金子凱彦の野鳥調査  第3回
                                      日野の自然を守る会 金子凱彦


●東豊田緑地保全地域の野鳥調査
<調査地とコース>
同保全地域は日野市のほぼ中央部に細長く広がる日野台地の段丘崖の一部で、1975年に東京都により緑地保全地域に指定されました。東豊田3丁目、多摩平2丁目、7丁目に隣接した黒川清流公園、多摩平第6公園、清水谷公園の約60,000uの雑木林です。黒川清流公園の崖下には数カ所から湧水が流れており、池が4カ所あります。東から「ひょうたん池」、「大池」、「わきみず池」、「あずまや池」の名が付いています。
調査は黒川清流公園の東端の中央線脇にあるひょうたん池から西へ黒川地域広場(汚水処理場跡地)、第6公園、山王下公園、清水谷公園の池まで約1.5kmのコースを1時間で歩き、その間に出現した野鳥の種類と数を記録します。

1月のわきみず池。周辺にはハンノキが多く、1月5日に開花を
観察する。この池にはルリビタキ、ジョウビタキ、モズなどが姿を
見せます。左の看板の白い物はここによく止まるカワセミのフン
です。

調査日 2008年1月3日 晴れ、無風

<調査結果>
(1)マガモ16(♂9♀7) (2)カルガモ40 (3)キジバト9 (4)コゲラ1 (5)キセキレイ2 (6)ハクセキレイ1 (7)ヒヨドリ8 (8)モズ1(♀1) (9)ルリビタキ1(♂1) (10)ジョウビタキ1 (11)ツグミ2 (12)ウグイス1 (13)エナガ12 (14)シジュウカラ14 (15)メジロ14 (16)ムクドリ16 (17)オナガ10 (18)ハシボソガラス2 (19)ハシブトガラス3 (20)ドバト9 (21)ガビチョウ2

<備考>
・あずまや池にて初めてモズの雌を見る。秋には隣接する汚水処理場跡地(黒川防災広場)や池周辺で元気の良い高鳴きをたびたび聞いていたが、その主が彼女だった。この雌はたびたび「黒川湧水わさび園」に降りては枝に戻っていた。わさび園に餌の虫類がいるのでしょう。
・わきみず池のルリビタキにやっと再会しました。池の西50m程の水路に差しかかると声が聞こえてきたので立ち止まり付近を探していると、瑠璃色の鮮やかな雄がその姿を現しました。昨年12月5日に見た個体でしょう。この雄はわきみず池まで鳴きながらゆっくり移動したのでその姿をじっくり観察することができました。また横枝に止まってしばたく尾を振っていました。今日のルリビタキは今年のお年玉です。
・第2コーポラス西端前の湧水付近でエナガ12羽の群に会う。この群は上段(多摩平側)の大ケヤキ(ヤドリギにレンジャク類が飛来する木)まで登り多摩平側を東に移動し姿が見えなくなるが、10分後シジュウカラ7羽、メジロ5羽、コゲラ1羽と共にあずまや池に姿を見せる。皆で柿を食していた。この12羽はその後隣接する黒川防災広場に移動し、その後広場前の3階建てマンションの屋上を越え中央線方向へ飛び去った。雑木林の外もエナガの行動圏になっているようです。

<雑感>
黒川公園の落ち葉の積もった斜面で子供が滑って遊んでいた。プラスチックの箱のような物の中に乗り滑るのです。急坂なのでころげ落ち、箱から投げ出されることもあったが2人はキャッキャ騒ぎながら楽しそうでした。ケガをしたら自己責任です。それでも子供たちは楽しいことを見つけるのです。身近な雑木林の利用(遊び)についても考えたいですね。


●調査日 2008年1月7日 薄くもり、無風

<調査結果>
(1)マガモ20(♂11♀9) (2)カルガモ24 (3)キジバト7 (4)コゲラ1 (5)キセキレイ2(6)ハクセキレイ1 (7)ヒヨドリ11 (8)モズ1(♀) (9)ルリビタキ1(♂) (10)ツグミ2(11)ウグイス1 (12)エナガ3 (13)シジュウカラ3 (14)メジロ4 (15)アオジ1 (16)シメ2 (17)ムクドリ3 (18)ハシボソガラス2 (19)ハシブトガラス5 (20)ドバト5(21)ガビチョウ1

<備考>
・わきみず池でモズの雌を観察する。1/3にあずまや池で見た雌と同じか? なお大池から西側の中央線にかけて雄がいるが、今冬黒川清流公園には何羽のモズがいるのか春までには調べたい。
・第2コーポラス前の高木で羽づくろいしているシメを発見。するともう1羽現れ2羽で東に移動する。なおセンサス終了後付近にて3羽のシメを観察する。
・人気の全くない山王下公園でルリビタキの雄をじっくり観察することができた。遊歩道の杭や低木に止まり尾を盛んに左右に小刻みに振っている。また遊歩道に降りてミミズのような物を食べていた。背のブルーや脇のオレンジが綺麗である。ただ調査中なのでいつまでも見ていることができず、この雄を避けるべく大回りして清水谷公園の池に向かった。
本日は鳥も少なく全体的に静かな調査であった。


●調査日 2008年1月9日 くもり、無風

<調査結果>
(1)マガモ21(♂12♀9) (2)カルガモ21 (3)キジバト7 (4)コゲラ1 (5)ハクセキレイ2 (6)ヒヨドリ11 (7)モズ1(♀) (8)ウグイス3 (9)シジュウカラ3 (10)メジロ4 (11)アオジ1 (12)シメ4 (13)スズメ4 (14)ムクドリ2 (15)オナガ16(16)ハシボソガラス3 (17)ハシブトガラス4 (18)ドバト4 

<備考>
・あずまや池のわさび園にモズの雌がたびたび降りていた。わさび園で観察した鳥はキセキレイ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、シジュウカラ、キジバトです。とくにキジバトは2〜3羽でいることが多い。
・黒川防災広場のカシの脇を通ると頭上よりウグイスの地鳴きが聞こえてきた。周辺に藪がないので常緑樹にいるのだろうが、高いところからの声は何だか奇妙な感じがした。
・山王下公園で葉の落ちた木のてっぺんに止まるアオジを発見するが、黒川公園では1羽も確認できなかった。今年は少ないようです。わきみず池からあずまや池にかけてのクマザサが根こそぎ刈られてしまい、この影響もあるのではないかと心配している。


●調査日 2008年1月13日 くもり、無風ただし底冷えのする寒さ

<調査結果>
(1)アオサギ1 (2)マガモ21(♂12♀9) (3)カルガモ21 (4)キジバト13 (5)アオゲラ1  (6)コゲラ2 (7)キセキレイ1 (8)ハクセキレイ3 (9)ヒヨドリ11 (10)モズ1(♂) (11)ジョウビタキ1(♂) (12)ツグミ2 (13)ウグイス1 (14)ヤマガラ1 (15)シジュウカラ4 (16)スズメ17 (17)ムクドリ14  (18)オナガ27 (19)ハシボソガラス3  (20)ハシブトガラス16 (21)ドバト16 

<備考>
・東屋(あずまや池)の屋根に止まり、下の池を見ているアオサギを発見(右写真)。 ただ池の前を人が通ったので警戒してケヤキの高木に移ってしまう。今まで観察したことはないが、池に降ることもあるのか調べたい。
・久しぶりにアオゲラの声を聞き、姿も見る。久しぶりといえば、ヤマガラも最近姿を見なかったが、本日は単独で梢を移動している姿を観察できた。
・頭上を気にしながら多摩平第6公園を歩いていて、ふと足下を見るとハクセキレイが地面で採食していた。その距離は何と50cm程であった。一瞬立ち止まったがハクセキレイは気にせず?足下から離れない。ここまで人を信用して大丈夫か、などいらぬ心配をしてしまった。
・ひょうたん池の中央線脇フェンスに止まる雄のモズを観察する。雑木林を外れた段丘崖上の多摩平7丁目の住宅街は彼の縄張りだ。
・ツグミは声のみで姿は見せなかった。まだ少ないか?
・ウグイスは前回(1/9)同様に黒川防災広場で頭上から笹鳴きを聞いた。カシの木はお気に入りの場所なのか?それともここしか居る場所がないのか。
・山王下公園の北側で16羽のスズメを観察する。フィールド内でまとまってこれだけのスズメを見るのは初めてだ。いずれ機会を見てまとめるが、スズメの出現率は低く、数も少ないようです。

<追記>
あずまや池ではないが大池に降りたアオサギを1月17日、同23日に観察する。2回とも薄暗い夕方の5時半頃でマガモ、カルガモの群に混じって池の中に立っていた。採食行動は観察できなかったが池の魚を狙っていたのであろう。


●調査日 2008年1月27日 晴れ、無風

<調査結果>
(1)アオサギ1 (2)マガモ19(♂10♀9) (3)カルガモ34 (4)キジバト11 (5)カワセミ1(♂) (6)コゲラ2 (7)キセキレイ2  (8)ハクセキレイ1 (9)ヒヨドリ11 (10)モズ1(♂) (11)ツグミ1 (12)エナガ2 (13)シジュウカラ14 (14)メジロ6 (15)ムクドリ12 (16)オナガ5 (17)ハシボソガラス3 (18)ハシブトガラス2 (19)ドバト5 

<備考>
・大池で野鳥絵本に出てくるような光景に出会う。葉の落ちた冬の木立に囲まれた池、そこにはマガモ、カルガモが浮び、アオサギが魚を狙って池の中を歩いている(左写真)。そのアオサギの頭上に延びた枝で、じっと水面を見つめているカワセミ。さらに岸辺にはキセキレイがせわしく尾を振りながら餌を探している。心地よい朝日を浴びた大池のワンシーンでした。なんとアオサギが朝の大池に入っていたのです。
・大池で上記のようにカワセミの雄を観察した。さらに帰路あずまや池で雌雄不明だがカワセミか常緑樹に飛来する。大池方向から飛来。大池を中心に東側のひょうたん池、西側のわきみず池、あずまや池をテリトリーにしているのか?その距離は直線で約800m。
・黒川公園東端、多摩平東地区センターに通じる坂道にてエナガ、シジュウカラ、コゲラ、メジロの混群に会う。以前とは違いバラバラな感じの混群であった。さらに西の方からシジュウカラの囀りが聞こえてきた。シジュウカラは群から離れそろそろ繁殖期に入るのであろう。

<雑感>
連日の寒さで黒川清流公園の遊歩道には霜柱がいっぱい。シジュウカラの囀りを聞きながら、長靴でこの霜柱をざくざくと踏みしめながら歩く。冬の中にも春の兆しを感じる1月最後のセンサスでした。


掲載履歴
第2回 2007年12月調査記録
第1回 2007年11月調査記録