金子凱彦の野鳥調査 第148回
日野の自然を守る会 金子凱彦
●東豊田緑地保全地域の野鳥調査
<調査地とコース>
同保全地域は日野市のほぼ中央部に細長く広がる日野台地の段丘崖の一部で、1975年に東京
都により緑地保全地域に指定されました。東豊田3丁目、多摩平2丁目、7丁目に隣接した黒川清
流公園、多摩平第6公園、清水谷公園の約60,000㎡の雑木林です。黒川清流公園の崖下には数カ所
から湧水が流れており、池が4カ所あります。東から「ひょうたん池」、「大池」、「わきみず池
」、「あずまや池」の名が付いています。調査は黒川清流公園東端の中央線脇にある「ひょうたん
池」から西へカワセミハウス(2017年4月OPEN)、マンション・ヴィ-クコ-ト豊田、多摩平第6公園、
山王下公園、清水谷公園の池まで約1.7kmのコースを1時間で歩き、その間に出現した野鳥の種類
と数を記録します。
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黒川清流公園内の表示板に説明を増やし作成
●調査日 2020年2月2日(日) 晴れ
<調査結果>
(1)マガモ8(4♂4♀) (2)カルガモ27 (3)キジバト4 (4)コサギ1 (5)オオタカ1
(6)カワセミ1♂ (7)アオゲラ1 (8)ハシボソガラス1 (9)ヤマガラ2 (10)シジュウカラ9
(11)ヒヨドリ4 (12)エナガ2 (13)ムクドリ2 (14)ツグミ2 (15)ジョウビタキ1♂
(16)キセキレイ1 (17)シメ1 (18)アオジ1 (19)ドバト7
<備考>
〇大池にコサギが入る。歩道に沿った水路で姿を見ることもある。1月になり黒川公園にコ
サギが飛来するようになった。
〇黒川公園のはるか上空をオオタカが1羽ゆっくりと東から西へ飛ぶ。
〇大池でカワセミの雄を見る。
●調査日 2020年2月11日(火) 晴れ
<調査結果>
(1)マガモ5(3♂2♀) (2)カルガモ24 (3)キジバト3 (4)カワセミ2♂♀ (5)コゲラ
(6)ハシボソガラス2 (7)ヤマガラ3 (8)シジュウカラ16 (9)ヒヨドリ5 (10)エナガ6
(11)メジロ2 (12)ツグミ2 (13)ジョウビタキ1♂ (14)スズメ5 (15)ハクセキレイ1
(16)ドバト3
<備考>
〇カワセミの雄を大池で、雌を清水谷公園の池で見る。黒川公園内の池でカワセミの雌雄
をたびたび見るようになった。雌は餌を採るのではなく、目立つ枝でじっとしていたので
雄の求愛給餌を待っているのではと期待したが、しばらくするとその場を離れてしまった。
〇ひょうたん池でエナガ(4羽)、シジュウカラ(10±)、ヤマガラ(3羽)、メジロ(2
羽)、コゲラ(1羽)の混群に出会う。中央線の斜面まで移動するが中央線を南側に越えるこ
となく、雑木林に戻って来た。
〇多摩平第3緑地でジョウビタキの雄を観察する。1月16日にも同所で雄を見かけてい
る。なお東に隣接するカワセミハウス周辺の雄とは違うと思うのだが…。
<特記事項>
2月になり黒川公園のヤドリギにヒレンジャクが時々姿を見せるようになった。10日には
岩井さんがわきみず池でキレンジャクを撮影したので紹介する。本種はヒレンジャクに比
べ数が多くない。
△キレンジャク 黒川清流公園 2月10日 撮影:岩井道夫さん
●調査日 2020年2月19日(水) 晴れ
<調査結果>
(1)マガモ11(6♂5♀) (2)カルガモ25 (3)キジバト3 (4)ダイサギ1 (5)カワセミ1♀
(6)コゲラ3 (7)ハシボソガラス2 (8)ヤマガラ5 (9)シジュウカラ20± (10)ヒヨドリ2
(11)ウグイス1 (12)エナガ2 (13)メジロ10 (14)ムクドリ5 (15)ツグミ2
(16)ハクセキレイ1 (17)ドバト2 (18)カルガモの雑種1
<備考>
〇清水谷公園の池でダイサギを見る。前日にはアオサギの姿もあった。ただ両種一緒のと
ころは見たことない。
〇カワセミの雌を清水谷公園の池でたびたび見ようになる。大池には雄が飛来することが
多い。
●調査日 2020年2月24日(火) 晴れ
<調査結果>
(1)マガモ11(6♂5♀) (2)カルガモ23 (3)キジバト4 (4)トビ1 (5)アオゲラ1
(6)モズ3(1♂1♀不明1) (7)ハシボソガラス3 (8)ハシブトガラス1 (9)ヤマガラ5 (10)シジュウカラ11
(11)ヒヨドリ6 (12)ウグイス2 (13)エナガ2 (14)ツグミ1 (15)ジョウビタキ1♂
(16)スズメ5 (17)キセキレイ1 (18)ハクセキレイ1 (19)アオジ1 (20)ドバト2
(21)カルガモ雑種1
<備考>
〇大池の東側、第一コーポラス前の林でモズの雄を観察する。ここは今冬雌のテリトリー
であったが、春になり雄を探しに出て行ったのであろうか、雌の姿がない。2月21日から
雄を見ているがまだ雌は現れないようだ。
〇あずまや池の林からカワセミハウス北側の墓地の植木にモズの雌が飛来する。10分ほど
止まっていたが雄は現れなかった。ただ前記の雄はここまでは来ないであろう。あずまや
池周辺は別の雄のテリトリーのはずだ。
〇ジョウビタキの雄を多摩平第3緑地で観察するが、2月2日以降カワセミハウス周辺で
雄の姿を見なくなった。
<特報>
あずまや池周辺で岩井さんがモズの繁殖行動を観察し撮影したので紹介する。今冬は黒川
公園の大池周辺に雌、わきみず池周辺に雄、あずまや池周辺に雌がテリトリーをつくって
いた。2月中旬から雄の行動が活発になり、21日には求愛行動が観察された(下の写真
2点)。さらに21日、22日には雌のテリトリーであった大池周辺で雄の姿を見るようにな
った。(一番下の写真)。
△2月21日、雌(左)の脇に来てサブソングを歌う雄、雌は気がないようなふりをして、
時にはそっぽを向く、雄は必至で歌う、歌う、恋の駆け引きである。
△独身?のモズの雄 2月22日 上記3点とも撮影:岩井満夫さん
●調査日 2020年2月27日(木) 晴れ
<調査結果>
(1)マガモ11(6♂5♀) (2)カルガモ26 (3)キジバト4 (4)カワセミ1♀ (5)ハシボソガラス4
(6)シジュウカラ9 (7)ヒヨドリ9 (8)ウグイス1 (9)ムクドリ5 (10)ツグミ2
(11)キセキレイ1 (12)ハクセキレイ1 (13)カワラヒワ1 (14)カシラダカ3 (15)アオジ2
(16)ドバト3
<備考>
〇ウグイスのへたくそな小さな囀りを聞く。初認である。南斜面のブッシュはあたたかい
朝日を浴びて春の到来を思わせた。
〇カシラダカ3羽を観察する。前日の26日にカワセミハウス北側の台地でカシラダカ10羽
ほどが採食していた。黒川公園では今冬初めての記録である。
〇足環付のアオジにやっと出会えた。岩井さんが11月から何回か撮影している個体であろ
う。2羽が地面に降りて採食していたがその内の1羽に足環が付いていた。
⇒野鳥にバンディングを行っている山階鳥類研究所に岩井さんが問い合わせしたところ、
このアオジは2018年10月に釧路でバンディングされたということが分かった。
△足環付のアオジ 2月19日 撮影:岩井満夫さん