金子凱彦の野鳥調査  6
                                      日野の自然を守る会 金子凱彦


●東豊田緑地保全地域の野鳥調査
<調査地とコース>
同保全地域は日野市のほぼ中央部に細長く広がる日野台地の段丘崖の一部で、1975年に東京都により緑地保全地域に指定されました。東豊田3丁目、多摩平2丁目、7丁目に隣接した黒川清流公園、多摩平第6公園、清水谷公園の約60,000uの雑木林です。黒川清流公園の崖下には数カ所から湧水が流れており、池が4カ所あります。東から「ひょうたん池」、「大池」、「わきみず池」、「あずまや池」の名が付いています。
調査は黒川清流公園の東端の中央線脇にあるひょうたん池から西へ黒川地域広場(汚水処理場跡地)、第6公園、山王下公園、清水谷公園の池まで約1.5kmのコースを1時間で歩き、その間に出現した野鳥の種類と数を記録します。

黒川清流公園内の表示板に説明を増やし作成

調査日 2008年4月6日 晴れ、無風のち微風

<調査結果>
(1)カワウ1 ()マガモ5(♂3♀2) ()カルガモ6 ()キジバト7 ()ヒヨドリ15 (6)シロハラ1 (7)ツグミ5 (8)ウグイス1 (9)エナガ2 (10)シジュウカラ14 (11)スズメ2 (12)ムクドリ4 (13)カケス2 (14)ハシボソガラス3 (15)ハシブトガラス4 (16)ドバト5 

<備考>
・黒川公園上空をカワウが旋回して、多摩平を北方向に向かう。
・マガモ5羽は大池であったが、カルガモは大池、わきみず池、あずまや池の各2羽であった。そろそろ黒川清流公園の池からカモたちは姿を消すでしょう。
・ウグイスの囀りを最近聞かない。今回もやっと姿を1羽見ただけであった。
・東豊田側から黒川公園上空を通過し、北(多摩平側)へ飛ぶカケス2羽を観察する。春には本種を時々観察するが、昨年は4/18に同公園の林内で休息していた。
・あずまや池でハシブトガラスの抱卵を観察する。付近は毎年ハシブトが営巣する所です。


●調査日 2008年4月15日 晴れ、無風

<調査結果>
(1)カルガモ6 ()キジバト6 (3)アオゲラ1 (4)コゲラ2 (5)イワツバメ1 ()ヒヨドリ13   (7)シジュウカラ13 ()シメ1 ()スズメ2 (10)ムクドリ7 (11)オナガ2 (12)ハシボソガラス3 (13)ハシブトガラス5 (14)ドバト7

<備考>
・朽ちた倒木の上でアオゲラが盛んに採食していた。好物のアリが出てくる頃でしょう。
・上空を旋回するイワツバメを木々の間から見る。本種は3月中旬に浅川の一番橋に営巣のため飛来しています。

●調査日 2008年4月21日 くもり、無風

<調査結果>
()カルガモ4 (2)キジバト6 (3)ヒヨドリ5 ()モズ1(♀) ()シジュウカラ5  ()スズメ1  ()ムクド6 (8)オナガ17 ()ハシボソガラス1 (10)ハシブトガラス4 (11)ドバト2 (12)ガビチョウ2

<備考>
・ヒヨドリの春の渡りは秋ほど顕著ではないが4月には多少個体数が増えるようです。3/22(7羽)、3/29(13羽)、4/6(15羽)、4/15(13羽)、4/21(5羽)、4/27(7羽)です。なお昨年の秋には27羽(10/7)、25羽(10/15)、57羽(10/22)、16羽(10/28)の記録があります。
・本調査地では明確でなかったが、浅川(一番橋付近)では早春にムクドリの数が一時的に増えます。ムクドリも渡りをするのでしょうか。身近な鳥をもじっくり観察しているとさまざまな疑問が浮かびます。


●調査日 2008年4月27日 くもり、無風

<調査結果>
(1)アオサギ1 ()マガモ1(♂) (2)カルガモ2 ()キジバト7 (5)ツバメ2 ()ヒヨドリ7 (7)モズ1(♂) (8)シジュウカラ6 (9)スズメ1(10)ムクドリ3 (11)オナガ9 (12)ハシボソガラス3 (13)ハシブトガラス4  (14)コジュケイ1 (15)ドバト9 (16)セキレイSP1(OH)

<備考>
・アオサギは上空通過です。
・遊歩道脇でキジバトの巣を発見する。入巣中で同じ枝にもう1羽止まっていたが巣が丸見えで危険です。繁殖に失敗するでしょう。
・清水谷公園の池の上空でツバメを初めて見る。豊田駅南口商店街ではまだツバメの姿を見ません。今年は来ないのか心配です。
・久しぶりにコジュケイの声を聞く。4月になり時々鳴いているが、黒川では少なくなった鳥です。

<モズの繁殖記録>
 昨年は4/22までモズの雄を観察したが、繁殖は確認できなかった。今年は巣立ちビナを確認することができました。

3/11 雌雄2羽を同時に観察する(3月のHP参照)。
3/29 ササ藪に雄が餌を運ぶ。巣の位置が分かる(同上)。
4/23 雌雄が激しく鳴いている。すると巣のある藪からネコが1匹出てきた。雄はネコを追うように頭上でギチギチ鳴く。ネコも気付いているようだが雄は鳴いて離れない。すると雌が突然近くの枝にいたキジバトに突進した。体当たりのようなすごさであったが、これは雌の転移行動でしょう。キジバトは飛び立ったが雌の八つ当たり?に驚いたにちがいない。そしてこの両親はヒナを無事守ることができました。
4/25 夕方、木の枝伝いに移動する2羽のモズを発見する。双眼鏡を持参していなかったが行動から幼鳥に間違いない。さらにもう1羽(雌雄不明)が何回も枝から地面に降りていた。これは親のモズか。
4/26 巣立ちビナに雄が給餌するのを観察する。ヒナは2羽であったが、まだ他にいるのかは不明。雌の姿もなかった。
4/27 雄が盛んに鳴いていたが、ヒナの姿を発見できなかった。
4/30 幼鳥1羽を見る。成鳥の声も聞こえた。
5/01 幼鳥2羽を確認する。飛翔力がだいぶ付いたようだ。山岸哲著「モズの嫁入り」によると、“巣立ち後15日間ほど、ヒナたちは両親のなわばり内に留まり餌をもらいます”とある。


斜面にかろうじて残された笹藪でモズは営巣しました。立ち入り禁止なので近づけませんが、どういう所(低木?)に巣を作ったのか興味あります。(3/17撮影)

<余談>
 左の写真は根本から切り倒されてもなお樹液を送り続けているケヤキです。
水があふれ出るように透明な透きとおった樹液が残された幹を濡らしています。これを見て生命力よりも哀れを感じました。
 雑木林の萌芽更新とちがいこれはじゃまだから切ったのです。次回は公園で切られている木々に付いて考えたいと思います。



掲載履歴
第5回 2008年03月調査記録
第4回 2008年02月調査記録
第3回 2008年01月調査記録
第2回 2007年12月調査記録
第1回 2007年11月調査記録