金子凱彦の野鳥調査  第4回
                                      日野の自然を守る会 金子凱彦


●東豊田緑地保全地域の野鳥調査
<調査地とコース>
同保全地域は日野市のほぼ中央部に細長く広がる日野台地の段丘崖の一部で、1975年に東京都により緑地保全地域に指定されました。東豊田3丁目、多摩平2丁目、7丁目に隣接した黒川清流公園、多摩平第6公園、清水谷公園の約60,000uの雑木林です。黒川清流公園の崖下には数カ所から湧水が流れており、池が4カ所あります。東から「ひょうたん池」、「大池」、「わきみず池」、「あずまや池」の名が付いています。
調査は黒川清流公園の東端の中央線脇にあるひょうたん池から西へ黒川地域広場(汚水処理場跡地)、第6公園、山王下公園、清水谷公園の池まで約1.5kmのコースを1時間で歩き、その間に出現した野鳥の種類と数を記録します。

黒川清流公園内の表示板に説明を増やし作成

調査日 2008年2月4日 晴れ、無風(本日は立春、昨日雪が降る)

<調査結果>
(1)マガモ18(♂10♀8) (2)カルガモ36 (3)キジバト5 (4)カワセミ1(♂) (5)アオゲラ1(6)コゲラ2 (7)キセキレイ3 (8)ハクセキレイ1 (9)ヒヨドリ3 (10)ルリビタキ1(♂) (11)ツグミ2 (12)ウグイス2 (13)エナガ3(終了後10) (14)シジュウカラ15 (15)メジロ7 (16)アオジ1 (17)スズメ7 (18)ムクドリ1 (19)ハシボソガラス3 (20)ハシブトガラス4 (21)ドバト8 (参考記録)オオタカ1

<備考>

・大池でカルガモ(マガモとの雑種)の交尾を観察する。このカルガモは雄であった(写真右)。
雑種のカルガモは昨秋より3羽飛来し最近は2羽の姿をほぼ毎日大池やあずまや池で観察することができる。2羽は識別可能なので黒川公園内での行動を観察するに好都合です。なおこの大池で12/1にカルガモ、12/17にマガモの交尾を観察しました。

・雪の降った翌日のためか、今までまったく鳥影のなかった多摩平第6公園でウグイス、ルリビタキ、シジュウカラ、ハシブトガラスを観察する。ルリビタキは綺麗な雄であった。
・調査中オオタカ1羽が黒川清流公園と中央線の中間(東豊田3丁目)上空を帆翔し浅川方向(南)へ飛ぶのを観察するが、調査地には飛来しなかったので参考として記します。

<雑感>
昨日雪が降り、本日は晴天。こういう日は思わぬ鳥に出会う可能性が大である。とり屋にとっては至福の時です。迷う!浅川に出るべきか、黒川か。長靴で雪を踏みしめながらの調査(散策?)は楽しい。青空を見上げると早咲きのコブシのように、葉の落ちた木々の枝に雪が白い花を咲かせていた。バインダーの調査用紙に雪の水滴が落ちてくることもありました。
<追記>午後いたたまれず?浅川に出る。すると何とヨシガモの雄がいるではないか。やった!という思いでした。



●調査日 2008年2月9日 くもり、無風。昼で4℃、調査中雪が舞う。

<調査結果>
(1)コサギ1 (2)マガモ19(♂10♀9) (3)カルガモ33 (4)キジバト6 (5)コゲラ1 (6)ハクセキレイ1 (7)ヒヨドリ4 (8)モズ1(♀) (9)ジョウビタキ2(♂1♀1) (10)トラツグミ1(11)アカハラ1 (12)ツグミ4 (13)シジュウカラ9 (14)メジロ2 (15)カシラダカ50 (16)アオジ3 (17)スズメ3 (18)ムクドリ9 (19)オナガ7 (20)ハシボソガラス3 (21)ハシブトガラス5 (22)ドバト10 (23)ガビチョウ1


雪の残る2月のあずまや池

<備考>

・大池西側の湧水でモズの雌を観察する。昨秋、湧水の奥(多摩平側)からたびたび声が聞こえてきたが姿は初めてです。東側のひょうたん池には雄、西側のわきみず池では雌、さらに西のあずまや池で雌の姿を見ています。これら雌の関係は?今後調べたい。
・時間はずれていたがジョウビタキの雄と雌を同じ場所で観察する。本種は渡ってきた時はテリトリーを持つが、比較的緩い縄張りなのか。それとも2月という時期的なことが関係あるのか。
・調査終了後、わきみず池奥でトラツグミを発見する。飛翔時翼の裏の白と黒の帯が鮮やかであった。東京にも雪が降ったので飛来したのでしょうか。このトラツグミは本日の調査記録に入れました。
・山王下公園から飛び出し、TVアンテナに止まったアカハラを今冬初めて観察する。黒川公園ではまだシロハラと共に確認していません。
・雪の残る黒川災害広場の空き地でカシラダカ約50羽の群を発見する。採餌中でした。調査終了後再び同地を通るが、1羽の姿もなかった。ロードセンサスとは偶然の賜と思う。

<雑感>
数年ぶりに黒川公園でトラツグミに会う。藪の中で黄褐色の体が金色に輝いて見えた。思わぬ珍客に驚くが、身近なフィールドでの出会いは遠出とはまた違った感激があります。


●調査日 2008年2月12日 くもり、無風

<調査結果>
(1)マガモ20(♂11♀9) (2)カルガモ33 (3)キジバト6 (4)カワセミ1(♂) (5)コゲラ1(6)キセキレイ1 (7)ハクセキレイ2 (8)ヒヨドリ7 (9)ルリビタキ1 (10)ツグミ3 (11)ウグイス1 (12)シジュウカラ3 (13)メジロ6 (14)カシラダカ30 (15)ムクドリ9 (16)オナガ15(17)ハシボソガラス2 (18)ハシブトガラス4 (19)ドバト9 (20)ガビチョウ1 

<備考>
・黒川防災広場で前回同様カシラダカが採食していたが、数はずっと少なかった。ただ雑木林や周辺では1羽も観察したことがなく、これだけのカシラダカが何処にいるのか不思議だ。・本日もトラツグミを期待したが、確認できなかった。


●調査日 2008年2月18日 はれ、無風

<調査結果>
(1)マガモ18(♂10♀8) (2)カルガモ35 (3)キジバト25 (4)カワセミ1 (5)アオゲラ1  (6)コゲラ5 (7)キセキレイ1 (8)ヒヨドリ8 (9)モズ1 (10)ルリビタキ1(♀) (11)アカハラ1 (12)シロハラ1 (13)ツグミ3 (14)ウグイス1 (15)エナガ7 (16)シジュウカラ10 (17)メジロ11 (18)スズメ7 (19)ムクドリ8  (20)オナガ10 (21)ハシボソガラス3  (22)ハシブトガラス5 (23)ドバト5

<備考>
・アカハラを黒川公園でシロハラを清水谷公園で観察する。なおシロハラは雪の降った翌日の2/10に黒川公園ですでに確認した。
・コゲラを3回観察するがその内2回は2羽での行動であった。
・清水谷公園の池でエナガ、コゲラ、メジロ、シジュウカラの群に会う。かつてここでキクイタダキを観察したことがあり、群の中を丹念に探すが姿はなかった。 


●調査日 2008年2月25日 晴れ、微風

<調査結果>
(1)コサギ1 (2)マガモ20(♂10♀10) (3)カルガモ32 (4)ツミ1 (5)キジバト7 (6)カワセミ1(♂) (7)コゲラ3 (8)キセキレイ1  (9)ハクセキレイ1 (10)ヒヨドリ8 (11)モズ1 (12シロハラ1 (13)ツグミ7 (14)シジュウカラ7 (15)カシラダカ5 (16)ムクドリ2 (17)オナガ5 (18)ハシボソガラス2 (19)ハシブトガラス1 (20)ドバト3 

<備考>

・カルガモは大池24羽、わきみず池2羽、あずまや池6羽であった。わきみず池ではコサギ1羽と一緒であった(写真左)。
・調査終了後であるが黒川公園からツミの声が聞こえたので本日の記録に入れた。
・大池奥(多摩平側)で盛んにモズが鳴いていた。センサス終了後わきみず池で雌を観察するが鳴いていたモズとの関係は不明です。

・カシラダカは前回同様黒川防災広場であった。

・黒川公園でハシボソガラスの巣作りを観察する。2羽が巣材の小枝を運んでおり、下から見るとドーナッツ状に組み立てていた(写真右)。
昨日は強風が吹き荒れていたので本日から始めたのではないか。

<雑感>
昨年3月の予備調査から始めた東豊田保全地域の鳥類センサスもいよいよ1年になります。前回調査(1981年〜1983年)およびその後の観察等をふまえて、野鳥と環境(雑木林)について考えていきたいと思います。


掲載履歴
第3回 2008年01月調査記録
第2回 2007年12月調査記録
第1回 2007年11月調査記録