金子凱彦の野鳥調査  122回
                               日野の自然を守る会 金子凱彦

●東豊田緑地保全地域の野鳥調査
<調査地とコース>
 同保全地域は日野市のほぼ中央部に細長く広がる日野台地の段丘崖の一部で、1975年に東京
都により緑地保全地域に指定されました。東豊田3丁目、多摩平2丁目、7丁目に隣接した黒川清
流公園、多摩平第6公園、清水谷公園の約
60,000㎡の雑木林です。黒川清流公園の崖下には数カ所
から湧水が流れており、池が4カ所あります。東から「ひょうたん池」、「大池」、「わきみず池
」、「あずまや池」の名が付いています。
調査は黒川清流公園東端の中央線脇にある「ひょうたん
池」から西へカワセミハウス(2017年4月OPEN)、マンション・ヴィ-クコ-ト豊田、多摩平第6公園、
山王下公園、清水谷公園の池まで約1.7kmのコースを1時間で歩き、その間に出現した野鳥の種類
と数を記録します。


黒川清流公園内の表示板に説明を増やし作成

●調査日 2017年12月1日 くもり

<調査結果>
(1)マガモ4(2♂2♀) (2)カルガモ22 (3)キジバト2 (4)オナガ15+ (5)ハシボソガラス13
(6)ハシブトガラス3 (7)シジュウカラ5 (8)ヒヨドリ19± (9)メジロ5 (10)ムクドリ7
(11)シロハラ1 (12)ツグミ1 (13)スズメ5 (14)キセキレイ1 (15)ハクセキレイ1
(16)ドバト48 (17)ガビチョウ1


<備考>
○清水谷公園にオナガが飛来し、池周辺で騒がしく騒いでいた。
〇山王下公園でシロハラを観察した。この公園には毎年本種が飛来し越冬をする。
〇マンション北側の大きな桜の木のてっぺんにツグミが止まる。朝日を浴びて胸の色合い
 が鮮明に見えた。

●調査日 2017年12月9日 快晴

<調査結果>
(1)マガモ5(3♂2♀) (2)カルガモ19 (3)キジバト3 (4)カワセミ1♂ (5)アオゲラ1
(6)ハシボソガラス5 (7)ハシブトガラス3 (8)ヒヨドリ25 (9)ムクドリ7 (10)シロハラ3
(11)ツグミ8 (12)キセキレイ1 (13)ハクセキレイ1 (14)イカル20± (15)アオジ1
(16)ドバト15 (17)ガビチョウ1


<備考>

〇清水谷公園の池でカワセミの雄を観察する。朝日を浴びてコバルトブルーが鮮やかに見
えた。ただ警戒心が強く池の一番奥から出てこない。
〇大池ふちの柿の木にツグミ、シロハラ、ヒヨドリ、ムクドリが飛来し実を食していた。
当日岩井さんが撮影したので紹介をする。
〇ツグミ、シロハラとも前回に比べて俄然多くなった、冬到来! ただシジュウカラなど
のカラ類を観察できなかった、こういうこともあるのだ。
 
△大池のシロハラ(左)とツグミ(12月9日) 撮影:岩井満夫さん

〇久しぶりにイカルの群れを観察する。数日前から黒川公公園や市役所前の中央公園に飛
 来しているようだ。一昨年(15年)は12月23日に30羽ほどの群れを観察し、昨年は11月、
 12月に2~5羽を観察したが以後冬季の定着はなかった。今年はどうなるか…。
〇かつて多摩平でイカルのキキコキコキーと口笛のような囀りを聞くことができた時代が
 あった。高野伸二さんが書いている。「昭和52(1977)から多摩平の団地内で繁殖すうよ
 うになったようです」(「日野の動物ガイドブック」 1979年刊)。早春の朝、多摩平で
 イカルの声を聞くと、まるで軽井沢に来ているような気分になったことを覚えている。

△イカル 第2コーポラス前(12月11日)撮影:岩井満夫さん

●調査日 2017年12月14日 晴れ

<調査結果>
(1)マガモ4 (2♂2♀) (2)カルガモ20  (3)キジバト2  (4)アオゲラ1  (5)モズ1♂
(6)ハシボソガラス4 (7)ハシブトガラス4 (8)ヤマガラ1 (9)シジュウカラ3 (10)ヒヨドリ10
(11)ウグイス2 (12)メジロ7 (13)ムクドリ2 (14)シロハラ1 (15)ツグミ5
(16)イカル5 (17)ドバト16 (18)ガビチョウ1


<備考>
〇マンション北側の広場の杭にモズの雄が飛来する。付近で声はたびたび聞いていたが
 雄であった。12月現在、黒川清流公園のモズは東側(中央線わきのひょうたん池)か
 ら雄(下の写真)、雌(下の写真)、そして雄がテリトリーをつくっているようである。
 今日の雄は一番西側である。なお、さらに西側の清水谷公園周辺にも雄がいるが、マン
 ションの雄との関係は不明である。かつてこの区間で4羽のモズが冬の縄張りをつくっ
 たこともあったのだが…、さらに精査が必要だ。
〇多摩平第1緑地の上をイカル5羽が飛ぶがどこに降りたかは不明であった。最近黒川
 周辺では少なくなった。
 
△ひょうたん池から大池にテリトリーを持つモズの雄(左)、わきみず池からあづまや
池周辺のモズの雌。(12月10日) 撮影:岩井満夫さん

 
●調査日 2017年12月25日 晴れ

<調査結果>
(1)マガモ6(2♂4♀) (2)カルガモ21 (3)キジバト4 (4)コゲラ1 (5)アオゲラ1
(6)モズ2♂♀ (7)オナガ30± (8)ハシボソガラス1 (9)ハシブトガラス1 (10)ヤマガラ2
(11)シジュウカラ9  (12)ヒヨドリ10  (13)ウグイス3 (14)メジロ6 (15)ムクドリ8
(16)シロハラ3 (17)ツグミ1 (18)ハクセキレイ1 (19)アオジ2 (20)ドバト15
(21)ガビチョウ2


<備考>
〇マガモの雌が4羽と多くなった。ただ一時的なことであろう。
〇第2コーポラス前で久しぶりにアオゲラの声を聞く。今月10日に、岩井さんがここで
 足環付の雄を撮影している。
〇大池を西から東に忙しげにオナガが次から次へと通過して行った。30羽ほどを数え
 たがもっと多かったのでは…。オナガの出現は不規則である。
〇大池周辺にはシロハラが2羽いるようである。さらに本日は第2コーポラス前で声を
 聞き、飛び立つのを観察した。
〇今春OPENしたカワセミハウスの前の芝生広場で、ハクセキレイをたびたび見かける
 ようになった。餌場として利用されているのであろう。

●調査日 2017年12月30日 晴れ

<調査結果>
(1)マガモ6(3♂3♀) (2)カルガモ23 (3)キジバト3 (4)カワセミ1♂ (5)コゲラ3
(6)アオゲラ1 (7)モズ3(♀1) (8)ハシボソガラス13 (9)ハシブトガラス2 (10)シジュウカラ18
(11)ヒヨドリ8 (12)メジロ5 (13)ムクドリ16 (14)シロハラ1 (15)ツグミ6 (16)キセキレイ1
(17)ハクセキレイ1 (18)シメ1 (19)アオジ1 (20)ドバト8


<備考>
珍しく清水谷公園の池にカルガモ6羽が入っていた。
〇多摩平第1緑地でモズ2羽が鳴きながら空中戦をしているのに出会う。1羽は都道を
越え北の多摩平側に逃げる。もう1羽は高い梢に止まる。雌であった。わきみず池と
あずまや池の間であり、雌のテリトリーにほかのモズが侵入したのか?
〇大池、わきみず池で久しぶりにカワセミが飛ぶのを見る。そして調査コース最後の
清水谷公園の池でカワセミを発見する。綺麗な成鳥の雄であった。同じ個体が黒川
公園を飛んでいたのであろう。
〇今冬初めて清水谷公園でシメを観察する。シックで魅力的な冬鳥だ。


<特記事項>
今月21日、岩井さんが黒川公園でミソサザイを発見し撮影をする。今回と同じ所で私
は1999年代に観察したことがあるが(正確な日付が分からない…)、2000年に入って
からは記録がない。冬鳥として定着するか期待をしたが、一日だけで以後姿を見なく
なった。
 
△ミソサザイ(体長10㎝、日本で最も小さい) 12月21日 撮影:岩井満夫さん