金子凱彦の野鳥調査  107回
                               日野の自然を守る会 金子凱彦

●東豊田緑地保全地域の野鳥調査
<調査地とコース>
 同保全地域は日野市のほぼ中央部に細長く広がる日野台地の段丘崖の一部で、1975年に東京
都により緑地保全地域に指定されました。東豊田3丁目、多摩平2丁目、7丁目に隣接した黒川清
流公園、多摩平第6公園、清水谷公園の約
60,000㎡の雑木林です。黒川清流公園の崖下には数カ所
から湧水が流れており、池が4カ所あります。東から「ひょうたん池」、「大池」、「わきみず池
」、「あずまや池」の名が付いています。
調査は黒川清流公園の東端の中央線脇にあるひょうたん
池から西へ黒川防災広場(現在マンション建設中)、多摩平第6公園、山王下公園、清水谷公園の
池まで約
1.7kmのコースを1時間で歩き、その間に出現した、野鳥の種類と数を記録します。


黒川清流公園内の表示板に説明を増やし作成

●調査日 2016年9月5日 快晴

<調査結果>
(1)カルガモ7 (2)キジバト5 (3)コゲラ1 (4)アオゲラ1 (5)ハシボソガラス5
(6)ハシブトガラス5  (7)ヤマガラ2 (8)シジュウカラ4 (9)ヒヨドリ3 (10)ムクドリ1
(11)ドバト7 (12)ガビチョウ3


<備考>
○一声であったがアオゲラの声を久しぶりに聞く。
○ヤマガラ2羽、シジュウカラ3羽の群れに遭遇する。下から見上げるとヤマガラの赤茶の腹
 が朝日に浴びて鮮やかであった。そして付近をコゲラも飛ぶ。鳥なしの真夏も終わったか?
 ただ本日は30℃を超える真夏日(残暑)であった。



●調査日 2016年9月12日 くもり

<調査結果>
(1)カルガモ12 (2)キジバト6 (3)アオゲラ1 (4)モズ1 (5)ハシボソガラス4
(6)ハシブトガラス5 (7)ヤマガラ3 (8)シジュウカラ6 (9)ヒヨドリ6 (10)ムクドリ1
(11)ドバト42


<備考>
○アオゲラがけたたましく鳴きながら林内を飛んでいた。
○第3コーポラスわきの桜の木からモズの声が聞こえたが、姿は確認できなかった。この周辺
 に定着するかは不明である。
○前回と同じ所でヤマガラ3羽を確認する。8月には観察できないヤマガラであるが、9月早々
 に姿を見るようになる。

<参考>
16年9月2日(2羽)、14年9月2日(1羽)、12年9月2日(4羽)いずれも8月には観察例がなかった。
○アメリカヒロシトリに食い荒らされているアブラチャンにシジュウカラが3羽飛来するが、あ
 まり興味ないのかすぐ飛び去ってしまった。
○中央線の電線にドバトが42羽並ぶ。コーポラス周辺の最大羽数ではないか。

●調査日 2016年9月24日 くもり

<調査結果>
(1)カルガモ14  (2)キジバト1  (3)コゲラ1  (4)オナガ36  (5)ハシボソガラス3
(6)ハシブトガラス2  (7)シジュウカラ3  (8)ヒヨドリ6  (9)スズメ8  (10)ドバト4
(11)ガビチョウ1


<備考>
○第2コーポラス屋上から36羽のオナガが中央線を越えて南に飛び去った。この群れは中央線
 に隣接する神明野鳥公園から黒川公園に飛来し、林の中で騒がしく鳴きながら次々に林を出
 てコーポラス屋上に移った。

●調査日 2016年9月27日 晴れ

<調査結果>
(1)カルガモ13  (2)キジバト2  (3)コゲラ1  (4)アオゲラ1  (5)モズ1
(6)ハシボソガラス6  (7)ハシブトガラス4  (8)ヤマガラ2  (9)シジュウカラ20±
(10)ヒヨドリ5  (11)エナガ2 (12)センダイムシクイ1  (13)スズメ3  (14)キセキレイ1
(15)ガビチョウ4


<備考>
○多摩平第6公園に立つと下方(南側)の山王下公園からモズの高鳴きが聞こえてきた。例年だ
 と今頃から防災広場(現在マンション建設中)にそびえたつ枯れたヒマラヤスギやメタセコイ
 ヤのてっぺんでモズが鳴いているのだが、すべて切り倒され、今や過去の話になってしまった。
○第2コーポラス前の大ケヤキの樹冠部からカラ類の群れが西側の桜の木々にせわしげに移動し
 ていた。シジュウカラ20羽ほど、ヤマガラ、エナガを各2羽、コゲラ1羽を観察するが、高所
 のうえ葉に隠れ正確なカウントはできなかった。さらにセンダイムシクイの姿もあった。
○偶然であるが2013年9月27日にも上記付近でセンダイムシクイを観察している。この時も同じく
 カラ類の混群に出会った後であった。
○久しぶりに水路でキセキレイの姿を見る。4月以来のである。

<特記事項>
 来年3月の環境情報センターの開設に伴い、センターに隣接する黒川清流公園の「あずまや池」
 の自然環境が大幅に変わると危惧される。来客のための遊歩道を作るなど周辺の環境整備が考
 えられているようだ。


△環境情報センターの入る東豊田複合施設(仮称)の建設が始まる。右奥(東側)に
 あずまや池がある。左に隣接する白いマンションは来年2月完成予定である。
 9月27日撮影

 あずまや池は黒川清流公園の西端に位置しており(トップの地図参照)、池の北側は
急斜面で、西側は行き詰りになっている(この西側にセンターが建つ)。カシやツバキな
どの常緑樹があり、人の気配から遮断された野鳥の聖域でもある。
 池周辺の木々をゴイサギやコサギが休息場所にしていたこともあり、カワセミが池のふち
のツバキの茂みをねぐらに使っていた。カルガモの繁殖の記録もある。斜面では冬鳥の
ツグミやシロハラとともに珍しいトラツグミが姿を現すこともある。さらに今夏猛禽類のツミ
が飛来した。
 本年1月27日の調査では黒川清流公園を含む東豊田緑地保全地域で20種の野鳥
を記録したが、あずまや池周辺では半分以上の12種(キジバト、カワセミ、コゲラ、ハシ
ボソガラス、ハシブトガラス、ヤマガラ、シジュウカラ、ヒヨドリ、シロハラ、キセキレイ、シメ、
アオジ)を観察している。この区域は黒川公園の野鳥にとっては貴重な環境になっている。
生物多様性の視点からもこの環境をできるだけ今のままで残してほしいものである。


△あずまや池わきのワサビ畑のフェンスに飛来したツミの若鳥 2016年7月18日
 撮影:岩井満男さん


△あずまや池。黒川清流公園の西端に位置しており、この池の西側にセンターが建つ。
 この環境を後世の人たちに残して欲しいものである。  9月27日撮影


△あずまや池を正面から見る。入口の木戸は夜になると閉める。木々に覆われ黒川清流
 公園でも別世界の観がある。   9月27日撮影

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