金子凱彦の野鳥調査  101回
                               日野の自然を守る会 金子凱彦

●東豊田緑地保全地域の野鳥調査
<調査地とコース>
 同保全地域は日野市のほぼ中央部に細長く広がる日野台地の段丘崖の一部で、1975年に東京
都により緑地保全地域に指定されました。東豊田3丁目、多摩平2丁目、7丁目に隣接した黒川清
流公園、多摩平第6公園、清水谷公園の約
60,000㎡の雑木林です。黒川清流公園の崖下には数カ所
から湧水が流れており、池が4カ所あります。東から「ひょうたん池」、「大池」、「わきみず池
」、「あずまや池」の名が付いています。
調査は黒川清流公園の東端の中央線脇にあるひょうたん
池から西へ黒川防災広場(現在マンション建設中)、多摩平第6公園、山王下公園、清水谷公園の
池まで約
1.7kmのコースを1時間で歩き、その間に出現した、野鳥の種類と数を記録します。


黒川清流公園内の表示板に説明を増やし作成

●調査日 2016年3月2日 晴れ

<調査結果>
(1)マガモ2♂♀ (2)カルガモ16 (3)キジバト4 (4)カワウ2 (5)アオサギ1
(6)カワセミ1 (7)コゲラ1 (8)モズ3(♂1♀2)(9)ハシボソガラス6 (10)ハシブトガラス4
(11)ヤマガラ2 (12)シジュウカラ9 (13)ヒヨドリ7 (14)ウグイス2 (15)ツグミ9
(16)キセキレイ1 (17)ハクセキレイ2 (18)ドバト20 (19)ガビチョウ6


<備考>
○大池からカワウ2羽が中央線方向(東側)に飛び立ち一旦姿が見えなくなるが、すぐUターン
 して大池上空に戻る。1羽は再び東に去るが、もう1羽は池の前の電柱のてっぺんに止まる。
 池に執着いているようだ。
○本日はモズを3羽観察する。①大池の東側の下草が刈り込まれた林で雌がせっせ低木の枝か
 ら地面に降りては餌を探していた。そして南斜面のネザサに消えた。②清水谷公園の東端の
 人家周辺からモズ声が聞こえ、雄を確認する。③多摩平第6公園の南斜面で雌を観察する。
 木の枝から下草が刈り込まれた斜面に降りては再び枝に戻っていた。①と③の雌は距離的に
 も別個であろう。
○本日は日差しも明るく暖かい陽気なのでウグイスの囀りを期待したが地鳴きであった。
○ツグミはすべて単独行動であったが出現数が多かった。


●調査日 2016年3月9日 くもりのち霧雨

<調査結果>
(1)マガモ2♂♀ (2)カルガモ11 (3)キジバト13 (4)カワセミ1♀ (5)ハシボソガラス3
(6)ハシブトガラス4 (7)ヤマガラ2 (8)シジュウカラ5 (9)ヒヨドリ4 (10)ウグイス2
(11)ムクドリ3 (12)シロハラ1 (13)ツグミ3 (14)ドバト14 (15)ガビチョウ5

<備考>
○わきみず池でカワセミの雌を観察するが、今月になり雄の姿を見ない。
○ヤマガラ1羽がネザサの根元でせっせと餌を探していた。もう1羽はネザサわきの低木の枝で、
 両足で押えた木の実?をコンコン叩いていた。前回もヤマガラ2羽を観察しておりペアか
○まだ下手で声も小さく心もとないが、ウグイスの囀りを2か所で聞く。前回の3月2日には囀り
 を聞かなかったが、3月3日に初めて聞く。


●調査日 2016年3月16日 くもり

<調査結果>
(1)マガモ2♂♀ (2)カルガモ7 (3)キジバト5 (4)オオタカ1 (5)カワセミ1
(6)コゲラ1 (7)ハシボソガラス3 (8)ハシブトガラス2 (9)シジュウカラ6 (10)ヒヨドリ5
(11)ウグイス2 (12)ムクドリ6 (13)ツグミ3 (14)ジョウビタキ1♂ (15)ハクセキレイ1
(16)ホオジロ1♀ (17)ドバト3 (18)ガビチョウ1

<備考>
○突然現れたオオタカが低空で1回旋回し多摩平方向に消える。一瞬のことなのでカラスたちの
 出撃はなかった。久しぶりに黒川公園でオオタカの雄姿を見る。
○あずまや池の東側で久しぶりにジョウビタキの雄と出会う。本種独特の尾ふりを繰り返して
 いた。なお1月には同じ所で雌を見ている。
○コーポラス前の水路にしばしばハクセキレイの姿がある。コーポラスの中庭から現れるよう
 だ。今年も付近で営巣するか?
○山王下公園でホオジロの雌を観察する。緑地保全地域内で冬季は本種を観察していないので、
 移動の途中に寄ったのであろう。


●調査日 2016年3月30日 くもり

<調査結果>
(1)カルガモ3 (2)キジバト6 (3)アオサギ1 (4)カワセミ1♀ (5)アオゲラ1
(6)モズ1 (7)ハシボソガラス2 (8)ハシブトガラス3 (9)シジュウカラ10(10)ヒヨドリ9
(11)ウグイス3 (12)ムクドリ3 (13)シロハラ1 (14)ツグミ2 (15)キセキレイ3
(16)ハクセキレイ1 (17)ドバト7 (18)ガビチョウ1

<備考>
○本日も大池にマガモの姿がなかった。終認は3月26日で雌雄各1羽である。なお昨年は3月12日
 (雌雄各1羽)であった。
○大池でカワセミの雌を観察する。嘴の2倍ほどの魚をくわえ木の枝に叩き付けていたが、
 くわえたまま西方向に飛び去る。魚の大きさから見てヒナへの給餌ではない。
○あずまや池の奥(多摩平側)からモズの声がするが姿は確認できなかった。
○遊歩道の杭にひょっこりシロハラが現れる。私を警戒することなくしばらく胸を張り休んで
 いた。今冬ここでたびたび姿を見ていたが、そろそろ黒川を離れる季節であろう。黒川では
 ツグミより早く姿を消す。
○大池の西側の湧水で1羽、あずまや池のワサビ畑で2羽のキセキレイを見る。ワサビ畑の1羽
 は喉が黒く眉線の白が鮮やかであった。雄の夏羽である。

<特記事項・黒川清流公園の保全>
 突然、黒川清流公園の「わきみず池」周辺の下草が大規模に刈り取られ、林床部が丸裸になり
 ました。池には何筋もの湧水が流れ込んでおり貴重な水辺の植物の宝庫として知られた所です。
 キセルアザミやカキランなどの貴重種を守る“聖域”と勝手に思い込んでいたので驚く。そし
 て野鳥たちへの影響は…この件に関して本会の「日野の自然」5月号(5/1発行)に私の意見を
 述べます。緑地の保全について考えたいと思います。

 
 △東豊田緑地保全地域案内図の看板と丸裸の林床  3月27日

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