金子凱彦の野鳥調査  110回
                               日野の自然を守る会 金子凱彦

●東豊田緑地保全地域の野鳥調査
<調査地とコース>
 同保全地域は日野市のほぼ中央部に細長く広がる日野台地の段丘崖の一部で、1975年に東京
都により緑地保全地域に指定されました。東豊田3丁目、多摩平2丁目、7丁目に隣接した黒川清
流公園、多摩平第6公園、清水谷公園の約
60,000㎡の雑木林です。黒川清流公園の崖下には数カ所
から湧水が流れており、池が4カ所あります。東から「ひょうたん池」、「大池」、「わきみず池
」、「あずまや池」の名が付いています。
調査は黒川清流公園の東端の中央線脇にあるひょうたん
池から西へ黒川防災広場(現在マンション建設中)、多摩平第6公園、山王下公園、清水谷公園の
池まで約
1.7kmのコースを1時間で歩き、その間に出現した、野鳥の種類と数を記録します。


黒川清流公園内の表示板に説明を増やし作成

●調査日 2016年12月2日 快晴

<調査結果>
(1)マガモ6(4♂2♀)  (2)カルガモ14  (3)キジバト3  (4)モズ1  (5)ハシボソガラス9
(6)ハシブトガラス3  (7)シジュウカラ11±  (8)ヒヨドリ19  (9)ウグイス1  (10)ルリビタキ1♀
(11)キセキレイ2 (12)アトリ3 (13)ドバト26  (14)ガビチョウ1


<備考>
○シジュウカラ10羽ほどの群れと一緒のアトリ3羽を発見するが、忙しげに林の奥に消えてしまった。
 なお調査後の昼過ぎ、あきみず池のふちに水を飲みに2羽が飛来する。
<黒川清流公園のアトリの記録>2008年12月13日に40羽、翌2009年2月9日には30羽を記録するが、以後
 全く飛来記録がなかった。なおこの冬は全国的にアトリが多く渡来した年であったようだ。
 訂正先月の11月25日の記録で、不明種50±とあるのをアトリ50±と訂正します
○わきみず池でルリビタキをチラッと見る。雌のようだ。最近、黒川では極まれにしか観察できなくな
 った冬鳥である。

●調査日 2016年12月7日 くもり

<調査結果>
(1)マガモ3(2♂1♀)  (2)カルガモ16  (3)キジバト5  (4)アオゲラ1  (5)ハシボソガラス3
(6)ハシブトガラス4  (7)シジュウカラ28±  (8)ヒヨドリ13  (9)ウグイス1  (10)ツグミ1
(11)キセキレイ1  (12)アトリ30±  (13)イカル2  (14)アオジ1  (15)ドバト20  (16)ガビチョウ2


<備考>
○大池上空から第1コーポ屋上周辺をアトリ30羽ほどが旋回し、大ケヤキの樹冠部に舞い降りる。する
 とヒヨドリ2羽が鳴きながらケヤキに突進!? アトリは一斉に飛び立ち中央線方向に飛び去ってし
 まった。
○わきみず池前でケヤキの種子をジュウカラ20羽ほどが採食していた。最近よくこのケヤキでシジュウ
 カラの姿を見る。先月の11月28日には32羽がこのケヤキに入るのをカウントしている。
○高木の樹冠部でイカル2羽をかろうじて確認する。11月18日にも観察しており今冬は黒川に定着する
 か?
○大池の北側の林からツグミの声が聞こえた。黒川公園でのツグミの初認は11月26日であったが、それ
 以来のツグミである。
○わきみず池前の水路わきのブッシュでアオジの姿を見る。11月10日の初認以来である。


●調査日 2016年12月13日 晴れのちくもり

<調査結果>
(1)マガモ5(3♂2♀)  (2)カルガモ12  (3)キジバト6  (4)アオゲラ1   (5)モズ2
(6)ハシボソガラス5  (7)ハシブトガラス3  (8)シジュウカラ9 (9)ヒヨドリ16  (10)ウグイス3
(11)メジロ17±  (12)ルリビタキ1♀  (13)スズメ2  (14)キセキレイ1  (15)ハクセキレイ2
(16)アトリ55±  (17)ドバト12  (18)ガビチョウ5


<備考>
○久しぶりにメジロに3か所で会う。10羽±、2羽、5羽であったが、混群ではなくメジロだけの行動で
 あった。
○あずまや池東側の桜並木周辺でルリビタキの雌を観察する。棒杭やロープに止まり、東へ東へと移
 動して行った。わきみず池まで行くのであろうか。
○アトリが調査地内を飛びまわっていた。15羽±、5羽、5羽、10羽±、5羽、15羽±の群れを観察する。
 調査終了後、わきみず池西側の大ケヤキの樹冠部で30羽ほどのアトリが採食をしていた(調査とダブ
 るといけないので、この数は今回のカウントに入れていない)。今冬はアトリで賑わうか。

△わきみず池わきの水飲み場に連日アトリが飛来する 撮影:岩井満男さん


●調査日 2016年12月27日 くもりのち雨

<調査結果>
(1)マガモ4(2♂2♀)  (2)カルガモ12  (3)キジバト6  (4)コゲラ1 (5)ハシボソガラス8
(6)ハシブトガラス2  (7)ヤマガラ2  (8)シジュウカラ29±  (9)ヒヨドリ9 (10)ウグイス2
(11)エナガ20±  (12)ルリビタキ1♀  (13)スズメ2  (14)キセキレイ1  (15)ハクセキレイ2
(16)アトリ25±  (17)ドバト7  (18)ガビチョウ5


<備考>
○高木のクヌギ、コナラの樹冠部で採食しているエナガの群れを発見する。葉が落ちて見やすいはず
 だが、真上を首を曲げて観察していると、いささか首が痛くなった。気を付けなければ、以前しば
 らく痛みが取れないことがあった。このエナガの群れにアトリの姿も15羽ほどあった。
〇清水谷公園でアトリを10羽ほど観察する。最近ここでもよく見かける。

●調査日 2016年12月31日 晴れ

<調査結果>
(1)マガモ5(3♂2♀)  (2)カルガモ18  (3)キジバト6  (4)カワウ1  (5)カワセミ1
(6)コゲラ1  (7)アオゲラ1♂  (8)モズ3(2♂)  (9)オナガ12  (10)ハシボソガラス9
(11)ハシブトガラス2  (12)ヤマガラ3  (13)シジュウカラ24±  (14)ヒヨドリ8  (15)ウグイス3
(16)エナガ10±  (17)メジロ3  (18)ムクドリ1  (19)ツグミ1  (20)スズメ2  (21)キセキレイ2
(22)ハクセキレイ3  (23)ルリビタキ1♀  (24)ドバト20   (25)ガビチョウ2


<備考>
○豊田駅方向から飛来したカワウ1羽が、清水谷公園→山王下公園を低空で通り黒川公園方向に消えた
 が、すぐUターンしたのであろう再び姿を現し、同じコースで豊田駅方向に消えた。降りるための池
 を捜していたのか?
〇調査終了後であるが、わきみず池北側の林内を一直線に西に飛ぶカワセミを発見する。すぐ自転車で
 あずまや池に行くが姿なし、さらに西の清水谷公園に。池のふちで一瞬姿を見るがすぐ奥へ姿を消し
 てしまった。今冬の個体は警戒心が強くなかなか姿を見せてくれない。
〇ゆっくり鳴きながら東に飛ぶ3羽、5羽、4羽のオナガを観察する。オナガの出現は久しぶりである。
 なお12月30日にわきみず池前(南側)をオナガが30羽ほど東にゆっくり移動しているのを観察した。
 参考 本年度(16年)のオナガの記録、2/4 )6羽 2/11)10羽 3/23)2羽 9/24)36羽であった。
 オナガは近年本調査地では記録が少なくなっている。
〇ひょうたん池の北側からモズの声がするが姿を確認できず。ただ中央線を越えて神明野鳥公園に飛ぶ
 姿を観察できた。
 一帯がこのモズのテリトリーであるようだ。さらに本日は大池北側で雄(岩井さんが12月9日に撮った
 「はやにえ」の雄か)、山王下公園北側で雄を観察している。
〇あずまや池東側でシジュウカラ15羽ほど、エナガ10羽ほど、ヤマガラ3羽、メジロ3羽、コゲラ1羽の
 混群に出会う。南斜面をゆっくり移動していた。さらにルリビタキの雌も姿を現した。
〇朝日に向かってツグミが1羽、胸をそらし電線に止まっていた。今年はツグミが少ない。さっぱり声も
 聞かない。
〇本年最後の調査(バードウオッチング)であったが、穏やかな朝で鳥も25種と多く大満足の最終日で
 あった。ただアトリに会えず残念であった。

<特記事項>
岩井満男さんが大池でモズの早贄(はやにえ)行動を撮影(12月9日)したので紹介します。
 
① 雄が小さなカマキリをくわえて飛来する ②枝に刺す
 

③刺したまま去る。

なぜ早贄をするのかは諸説ありよく分かっていません。
【参考】会誌「日野の自然」2015年2月号(No511) 
森川正昭/モズのハヤニエ~多摩川河川敷での観察記録~ 虫屋さんの視点でハヤニエになった虫や
小動物たちを詳細にリストアップしています。

●「日野の自然を守る会」の観察会の案内
『黒川清流公園ニューイヤーカウント2017』
1月は最も野鳥の多い季節です。昨年同様に冬の雑木林で、鳥の数を数えてみましょう。もちろん、
野鳥を見て楽しむだけでも結構です。この季節は意外な冬鳥に会えることもあります。
日 時  1月15日(日) 雨天中止
集 合  JR中央線豊田駅北口 9時
解 散  現地 昼頃
参加費  大人300円、子供100円
●詳細は本会HPか会報「日野の自然」1月号をご覧下さい。

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