日 2014年7月14日 晴れ、無風、蒸し暑い

<調査結果>
(1)カルガモ6  (2)ツミ1  (3)キジバト5  (4)コゲラ1  (5)ヒヨドリ10  (6)シジュウカラ9
(7)ムクドリ49  (8)オナガ8+  (9)ハシボソガラス6  (10)ハシブトガラス1  (11)ドバト18
(12)ガビチョウ6 

<備考>
○ツミの幼鳥の声を聞く。親に餌をねだっているのかしばらく鳴いていたが、姿は確認でき
 なかった。黒川公園で巣立った幼鳥はまだ黒川を離れていないようだ。
○シジュウカラ9羽ほどが木々を忙しげに通過した後、コゲラが1羽のんびり姿を現した。
○防災広場や第1多摩平緑地で地面に下りて採食しているムクドリを多数見る。今年巣立っ
 たのであろう幼鳥も多い。

△黒川公園のツミの幼鳥 2014年7月14日 撮影:岩井満夫さん
 私は調査で幼鳥を発見できなかったが、岩井さんが同日の午後に撮影をする。

調査日 2014年7月21日 晴れ

<調査結果>
(1)カルガモ6  (2)キジバト1 (3)ハクセキレイ3  (4)ヒヨドリ4  (5)シジュウカラ10
(6)スズメ1  (7)ムクドリ22+ (8)オナガ5+  (9)ハシボソガラス3  (10)ハシブトガラス1
(11)ドバト5  (12)ガビチョウ2  

<備考>
○大池からひょうたん池の水路わきでハクセキレイの成鳥1羽(♀)と幼鳥2羽を観察する。
 個々に行動、採食しており。ファミリーであるかは不明。
○7羽ほどのシジュウカラが地面に降りて採食していた。幼鳥も混じる。


調査日 2014年7月27日 快晴、 八王子市36.5℃になる

<調査結果>
(1)カルガモ8  (2)キジバト3  (3)キセキレイ1 (4)ハクセキレイ3  (5)ヒヨドリ9
(6)シジュウカラ1  (7)スズメ1  (8)ムクドリ1  (9)オナガ3+ (10)ハシボソガラス4
(11)ハシブトガラス1  (12)ドバト8  (13)ガビチョウ3    

<備考>
○水路でキセキレイを1羽観察する。本調査地では前月(6月)にも観察した。
 本種は黒川公園では冬鳥であるが、変化が起きてきたか。
○ハクセキレイの若鳥2羽と成鳥1羽を、ひょうたん池から大池の区間で観察する。
 一緒の行動ではなかったが、付近で繁殖したファミリーか。
○シジュウカラは1回(1羽)声を聞いただけである。林内にいるはずなのだが…、
 静かだ。

△ハクセキレイの若鳥 7月24日 黒川清流公園 撮影:岩井満夫さん

<特記事項>
7月18日、わきみず池前の水路でカルガモの親子を発見! 一緒にいた岩井さんが
撮影をする。ただこの1回限りで以後親子の姿を見ない(岩井さんも同様に見ないと
のこと)。

△カルガモの親子 7月18日  黒川清流公園  撮影:岩井満夫さん

<本のご案内>
日野市内の中央線や京王線の駅周辺では、今年も多くのツバメが子育てをしています。
単行本の『銀座のツバメ』は銀座の話だけでなく、ツバメのあまり知られていない生態、なぜ人の
そばで巣作りするのか? などツバメ全般の解説書でもあります。また「ツバメ・シール」など日野
の話も多数載っています。

『銀座のツバメ』


『銀座のツバメ』
金子凱彦著 佐藤信敏写真
定価 1500円+消費税/四六版 カラー口絵付き 188頁
発売・学芸みらい社       
◆書店や、アマゾン他のネット書店で注文・購入できます

「はじめに」より抜粋
 ツバメは越冬地の東南アジアから、春になると繁殖のために日本に帰って来る。このスマートな
小さな渡り鳥にはいくつもの、あまり知られていない、“秘密”がある。
 海を越え、2ヵ月におよぶ長旅を終えたツバメたちが、ペア(番)を作るまでの数々の試練。雌が
浮気をしないように、ライバルの雄からパートナーを守る雄の気苦労。それでも巣の中のヒナが、
雄の子でないことも珍しくなく、三角関係の喧嘩が観察される。
 多くの野鳥と異なり、土と枯れ草だけを使う独特な巣作り、飛ぶ虫しか餌にしないツバメが編み
出した、“つばめ返し”の技。一日に300回も餌を運ぶ、忙しい子育て、そして、感動的なヒナの
巣立ち。さらに人の存在をうまく利用する特異な繁殖形態――。ツバメの生活は、謎と波瀾に満
ちている。





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