金子凱彦の野鳥調査  123回
                               日野の自然を守る会 金子凱彦

●東豊田緑地保全地域の野鳥調査
<調査地とコース>
 同保全地域は日野市のほぼ中央部に細長く広がる日野台地の段丘崖の一部で、1975年に東京
都により緑地保全地域に指定されました。東豊田3丁目、多摩平2丁目、7丁目に隣接した黒川清
流公園、多摩平第6公園、清水谷公園の約
60,000㎡の雑木林です。黒川清流公園の崖下には数カ所
から湧水が流れており、池が4カ所あります。東から「ひょうたん池」、「大池」、「わきみず池
」、「あずまや池」の名が付いています。
調査は黒川清流公園東端の中央線脇にある「ひょうたん
池」から西へカワセミハウス(2017年4月OPEN)、マンション・ヴィ-クコ-ト豊田、多摩平第6公園、
山王下公園、清水谷公園の池まで約1.7kmのコースを1時間で歩き、その間に出現した野鳥の種類
と数を記録します。


黒川清流公園内の表示板に説明を増やし作成

●調査日 2018年1月1日 晴れ

<調査結果>
(1)マガモ4(2♂2♀)(2)カルガモ17 (3)キジバト3 (4)モズ1 (5)ハシボソガラス8
(6)ハシブトガラス2 (7)シジュウカラ7 (8)ヒヨドリ6 (9)ウグイス1 (10)エナガ10+
(11)メジロ5 (12)ムクドリ12 (13)ツグミ2 (14)ハクセキレイ4 (15)アオジ2
(16)ドバト2 (17)ガビチョウ1


<備考>
○ケヤキやクヌギの高木の樹冠部をエナガがゆっくりと移動していた。小さくしか見えな
 かったが、白い小さな丸い胴と長い尾が元旦の朝日を浴びて鮮やかであった。
〇メジロもエナガに負けず?高所を忙しげに移動していた。メジロだけの単独行動である。
〇普段鳥がほとんどいない多摩平第6公園でハクセキレイ(2羽)、アオジ(2羽)、ツグミ、
 キジバト、シジュウカラそれにハシボソガラス(5羽)を観察する。

●調査日 2018年1月4日 晴れ

<調査結果>
(1)マガモ6(3♂3♀ (2)カルガモ25 (3)キジバト4 (4)モズ2(♀1)(5)ハシボソガラス7
(6)ハシブトガラス2 (7)ヤマガラ2 (8)シジュウカラ11 (9)ヒヨドリ3  (10)エナガ2
(11)メジロ11 (12)ムクドリ3 (13)ツグミ2 (14)スズメ9 (15)ハクセキレイ3
(16)ドバト18


<備考>

〇モズの雌が第2コーポラスから西へあずまや池東端まで移動していたが、池のふちには入
 らないでUターンし、東側に戻った。あずまや池から西は雄のテリトリーであるか。
〇清水谷公園の池の前をスズメが人家に向けて次々に飛ぶ。9羽まで数えた。本調査地では
 スズメはいたって少ない。

●調査日 2018年1月12日 晴れ

<調査結果>
(1)マガモ9(5♂4♀) (2)カルガモ24 (3)キジバト4 (4)アオサギ1 (5)トビ1
(6)カワセミ1♂ (7)コゲラ2 (8)モズ1♀ (9)ハシボソガラス5 (10)ハシブトガラス3
(11)ヤマガラ2 (12)シジュウカラ16± (13)ヒヨドリ6 (14)ウグイス1 (15)エナガ3
(16)メジロ3  (17)シロハラ2 (18)ツグミ1 (19)キセキレイ1 (20)ハクセキレイ1
(21)シメ2   (22)アオジ3  (23)ドバト7 (24)ガビチョウ1


<備考>

〇大池のふちの高木にアオサギが止まっていた。池に降りるタイミングを計っていたのか?
 ただ池の前を人が通ったので中央線方向に飛び去ってしまった。
〇トビ1羽が黒川公園の稜線部を西から東にゆっくり優雅に飛んでいた。
〇清水谷公園の池でカワセミの雄を観察する。年が明けてからたびたび姿を見るようになった。
〇モズの雌をマンション北側の広場で観察する。先月(12月14日)、雄を見た所である。
 モズたちの春の動きが始まったか。

<特記事項>
 今月2日、岩井さんが足環付のモズの雄を撮影する。昨春に足環付のモズの雄が黒川公園で
繁殖しており同じ個体が
帰って来たのであろうか?そうであれば興味深い。なおこの一帯は足環のないモズの雄のテリ
トリーである。そして同日付近で足環なし雄も撮影された。
   
足環なしの雄(上)と右足に環の付
いた雄(左)

1月2日  撮影:岩井満夫さん
 


●調査日 2018年1月24日 晴れ

<調査結果>
(1)マガモ11(6♂5♀)(2)カルガモ12 (3)キジバト7 (4)ダイサギ1(OH (5)カワセミ1♂
(6)モズ2♂♀ (7)オナガ7+ (8)ハシボソガラス7 (9)ハシブトガラス5 (10)シジュウカラ15
(11)ヒヨドリ6 (12)ウグイス1 (13)メジロ1 (14)ムクドリ22 (15)ジョウビタキ1♀
(16)キセキレイ1 (17)アオジ2 (18)ドバト3


<備考>
〇大池のマガモは今冬最多である。
〇久しぶりにわきみず池でカワセミの雄を見る。清水谷公園の池から飛来したのか。緑地
 わきの水路を下流、大池方向に姿を消す。
〇多摩平第3緑地でモズの雄、あずまや池の東側でモズの雌を観察する。この付近では秋
 からのテリトリーが守られているようだ。 なお1月21日の「日野の自然を守る会」の
 観察会(黒川清流公園ニューイヤーカウント2018)では、第3緑地でモズ(雄)のハヤ
 ニエ行動(ミミズを枝に刺す)を参加者全員が観察することができた。

△ミミズを捕まえたモズ(左)と枝に掛けられたミミズ(右) 撮影:小久保雅之さん

〇今冬、なかなか会えなかったジョウビタキの雌をじっくり観察することができた。朝日
 を浴びるように胸をそらし、尾を小刻みに動かしながら長い時間杭に止まっていた。
〇22日昼より雪が降り、翌23日には都心では23㎝、日野では30㎝になった。雪の黒川
 清流公園を紹介する。1月24日撮影

△わきみず池周辺のハンノキ林(左端の木とその奥、黒川には50数本が生育している)。
ハンノキは湿地に生育するが、水田の減少とともに多摩地区でも減少しており、東京都の絶滅危惧Ⅱ類
に指定されている。(「日野市重要自然地域の植物相」2016年刊)ヨリ
   
 △ひょうたん池のコサギ 
1月15日 撮影:岩井満夫さん
△ひょうたん池のふちに残っていたサギSPの足跡、コサギ? 左端は私の長靴の跡  

●調査日 2018年1月31日 晴れ

<調査結果>
(1)マガモ8(4♂4♀)(2)カルガモ26 (3)キジバト5 (4)オオタカ1 (5)チョウゲンボウ1
(6)モズ3(2♂1♀) (7)オナガ10+ (8)ハシボソガラス6 (9)ハシブトガラス3 (10)ヤマガラ2
(11)シジュウカラ11 (12)ヒヨドリ5 (13)ウグイス1 (14)ムクドリ2 (15)シロハラ1
(16)ツグミ2 (17)キセキレイ1 (18)アオジ5 (19)ドバト10


<備考>
〇調査終了後であったが、黒川公園から東豊田上空をオオタカがカラスに追われながら飛
 んでいた。なお1月21日の「日野の自然を守る会」の観察会(ニューイヤーカウント2018)
 でも黒川公園上空でオオタカが観察されている。
〇黒川上空を南から北側へひらひら飛びながらチョウゲンボウが横切った。
〇モズは大池周辺で雄、あずまや池東で雌、あずまや池西側で雄を確認した。大池の雄は
 足環なしであったが、1月2日、21日に足環付の雄が付近で撮影されている。これから春に
 向けてどうなるか興味がある。
〇多摩平第6公園で地面に降りて採食しているアオジ4羽を観察する。同公園では最多であ
 る。

<1月のその他の記録>
岩井さんがヒレンジャク5羽を20日に観察し撮影をしたので紹介をする。1月はこの日
以外の飛来は確認されていない。

△ヒレンジャク 第2コーポラス前 1月20日 撮影:岩井満夫さん
ヤドリギの実を食べたレンジャクSPが糞とともにほかの木に種を運ぶ。黒川公園ではこの
ヤドリギが増えている。