金子凱彦の野鳥調査  99回
                               日野の自然を守る会 金子凱彦

●東豊田緑地保全地域の野鳥調査
<調査地とコース>
 同保全地域は日野市のほぼ中央部に細長く広がる日野台地の段丘崖の一部で、1975年に東京
都により緑地保全地域に指定されました。東豊田3丁目、多摩平2丁目、7丁目に隣接した黒川清
流公園、多摩平第6公園、清水谷公園の約
60,000㎡の雑木林です。黒川清流公園の崖下には数カ所
から湧水が流れており、池が4カ所あります。東から「ひょうたん池」、「大池」、「わきみず池
」、「あずまや池」の名が付いています。
調査は黒川清流公園の東端の中央線脇にあるひょうたん
池から西へ黒川防災広場(現在マンション建設中)、多摩平第6公園、山王下公園、清水谷公園の
池まで約
1.7kmのコースを1時間で歩き、その間に出現した、野鳥の種類と数を記録します。


黒川清流公園内の表示板に説明を増やし作成

●調査日 2016年1月1日 快晴

<調査結果>
(1)マガモ5(4♂1♀)  (2)カルガモ15   (3)キジバト5  (4)カワセミ1♀  (5)コゲラ3
(6)オゲラ1 (7)ハシボソガラス3 (8)ハシブトガラス3  (9)ヤマガラ3 (10)シジュウカラ16
(11)ヒヨドリ12  (12)ウグイス3  (13)メジロ8±  (14)ムクドリ9  (15)シロハラ1
(16)ツグミ11  (17)キセキレイ1  (18)ハクセキレイ1 (19)カシラダカ10+ (20)ドバト15
(21)ガビチョウ2


<備考>
○大池で久しぶりにカワセミの雌を見る。朝日を浴びて下嘴の“赤”が鮮やかに見えた。
○ひょうたん池わきの常緑樹のカシの木からメジロの声が聞こえるが中々姿を現さない。しばらく
 待っているとシジュウカラが次々と7羽飛び出してきた。そしてメジロも姿を現したが、5羽ほど
 の小さな群れであった。さらにシジュウカラのそばにはコゲラ2羽の姿もあった。コゲラは元日
 の朝日を浴びて鮮やか“白”に見えた。
○山王下公園内の柵の杭にシロハラが飛来する。羽をだらりと下げたポーズで止まっている。後ろ
 から、横から、前からとじっくり観察できた。雌のようである。
○あずまや池の南斜面で採食しているカシラダカを10羽ほど数える。昨年の冬はわきみず池周辺に
 多かったが、今冬は姿を見ない。


△カシラダカ(1月4日) あずまや池にて 撮影:岩井満男さん

○本日は元旦を祝ってか出現種数が21種(個体数133羽)と多かった。この数年の元旦の記録を見ると昨年の
 15年は19種(個体数96羽)、14年は17種(個体数111羽)、13年は23種(個体数123羽)であった。

●調査日 2016年1月8日 晴れ

<調査結果>
(1)マガモ5(3♂2♀)  (2)カルガモ14  (3)キジバト3  (4)カワセミ2♀  (5)ハシボソガラス4
(6)ハシブトガラス4  (7)シジュウカラ15  (8)ヒヨドリ14  (9)ウグイス1  (10)メジロ2
(11)ムクドリ30±  (12)ツグミ5  (13)キセキレイ1  (14)シメ1  (15)カシラダカ10±
(16)ドバト14  (17)ガビチョウ1

<備考>
○清水谷公園の池と山王下公園の水路でほぼ同時にカワセミの雌に出会う。山王下の個体の方が
 下嘴の赤が鮮明であった。ふと昨年繁殖した雌が帰って来たのかなと思ったが、個体識別して
 いないのでまったく不明である。なお翌日の9日には本会会員の小久保雅之さんがわきみず池
 で雄を観察している。いよいよカワセミたちの恋の季節到来か。
○中央線わきの柿の木にムクドリが15羽ほど飛来し実を食していた。大池の柿の木にもムクドリ
 が群れていた。これで1月まで残っていた柿もなくなるであろう。
○あずまや池の斜面でカシラダカとともにシメの姿を見る。シメは色彩がシックで魅力的な冬鳥
 だ。


●調査日 2016年1月20日 晴れ

<調査結果>
(1)マガモ2(1♂1♀)  (2)カルガモ12  (3)キジバト5  (4)カワセミ2(♀1)  (5)アオゲラ1
(6)モズ1♂  (7)ハシボソガラス3  (8)ハシブトガラス5  (9)シジュウカラ1  (10)ヒヨドリ3
(11)ウグイス1  (12ムクドリ33±  (13)ツグミ10  (14)キセキレイ1  (15)ハクセキレイ2
(16)ドバト13  (17)ガビチョウ1

<備考>
○1月になり黒川清流公園でカワセミの雌の姿を頻繁に見るようになった。本日は大池方面から飛
 来した1羽が、わきみず池を素通りしてあずまや池方向に飛ぶのを観察する。雌雄は不明であった。
○あずまや池にモズの雄が姿を現す。一緒に観察していた岩井さんによると池の東側の第2
 コーポラス前でこの雄とともにもう1羽(雌雄不明)近くにいたとのことである。
○降雪の後でありカラ類の混郡を期待したまったく出会わなかった。単独行動のシジュウカラ1羽
 だけであった。
○ひょうたん池の奥(北側)の雪のない斜面にムクドリが次々と降りて、採食していた。ツグミも
 混じっていた。本日はツグミが多かったので、トラツグミも期待したが駄目であった。


△雪の黒川清流公園(1月20日撮影)、1月18日に降雪があった。


●調査日 2016年1月27日 晴れ

<調査結果>
(1) マガモ2(♂1♀1)  (2)カルガモ17  (3)キジバト5  (4)カワセミ1  (5)コゲラ1
(6)モズ1♂ (7)ハシボソガラス2 (8)ハシブトガラス4 (9)ヤマガラ1 (10)シジュウカラ10
(11)ヒヨドリ7  (12)ウグイス2  (13)シロハラ2  (14)ツグミ4  (15)キセキレイ1
(16)ハクセキレイ4  (17)シメ1  (18)アオジ1  (19)ドバト10  (20)ガビチョウ1

<備考>
○あずまや池から東に飛ぶカワセミに出会うが雌雄は不明であった。
○調査終了後であったが大池の東側の下草が見事に刈り込まれている林でモズの雄を見る。
 本日岩井さんがこの雄を撮影しいている。
○あずまや池に隣接する南斜面でヤマガラ、シジュウカラ、コゲラ、シメそれにシロハラが
 飛来した。ここは餌場として利用されているようだ。1月24日にはエナガ10羽ほどの群れが
 通過した。
○山王下公園でシロハラの声とともに姿も見る。
○久しぶりにアオジに会う。本調査地では越冬しているのだがなかなか出会えない。

<特記事項>
○黒川清流公園の昨秋から今冬のモズの越冬数は東端のひょうたん池から西端のあずまや池
 までは雄、雌、雄の3羽のようである。ただ大池では別々であるが雄、雌を観察したことも
 ある。


△モズの雄(12月27日)ひょうたん池の西側


△モズの雌(12月12日)大池の奥(北側)


△モズの雄(12月10日)あずまや池
以上3点は岩井満男さんが撮影


<お知らせ>会報「日野の自然」2月号の“ひろば”に以下の文を投稿したので記します
 
 長く続けること Rart2     金子凱彦
(2)HPの観察記録が99回になります
 日野市内の黒川清流公園を含む東豊田緑地保全地域の野鳥調査をサラリーマン退職後の2007年4月より
始めました。同時に11月より日野の自然を守る会のホームページ(HP)に毎月の調査結果を載せることにしま
した。今月は1月の結果が載ります。今回で99回になりました。市内の人や遠く離れた人から黒川清流公園の
HPを見ましたとの声をいただくと嬉しくなります。インターネットの強さを感じます。毎月HPの更新してくださる本
会のIT担当の江面利和さんのお陰と感謝しております。また最近は黒川清流公園をフィールドにして野鳥を撮
っている岩井満男さんの写真もお借りするようになりました。皆様のお陰で99回続きました。
 黒川清流公園は自宅から近いこともありバードウォッチング(鳥見)気分でひと月に何回も調査に出かけます。
今や病み付きになりました。野鳥もさることながら身近で季節の移り変わりを実感できるフィールドでもあります。
黒川清流公園の調査は元気でいる限り続けたく、私のライフワークと考えています。

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